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健診の「軽い脂肪肝」を10年放置していませんか 〜血液検査だけで肝臓の"硬さ"を推し量るFIB-4 indexと、MASLD診療ガイドライン2026を理事長 五藤良将が解説〜

[2026.09.30]
MASLD GUIDELINE 2026 & FIB-4

健診の「軽い脂肪肝ですね」を、10年放置していませんか
〜血液検査だけで肝臓の“硬さ”を推し量るFIB-4 indexと、MASLD診療ガイドライン2026を理事長 五藤良将が解説〜

医療法人社団 正友会 理事長・五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)より、脂肪肝が「全身の病気」として再定義された2026年の変化と、いつもの採血から危険な脂肪肝を拾い上げる方法をお伝えします。

脂肪肝・MASLD FIB-4 index 糖尿病専門外来(水曜) 横浜市都筑区・センター南

― 理事長より、はじめに ―

こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「毎年の健診で、もう10年くらい“軽い脂肪肝”と書かれています。お酒もほとんど飲まないし、先生からも特に何も言われないので、そのままにしてきました」──糖尿病専門外来でも、健診結果を持ってお越しになる方から、本当によく伺うお話です。

結論からお伝えします。脂肪肝と言われた方の大多数は、たしかに慌てる必要がありません。ただしその中に、肝臓が静かに硬くなり始めている方が一定数まぎれており、その方を見つける手がかりは「いつもの血液検査」の中にすでにあります。AST・ALT・血小板数と年齢から計算するFIB-4 indexという指標です。そして2026年、日本の脂肪肝診療は二つの意味で大きく動きました。4月にMASLD診療ガイドラインが改訂第3版へ、6月には国内初のMASH治療薬が承認されています。

本記事では、脂肪肝の名前がなぜ変わったのか、ALTが正常でも安心できないのはなぜか、FIB-4 indexをどう使うのか、「お酒は少しだけ」という方がいま最も見落とされやすい理由、そして糖尿病・認知症・抗加齢という当院の3軸から見た肝臓の位置づけまで、順を追って整理します。旧・浜クリニックとして地域に親しまれてきた当院が、健診結果を「読み直す」お手伝いをいたします。

THIS ARTICLE IS WRITTEN AND SUPERVISED BY

医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将

日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医
この記事は五藤 良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。

📖 目次

  1. 「ただの脂肪肝」の中に、少数の“急ぐ人”がまぎれています
  2. NAFLD・NASHという名前は、MASLD・MASHに変わりました
  3. 診断のカギは「代謝の要因が1つ以上あるか」(CMRF)
  4. ALTが正常でも安心できない理由 ―― 寿命を決めるのは「線維化」
  5. FIB-4 indexは、いつもの採血3項目と年齢で計算できます
  6. 「お酒は少しだけ」の方へ ―― MetALDという新しい箱
  7. 脂肪肝は肝臓だけの病気ではない ―― 全身疾患としての再定義
  8. 2026年6月、国内初のMASH治療薬が承認されました
  9. それでも土台は「体重7%減」 ―― 具体的な減らし方
  10. 当院での進め方 ―― 水曜の糖尿病専門外来と、10月からの消化器・肝臓内科
  11. 🏥 センター南で診るという選択(当院が選ばれる理由)
  12. 関連ブログ・関連クリニック
  13. よくあるご質問(FAQ)
  14. 🔁 3軸クロスポイント(脂肪肝×認知症×抗加齢)

1. 「ただの脂肪肝」の中に、少数の“急ぐ人”がまぎれています

脂肪肝は、日本でもっとも数の多い肝臓の病気です。飲酒量が多くない方に生じる脂肪肝は、日本の成人のおよそ3人に1人にみられると推計されており、健診で「脂肪肝」「肝機能軽度異常」と指摘される方は膨大な数にのぼります。

ここで大切なのは、脂肪肝は「1つの病気」ではなく「幅のある状態」だということです。肝臓に脂肪がたまっているだけで炎症も線維化もない方から、炎症が続いて肝臓の線維が増え、10年20年かけて肝硬変や肝がんへ進む方まで、同じ「脂肪肝」という言葉の中に同居しています。

📊 見落としが起こる構造

脂肪肝から進行する肝炎(MASH)は、脂肪肝の方のおおよそ1〜2割と考えられています。つまり多数が「経過観察で問題ない」方であるために、少数の“急ぐ人”が多数の中に埋もれてしまうのです。しかも肝臓は、かなり傷んでも症状を出しません。だるさも痛みも出ないまま、健診の一行だけがその存在を知らせています。

ですから脂肪肝の診療で最初にやるべきことは、「治す」ことではなくふるい分けることです。そしてそのふるい分けは、専門施設の特別な検査を待たずに、かかりつけ医の採血の段階から始められます。この記事の中心はそこにあります。

2. NAFLD・NASHという名前は、MASLD・MASHに変わりました

以前から脂肪肝をお持ちの方は、「NAFLD(ナッフルディー)」「NASH(ナッシュ)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これらは国際的な合意によって名称が改められ、日本消化器病学会・日本肝臓学会の『MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版)』(2026年4月発刊)でも新しい呼び方が採用されています。

新しい名前 日本語名 以前の呼び方/意味
MASLD
(マスルド)
代謝機能障害関連
脂肪性肝疾患
旧NAFLD。代謝の要因(肥満・血糖・血圧・脂質)を持つ方の脂肪肝
MASH
(マッシュ)
代謝機能障害関連
脂肪肝炎
旧NASH。炎症を伴い、線維化が進みうる段階
MetALD
(メットエーエルディー)
代謝機能障害・
アルコール関連肝疾患
今回新設された区分。代謝の要因があり、かつお酒も中等量飲む方

💡 なぜ名前を変えたのか

理由は2つあります。1つは「非アルコール性(non-alcoholic)」という“ないこと”を頼りにした定義をやめ、“あること”=代謝の異常で定義し直したためです。もう1つは「fatty(脂肪)」という語が患者さんを傷つけうる表現だという配慮です。名前の変更は単なる言い換えではなく、脂肪肝を「お酒を飲まない人のおまけの所見」から「代謝の病気そのもの」へ位置づけ直したという意味を持っています。

3. 診断のカギは「代謝の要因が1つ以上あるか」(CMRF)

MASLDと診断するには、画像などで脂肪肝が確認され、かつ心血管代謝リスク因子(CMRF)が1つ以上あることが条件になります。ガイドラインが示す目安は次のとおりです。「1つ以上」という点が重要で、健診でひとつも引っかかっていない方は、むしろ稀です。

項目 基準の目安
体重・おなか BMI 23以上、または腹囲が男性94cm超・女性80cm超
血糖 空腹時血糖 100mg/dL以上、HbA1c 5.7%以上、または糖尿病の治療中
血圧 130/85 mmHg以上、または高血圧の治療中
脂質 中性脂肪 150mg/dL以上、またはHDLコレステロールが低い/治療中

⚠ 「痩せているのに脂肪肝」も珍しくありません

基準のBMIが23以上という点にご注目ください。これは「肥満」ではなく「やや太め」の水準です。日本人は欧米の方より少ない体脂肪でもインスリンが効きにくくなりやすく、BMIが25未満でも脂肪肝と診断される方が相当数いらっしゃいます。「太っていないから自分は関係ない」という思い込みが、見落としの入口になります。

4. ALTが正常でも安心できない理由 ―― 寿命を決めるのは「線維化」

健診で肝臓を気にされる方は、ほとんどがALT(GPT)やAST(GOT)の数字を見ています。ところが脂肪肝において、ALTの高さは「今どれだけ肝臓が壊れているか」を表すだけで、「この先どうなるか」はほとんど教えてくれません。ALTが基準値内に収まっている方の中にも、線維化が進んでいる方がいらっしゃいます。

📊 予後を決めるのは炎症ではなく「線維化ステージ」

脂肪肝の方の長期予後を追った国内外の研究が一致して示しているのは、肝臓の線維化がどの段階まで進んでいるかが、肝臓の病気による死亡だけでなく、全体の死亡率とも最もよく結びつくという事実です。逆に、炎症の強さ(=ALTの高さ)だけでは将来を予測しきれません。ですから現在の脂肪肝診療は、「ALTを下げる」ことより「線維化を進ませない」ことを目標に据えています。

線維化は、肝臓の中で炎症と修復がくり返された結果、硬い線維が少しずつ置き換わっていく変化です。おおまかにF0(線維化なし)からF4(肝硬変)まで段階があり、F2以上になると「進行した線維化」として、経過観察から治療の対象へと考え方が変わります。そして自覚症状が出るのは、多くの場合F4に近づいてからです。

💡 線維化の段階(イメージ)

F0〜F1:脂肪はあるが線維化はほぼない / F2:線維化が広がり始める(ここから要注意)/ F3:橋を架けるように線維がつながる / F4:肝硬変。
かつてはこの段階を知るには肝生検(針で肝臓の組織を採る検査)が必須とされていました。ガイドライン改訂第3版では、肝生検は診断に「必須」ではなくなり、血液検査や超音波の硬さ測定(エラストグラフィ)などの非侵襲的な検査で段階を推し量る流れが明確になりました。

5. FIB-4 indexは、いつもの採血3項目と年齢で計算できます

ここが、この記事でもっともお伝えしたい部分です。FIB-4 indexは、特別な検査を追加せずに、年齢・AST・ALT・血小板数という「すでに測られている情報」だけで計算できる線維化の推定指標です。健診結果や当院の採血結果があれば、その場で計算できます。

🩸 FIB-4 indexに使うもの

① 年齢 ② AST(GOT) ③ ALT(GPT) ④ 血小板数(PLT)
年齢とASTが高く、血小板数が低いほど数値が上がります。血小板は、肝臓が硬くなると減っていくため、線維化の「静かな目印」になります。

※計算式そのものを覚える必要はありません。数式は診察の場で当院が計算いたします。健診結果の紙をお持ちいただければ、その日のうちにお伝えできます。

そして、出てきた数値の読み方が次の表です。非専門医が一次リスク評価として使うための区切りとして広く用いられています。

FIB-4 index リスクの目安 次にすること
1.3未満 低リスク 進行した線維化はまず考えにくい段階。生活習慣の改善を続け、年1回は計算し直す
1.3〜2.67 中間リスク(判定保留) ここが腕の見せどころ。血小板数が20万/μL未満、ALTが持続的に高い、超音波で肝臓の形に変化がある、糖尿病がある等が重なれば専門医へ
2.67超 高リスク 進行した線維化の可能性。肝臓専門医への紹介が推奨されます

⚠ 65歳以上の方は「1.3」で驚かないでください

FIB-4 indexの計算には年齢が入っているため、加齢そのもので数値が上がります。そのため65歳以上では1.3を超える方が非常に多く、これだけで慌てる必要はありません。高齢の方では2.0前後を目安に読み替える考え方が使われており、単独の数字ではなく、血小板数の推移・ALTの持続的な上昇・糖尿病の有無・超音波所見と組み合わせて判断することが、2026年のガイドラインでも強調されています。「FIB-4が1.3を超えた/超えない」の一点だけで決めない、というのが実地の要点です。

当院では、糖尿病の方の定期採血にAST・ALT・血小板数を含めており、脂肪肝を指摘されている方にはFIB-4 indexを毎回計算して経過を追う運用にしています。1回の値より、年単位で上がってきているかどうかのほうが、はるかに多くを語ってくれます。

6. 「お酒は少しだけ」の方へ ―― MetALDという新しい箱

今回の改訂でもっとも実務的に大きい変化が、MetALD(代謝機能障害・アルコール関連肝疾患)という区分の新設です。これまでの分け方には、実は大きな隙間がありました。「ほとんど飲まない人」と「明らかな大量飲酒の人」の間にいる方が、どちらの箱にも入らなかったのです。

区分 1日のお酒の量(純アルコール換算)
MASLD 男性30g未満/女性20g未満
MetALD 男性30〜60g/女性20〜50g(代謝の要因もある方)
アルコール関連肝疾患 それを超える量

⚠ 「純アルコール30g」は、思っているより少ない量です

ビール中瓶(500mL・5%)で約20g、日本酒1合(180mL・15%)で約22g、焼酎(25%)のグラス1杯100mLで約20g、ワイン2杯(200mL・12%)で約19gです。つまり「晩酌にビール1本と日本酒を少し」という毎日は、すでに30gを超えています。「大酒飲みではない」というご自己認識と、医学的な区分はしばしばずれます。

そしてMetALDが新設された理由は、単に整理のためではありません。MetALDは、MASLDよりも肝臓の合併症が起こるリスクが高く、さらに心血管の病気も増えることが示されているためです。代謝の負担とアルコールの負担は、足し算ではなく掛け算のように働きます。当院ではこれをダブルジオパディ(二重の危険)と呼んでご説明しています。

💡 診察で、飲酒量は正直にお話しください

飲酒量を控えめに申告される方は少なくありませんが、この区分によって、目指すべき目標も、専門医へ紹介するかどうかの判断も変わります。責める材料ではなく、ふるい分けの材料です。「週に何日、何を、どれくらい」を思い出せる範囲でお聞かせいただければ十分です。

7. 脂肪肝は肝臓だけの病気ではない ―― 全身疾患としての再定義

ガイドライン改訂第3版の最大のメッセージは、脂肪肝を「全身の病気」として位置づけ直したことだと私は受け止めています。MASLDの方が亡くなる原因として最も多いのは、実は肝臓の病気ではなく心血管の病気です。

💗 心臓・血管

MASLDの方では心不全の発症が一般の方の約1.5倍と報告されています。死因としても肝臓の病気を上回ります。

🩸 糖尿病

脂肪肝と2型糖尿病は、インスリン抵抗性という同じ根を持つ双子のような関係です。どちらか一方だけを診ても解決しません。

🫘 腎臓

慢性腎臓病との関連も整理されました。尿アルブミンや推算GFRを合わせて確認する意味があります。

⚠ 悪性疾患

肝がん以外にも、大腸・胃・食道・婦人科領域のがんとの関連が診断の枠組みに組み込まれました。健診・がん検診を欠かさないことが治療の一部になります。

この意味するところは明快です。脂肪肝を指摘された方の診療は、肝臓を診ることと、血圧・血糖・脂質・腎臓・体重を同時に整えることが、そのまま同じ作業になるということです。内科として全体を診る場と相性がよいのは、まさにこの点です。

8. 2026年6月、国内初のMASH治療薬が承認されました

長いあいだ、脂肪肝には「保険で使える、脂肪肝そのものを治す薬」がありませんでした。だからこそ「経過観察」という言葉が定型句になっていたのです。その状況が、2026年に変わりました。2026年6月19日、GLP-1受容体作動薬であるセマグルチド(週1回2.4mgの皮下注射)が、日本で初めてMASHに対する適応を取得しました。

📊 ESSENCE試験(72週時点の解析・約800名)

・MASHが悪化せずに肝線維化が改善した方:セマグルチド 36.8% / プラセボ 22.4%
・線維化が悪化せずにMASHが消失した方:セマグルチド 62.9% / プラセボ 34.3%

いずれも統計学的に有意な差が示されました。日本人を含むサブグループでも有効性が確認されています。安全性は肥満症・糖尿病での使用実績と大きく変わらないと報告されています。

ただし、ここで冷静にお伝えしておきたい点があります。この薬は「脂肪肝と言われた方すべてが使える薬」ではありません。承認された使いかたは、次のように限定されています。

条件 内容
対象 肝硬変ではないMASHで、線維化ステージがF2またはF3の方
前提 食事療法・運動療法を行っても効果が不十分であること
前段階で必要なこと 「F2〜F3である」と見きわめる評価。ここでFIB-4 indexや肝硬度の測定が必要になります

💡 薬ができたことで、むしろ「評価」の価値が上がりました

治療の選択肢がなかった時代は、線維化の段階を詳しく調べても打つ手が限られていました。しかし使える薬ができた以上、「自分がF2〜F3なのかどうか」を知ること自体に、はじめて実利が生まれたのです。これが、いま脂肪肝をきちんとふるい分ける最大の動機になります。10年放置してきた健診の一行を、今年こそ読み直していただきたい理由です。
なお、痩身・ダイエット目的での自費のGLP-1使用とは、目的・対象・管理の考え方がまったく異なります。適応の判断は必ず医師とご相談ください。

9. それでも土台は「体重7%減」 ―― 具体的な減らし方

薬の話をしたあとで恐縮ですが、脂肪肝の治療の土台はいまも減量です。しかも必要な幅は、思われているほど大きくありません。目安は次のとおりです。

減量の幅 期待できること
3〜5% 肝臓にたまった脂肪が減る
7%以上 炎症(脂肪肝炎)の改善が期待できる
10%以上 線維化の改善まで期待できる

体重70kgの方であれば、7%は約5kgです。1年かけて5kgなら、月に400gあまり。無理な断食ではなく、続けられる変更の積み上げで届く範囲です。

🥗 まず「飲みもの」から

清涼飲料・果汁飲料に多い果糖は、肝臓で脂肪に変わりやすい糖です。減らす順番の一番目は、固形の食事ではなく甘い飲料にしてください。

🚶 週150分の早歩き

有酸素運動は、体重があまり減らなくても肝臓の脂肪を単独で減らします。1日20〜30分、センター南駅まで歩く往復でも積み上がります。

🏋️ 筋肉を落とさない

筋肉が減ると肝臓の線維化が進みやすくなります。減量と同時にたんぱく質と筋トレを。ここは抗加齢医学の領域と重なります。

☕ コーヒーは味方になりうる

コーヒー摂取と肝臓の線維化が進みにくいことの関連が複数報告されています。砂糖とミルクを入れなければ、という条件付きです。

⚠ 急激な減量・自己流のサプリはおすすめしません

極端な食事制限による急激な減量は、かえって肝臓の炎症を悪化させることがあります。また「肝臓に良い」とうたうサプリメントの中には、それ自体が薬物性の肝障害を起こすものがあり、実際に受診につながる例を私たちも経験しています。脂肪肝と言われている方は特に、サプリメントの追加前に一度ご相談ください。

なお、糖尿病をお持ちの方では、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬、ピオグリタゾンなど、血糖を下げながら肝臓にも good に働きうる薬を選べる場面があります。すでに糖尿病の治療をされている方は、「今の処方は肝臓の観点から見ても妥当か」という視点で見直す価値があります。当院の水曜午前の糖尿病専門外来では、この見直しを日常的に行っています。

10. 当院での進め方 ―― 水曜の糖尿病専門外来と、10月からの消化器・肝臓内科

脂肪肝でお越しになった方に、当院が実際に踏む手順をお示しします。特別なことはしていません。順番を守ることが大切なだけです。

🔁 当院での5ステップ

  1. 健診結果を持参いただき、その場でFIB-4 indexを計算します(過去の結果もあれば推移が見えます)
  2. 代謝の要因(CMRF)を洗い出します。血糖・HbA1c・血圧・脂質・腹囲を確認し、MASLD/MetALDのどちらかを整理します
  3. お酒の量を一緒に数値化します。純アルコール換算で「1日何g」まで落とし込みます
  4. 腹部超音波などで肝臓の状態を確認し、他の肝疾患(ウイルス性肝炎・自己免疫性など)を採血で除外します
  5. 低リスクなら生活習慣の改善と年1回の再計算。中間〜高リスクなら肝臓専門医へ。糖尿病があれば水曜の専門外来で薬の選択まで含めて組み立てます

🏥 2026年10月から、火曜午前に消化器内科・肝臓内科を開設します

脂肪肝の評価は、代謝を診る目と、肝臓・消化器を診る目の両方があると精度が上がります。当院では2026年10月より、火曜午前に消化器内科・肝臓内科(玉井博修医師)を開設いたします。内視鏡を含む消化器領域の診療に加え、肝臓の評価についても院内で相談できる体制になります。
水曜午前の糖尿病専門外来(五藤)と、火曜午前の消化器・肝臓内科(玉井)。脂肪肝という「代謝と肝臓のあいだにある病気」を、同じ建物の中で受け渡せるようになります。さらにグループとしては、脂肪肝・MASLDの専門的な評価について五良会クリニック白金高輪と連携し、AGEs(体内の糖化度)の測定は竹内内科小児科医院で行える体制を整えています。

🔁 3軸クロスポイント:脂肪肝(MASLD)を「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

当院は、糖尿病・代謝の診療と、認知症外来・脳神経内科、そして抗加齢医学を切り離さずに診る3軸アプローチを掲げています。脂肪肝は、この3つが交差する典型的なテーマです。肝臓という一つの臓器の話に見えて、実際には血管・脳・筋肉の老い方に直結しています。

🩸 軸1: 糖尿病・生活習慣病との関連

脂肪肝と2型糖尿病は、インスリン抵抗性という同一の土壌から育つ双子です。肝臓に脂肪がたまるとインスリンが効きにくくなり、血糖が上がる。血糖が上がれば肝臓にさらに脂肪がたまる。この循環は、片方だけを治療しても止まりません。
そして当院が重視しているのは、糖尿病の方の合併症チェックに「肝臓」を正式に入れることです。腎臓を尿アルブミンで早く見つけるのと同じ発想で、肝臓はFIB-4 indexで早く拾います。どちらも症状が出る前に、いつもの検査の中から見つけるという点で共通しています。

🧠 軸2: 認知症・神経系との関連

脂肪肝と脳のつながりは、近年報告が積み上がってきた領域です。MASLDや肝線維化の進行と、認知機能の低下・脳の萎縮との関連が複数の研究で示されています。理由は少なくとも3つ考えられます。①インスリン抵抗性と内臓脂肪由来の慢性的な炎症が脳にも及ぶこと、②MASLDが心血管の病気を増やし、脳の細い血管の障害(血管性の要素)を通じて認知機能に影響すること、③肝臓の解毒能力が落ちると、はっきりした肝性脳症の前段階として注意力や集中力が落ちることがあること、です。
実際の外来では、「もの忘れが気になる」とお越しになった方の採血で肝機能と血小板数の異常に気づき、脂肪肝の評価に進む、という順番も起こります。認知症外来と代謝の診療が同じ窓口にある意味は、こういう場面で表れます。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命

抗加齢医学の視点で脂肪肝を見ると、これは「内臓に蓄積する老化のかたち」そのものです。注目すべきは筋肉との関係で、筋肉量が少ない方(サルコペニア傾向)ほど肝臓の線維化が進みやすいことが知られています。つまり減量だけを追いかけて筋肉まで落としてしまうと、肝臓にとって逆効果になりかねないのです。
体重計の数字ではなく、体組成(筋肉と脂肪の中身)で評価する。これが当院が申し上げている「老化の見える化」です。日本人の健康寿命と平均寿命のギャップは、男性で約8年、女性で約12年あります。肝臓・血管・筋肉・脳を同じ設計図の上で整えることが、このギャップを縮める現実的な手立てになります。

🏥 センター南で診るという選択(当院が選ばれる理由)

ここまでお読みいただいた「ふるい分け」の考え方を、当院ではこのような体制で実践しています。脂肪肝は代謝と肝臓のあいだにある病気ですから、その両方に手が届く場所であることが、そのまま診療の質につながります。

理由① 水曜午前の糖尿病専門外来

理事長・五藤 良将(日本糖尿病協会登録医)が担当します。血糖の管理と肝臓の評価を、同じ診察の中で組み立てます。

理由② 火曜午前の消化器内科・肝臓内科

2026年10月より玉井博修医師が担当します。内視鏡を含む消化器領域と、肝臓の評価を院内でご相談いただけます。

理由③ FIB-4 indexを毎回計算します

脂肪肝を指摘された方には、AST・ALT・血小板数を定期採血に含め、FIB-4 indexの推移を年単位で記録していきます。

理由④ 抗加齢医学専門医の視点

理事長は日本抗加齢医学会専門医です。筋肉を落とさない減量という、肝臓にとって重要な条件を外さずに計画を立てます。

理由⑤ 認知症外来・脳神経内科を併設

もの忘れ・しびれ・ふるえ・めまいも同じ窓口で診られます。代謝と脳を別の医療機関に分けずに相談できます。

理由⑥ 通いやすい時間と場所

月・水・木・金は18:30まで、土曜は9:00〜14:00(休憩なし)。市営地下鉄「センター南駅」徒歩9分、駐車場4台をご用意しています。

健診結果の紙を、1枚お持ちください。
その日のうちに、FIB-4 indexをお伝えします。

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11. よくあるご質問(FAQ)

Q. お酒をまったく飲まないのに脂肪肝と言われました。なぜですか。

A. それがまさにMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)です。脂肪肝の原因はお酒だけではなく、インスリン抵抗性――つまり血糖・血圧・脂質・体重といった代謝の負担が主役になります。BMI 23以上、HbA1c 5.7%以上、血圧130/85 mmHg以上、中性脂肪150mg/dL以上のいずれかがあれば条件を満たします。お酒を飲まないことは、脂肪肝がないことの証明にはなりません。

Q. FIB-4 indexは、自分で計算してもよいですか。

A. 計算していただくのは構いませんが、数値だけで自己判断はなさらないでください。とくに65歳以上の方は加齢だけで1.3を超えることが多く、不必要にご不安になってしまいます。逆に、FIB-4が低くても血小板数が減ってきている、ALTが持続的に高いといった場合には評価が必要です。数値は解釈と組み合わせて初めて意味を持ちますので、健診結果をお持ちいただければ一緒に読み解きます。

Q. 肝生検(針を刺す検査)は必ず必要になりますか。

A. いいえ。MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版)では、肝生検は診断に必須ではなくなりました。FIB-4 indexなどの血液指標や、超音波による肝硬度測定(エラストグラフィ)といった、体を傷つけない検査を組み合わせて評価する流れが標準です。ただし、検査結果が互いに食い違う場合や、治療方針を決めるうえで線維化の段階を確定させたい場合には、専門施設で検討することがあります。

Q. 新しく承認されたMASHの薬を使いたいのですが、希望すれば処方してもらえますか。

A. ご希望だけでは決まりません。保険で使える条件は「肝硬変ではないMASHで、線維化ステージがF2またはF3」かつ「食事療法・運動療法を行っても効果が不十分」な場合に限られています。つまりまず線維化の段階を評価することが出発点です。当院では評価を進め、適応が考えられる方については肝臓専門医と連携して判断いたします。なお、痩身目的の自費のGLP-1使用とは別の話です。

Q. お酒は完全にやめるべきでしょうか。

A. すでに線維化が進んでいる方には、原則として禁酒をおすすめします。線維化がない段階の方についても、MetALDの区分(男性1日30g、女性20gを超える量)に入らないところまで減らすことが現実的な目標になります。代謝の負担とアルコールの負担が重なると、肝臓の合併症だけでなく心血管の病気も増えるためです。まずは週に2日以上の休肝日と、1日量の見直しから始めましょう。

Q. 受診するときに、何を持っていけばよいですか。

A. 健診結果をお持ちください。できれば過去数年分あると理想的です。FIB-4 indexは1回の値より推移が語ります。あわせて、お薬手帳、服用中のサプリメントの名前、そしてお酒の量(週に何日・何を・どれくらい)を思い出せる範囲でお聞かせください。ご予約はmelmoから24時間受付、お電話は045-942-7783です。

AUTHOR / SUPERVISOR

医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(ごとう よしまさ)

  • 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
  • 医療法人社団 五良会 理事長/医療法人社団 正友会 理事長/竹内内科小児科医院 院長
  • 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
  • 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
  • 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
  • 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数

執筆・監修責任について

本記事は、五藤 良将が公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで執筆・監修しています。内容は公開時点の情報に基づくものであり、新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、五良ファミリークリニック センター南(045-942-7783)までお知らせください。


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理事長 五藤 良将

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