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骨密度検査はその日に結果がわかります|骨粗鬆症ガイドライン2025年版とMD法を理事長 五藤良将が解説|五良ファミリークリニック センター南

[2026.09.28]
OSTEOPOROSIS GUIDELINE 2025
「背が縮んだ」は、年のせいではないかもしれません
〜10年ぶり改訂の新ガイドラインと、手のレントゲン1枚でわかる骨の量〜

医療法人社団 正友会 理事長・五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)より、2025年に10年ぶり改訂された骨粗鬆症ガイドラインの要点と、当院が新しく導入したデジタルX線システムによるMD法の骨密度測定について、わかりやすくお伝えします。

骨粗鬆症 ガイドライン2025年版 MD法・骨密度測定 レントゲン刷新

― 理事長より、はじめに ―

こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「母が転んで、大腿骨を折ってしまいました。そのまま入院して、歩けなくなってしまって……」。診察室でこうしたお話を伺うたびに、私はいつも同じことを思います。その骨折は、防げたかもしれない、と。

結論からお伝えします。骨粗鬆症は、痛みも自覚症状もないまま進みます。気づくきっかけは、たいてい「折れたとき」です。けれども骨の量は、折れる前に測ることができます。そして2025年、10年ぶりに改訂されたガイドラインでは、初めて「治療ゴール」という考え方が示されました。骨粗鬆症は、様子を見る病気から、目標を決めて治す病気に変わりつつあります。

本記事では、新しいガイドラインの要点を整理したうえで、当院がこのたびレントゲンシステムを刷新し、株式会社アールエフのデジタルX線システム「NAOMI」を導入したこと、そして手のレントゲンを1枚撮るだけで骨の量を調べられる「MD法」について、できることと、できないことの両方を正直にお伝えします。旧・浜クリニックとして地域のご家族を診てきた当院が、骨粗鬆症の診療に力を入れていく理由も、あわせてお話しさせてください。

THIS ARTICLE IS WRITTEN AND SUPERVISED BY

医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将

日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医
この記事は五藤 良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。

📖 目次

  1. 骨粗鬆症は「折れて初めてわかる」病気です
  2. 2025年、ガイドラインが10年ぶりに改訂されました
  3. 初めて示された「治療ゴール」|Tスコア −2.5 を「超える」ことを目指す
  4. 診断はどうつけるのか|YAM70%・脆弱性骨折・FRAX
  5. 当院のレントゲンが新しくなりました|アールエフ「NAOMI」
  6. MD法とは|手のレントゲン1枚で骨の量を調べる
  7. MD法でわかること・わからないこと|レントゲン・DXAとの組み合わせ
  8. 薬の選び方|2025年版で加わった薬と「骨を作る薬を先に」
  9. 食事・運動・転倒予防|薬と同じくらい大切なこと
  10. 🔁 3軸クロスポイント(糖尿病×認知症×抗加齢)
  11. センター南で診るという選択(当院が選ばれる理由)
  12. 関連ブログ・関連クリニック
  13. よくあるご質問(FAQ)

1. 骨粗鬆症は「折れて初めてわかる」病気です

骨粗鬆症には、痛みがありません。だるさも、腫れも、しびれもありません。骨の量が静かに減っていくだけです。そのため多くの方が、骨折という形で初めてこの病気に出会います。

📊 骨折・転倒は、介護が必要になる主な原因のひとつです

令和4年国民生活基礎調査では、要介護者が介護を必要とするに至った主な原因のうち「骨折・転倒」が13.0%を占めています。とくに大腿骨近位部(脚の付け根)の骨折は、その多くが手術と入院を必要とし、骨折前の歩行能力まで戻れない方が少なくありません。背骨の圧迫骨折も、「いつの間にか骨折」と呼ばれるほど気づかれないまま起こり、背中が丸くなる・身長が縮むといった形であらわれます。

💡 ご自身・ご家族で気づける、数少ないサイン

  • 若いころより身長が2cm以上縮んだ(背骨の圧迫骨折が疑われます)
  • 背中や腰が丸くなってきた/壁に背をつけて立つと後頭部が壁につかない
  • ものを持ち上げたときや、軽く尻もちをついたときに背中が痛くなった
  • 閉経を迎えた/ご両親に大腿骨の骨折歴がある
  • ステロイド薬を長期に使っている/糖尿病・関節リウマチ・慢性腎臓病がある
  • やせている、喫煙している、お酒の量が多い

ひとつでも当てはまれば、一度は骨の量を測っておく意味があります。測るのは、折れる前だからこそ意味があります。

2. 2025年、ガイドラインが10年ぶりに改訂されました

骨粗鬆症の診療は、いま大きく変わりつつあります。『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』(日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団)が2025年、10年ぶりに改訂されました。2015年版以来の全面的な見直しです。

📊 2025年版でおさえておきたい変更点

  • 「治療ゴール」という考え方が初めて示された(第3章で詳しくご説明します)
  • この10年で使えるようになった薬が追加された——ゾレドロン酸、アバロパラチド、ロモソズマブ
  • 骨折リスクの高い方には、骨を作る薬(骨形成促進薬)を先に使うという方針が示された
  • 臨床上の疑問(CQ)を設定し、システマティックレビューにもとづいて推奨が作られた

つまりこの10年で、骨粗鬆症は「年だから仕方がない」と受け止める状態から、目標を決めて治療する病気へと位置づけが変わりました。当院が骨粗鬆症の診療に力を入れていこうと考えたのも、この変化があるからです。

3. 初めて示された「治療ゴール」|Tスコア −2.5 を「超える」ことを目指す

2025年版の最も大きな変化が、治療ゴール(Goal-directed treatment)という考え方です。これまでの骨粗鬆症治療は、「薬を始めたら、そのまま続ける」という形になりがちでした。新しい考え方では、到達すべき目標を先に決め、そこに向かって治療を組み立てます。

🎯 示された治療ゴール

骨密度のTスコアが −2.5 を「超える」こと——これが2025年版で示された目標です(YAMでいえば70%を超えること)。Tスコアとは、若い成人の平均的な骨密度と比べてどれくらい離れているかを表す数値で、−2.5 は骨粗鬆症と診断される境目にあたります。その境目を上回る状態まで戻すことが目標に据えられました。
あわせて示されたのが治療選択の考え方です。「治療開始から3年で目標を達成できる可能性が、少なくとも50%となるような治療を選ぶ」——3年という期限を約束するものではなく、その見込みが立つ薬を選ぶという意味です。

この考え方が大切なのは、「薬を飲んでいるから大丈夫」で止まらなくなるからです。目標に届いていなければ、薬を見直す。届いたら、その後をどうするかを考える。治療を定期的に測り直し、評価する——骨粗鬆症の診療が、血圧や血糖の管理と同じ形に近づいたと言えます。

そして目標を決めて治療する以上、途中で測り直すことが欠かせません。なおこの治療ゴールは腰椎・大腿骨近位部のDXAで測ったTスコアで判定するものです。当院のMD法は、この目標到達そのものを判定する検査ではなく、骨量が下がっていないかを身近に確認し続けるための検査という位置づけになります(第7章)。それでも、院内で気軽に測り続けられる意味は小さくないと考えています。

4. 診断はどうつけるのか|YAM70%・脆弱性骨折・FRAX

骨粗鬆症の診断は、骨密度の数値だけで決まるわけではありません。骨折の有無と組み合わせて判断します。

判断の材料 考え方
骨密度 YAM(若年成人平均値)の70%以下、またはTスコア −2.5以下が骨粗鬆症の目安です。YAM70%超〜80%未満は「骨量減少」として、経過観察や生活習慣の見直しの対象になります。
脆弱性骨折の有無 軽い力で起きた骨折のことです。大腿骨近位部または椎体(背骨)の骨折があれば、骨密度の数値にかかわらず治療の対象になります。
FRAX®(骨折リスク評価) 年齢・性別・骨折歴・家族歴・喫煙・飲酒・ステロイド使用などから、今後10年間の骨折確率を計算します。これは骨量減少(YAM70%超〜80%未満)の方で、判断に迷う場合に用いる目安です。この範囲で主要骨折の確率15%以上(75歳未満で適用)、または大腿骨近位部骨折の家族歴がある場合に、薬物治療の開始を検討します。
測定する部位 診断の基準となるのは腰椎(L1〜L4またはL2〜L4)と大腿骨近位部(頸部またはtotal hip)です。これらの測定が難しい場合は、橈骨(前腕)や第二中手骨(手の骨)の骨密度を代わりに用います(この場合は%YAMのみで判定します。第7章で詳しくご説明します)。

お伝えしておきたいのは、骨密度が正常範囲でも、すでに背骨が折れていれば治療の対象になるということです。逆に、数値が少し低いだけで骨折歴も危険因子もない方に、すぐ薬を始めるわけでもありません。測った数字を、その方の背景と合わせて読む——ここが診療の中身です。

5. 当院のレントゲンが新しくなりました|アールエフ「NAOMI」

このたび五良ファミリークリニック センター南では、レントゲンシステムを刷新し、株式会社アールエフのデジタルX線システム「NAOMI(ナオミ)」を導入しました。骨粗鬆症の診療に力を入れていくにあたって、まず土台を整えたいと考えたためです。

⏱ 撮影から画像表示まで、約5秒

NAOMIはCCDイメージセンサーを使ったフルデジタルのレントゲンです。フットスイッチを踏んで撮影すると、約5秒でモニタに画像が表示されます。撮ったその場で、画面をご覧いただきながらご説明できます。

🎞 フィルムも暗室も現像も不要

フィルムカセッテの代わりに設置して使うしくみで、暗室やフィルム保管庫が要りません。現像の待ち時間がなくなり、撮影からご説明までが一続きになります。

🔍 画像をその場で調整できます

画素サイズ0.1mmのデジタル画像を、拡大・縮小、濃度やコントラストの調整をしながら確認できます。画像はDICOM形式で保存され、必要なときにすぐ呼び出せます。

🦴 骨密度測定ソフトを備えています

撮影した手の画像を、そのまま「NAOMI骨密度測定ソフト」で読み込んで計測できます。これが今回の刷新でできるようになった、いちばん大きな変化です。

📊 これまでは「外注」でした ― その場で結果が出るということ

フィルムで骨密度を測る場合、撮影したフィルムを外部の会社に送り、解析された結果が戻ってくるのを待ってから、あらためて説明する——という流れが一般的でした。患者さんにとっては、結果を聞くためにもう一度来院する必要があったということです。

これまで ① 撮影 → ② 外部委託(郵送・データ受け渡し) → ③ 後日あらためて診察・説明
これから ① 撮影 → およそ5分 → ② その日の診察でそのままご説明

撮影後すぐにPC画面へ画像が表示され、その場で骨密度測定ソフトに読み込んで計測します。「測った日に、結果を聞いて、これからどうするかまで決められる」——骨粗鬆症のように何年も付き合う病気では、この差は思いのほか大きいと考えています。

💡 デジタル化は、被ばくの面でも利点があります

レントゲンと聞くと被ばくを心配される方は多いと思います。デジタルのレントゲンは、フィルムに比べて少ないX線量で撮影できることが利点のひとつです。メーカーの資料では、胸部撮影でフィルムが約0.06ミリシーベルトのところ、デジタルではおよそ半分程度とされています。

比べてみると、この数字の小ささがわかります。私たちが自然界から1年間に受ける放射線は世界平均で約2.4ミリシーベルト、東京〜ニューヨークを飛行機で往復すると約0.2ミリシーベルトです。そして手の撮影は、胸の撮影よりもさらに少ない線量で済みます。

※線量の数値はアールエフ社の資料および公的機関の公表値によります。撮影条件により変わります。ご不安があれば遠慮なくお尋ねください。妊娠の可能性がある方は、必ず事前にお知らせください。

6. MD法とは|手のレントゲン1枚で骨の量を調べる

MD法(Microdensitometry法)は、レントゲンを使って骨の量を調べる方法です。近年はデジタル画像処理を用いた改良型が用いられ、DIP法とも呼ばれます。仕組みは、意外なほどシンプルです。

🦴 MD法のしくみ

  1. 左手を、厚さの決まったアルミニウム製の基準板(アルミスケール)と一緒に撮影します。
  2. 撮影した画像を解析ソフトに取り込み、第2中手骨(人差し指のつけ根から手首に向かう骨)の濃さと、アルミスケールの濃さをコンピュータが比較します。
  3. 骨の濃さを「アルミニウム何ミリ分に相当するか」に換算し、ΣGS/Dという指標として数値化します。
  4. その数値を、同年代・若年成人の平均と比べて評価します。

同じ画像のなかに「ものさし」を一緒に写し込むことで、撮影条件のばらつきを補正できる——これがMD法の考え方です。

📈 測った値は、グラフで追いかけられます

当院の骨密度測定ソフトには、ぜひ知っておいていただきたい機能があります。

  • 標準値との比較:同年代の標準値と正常域を重ねて表示し、ご自身の値がどの位置にあるかを一目で確認できます。
  • 経過観察グラフ:測定するたびに値が折れ線で積み上がり、骨の量が増えているのか、保てているのか、減っているのかが見た目でわかります。
  • レポートの出力:結果は用紙にしてお渡しできます。ご家族と共有したり、他の医療機関にかかるときにお持ちいただけます。

第3章でお伝えした「目標を決めて、到達したかを確かめる」という2025年版の考え方は、変化が見える形で残ることではじめて実感を伴います。実感のない薬を何年も続けるのは、誰にとっても難しいことです。グラフが上を向いているのを一緒に確認できることが、治療を続ける力になると考えています。

💡 患者さんにとっての利点

  • 手を置いて撮るだけ。着替えも、装置に寝ることも必要ありません。
  • 短時間で終わります。内科の受診のついでに受けていただけます。
  • その日のうちに結果がわかります。外部に解析を委託しないため、後日あらためて聞きに来ていただく必要がありません。
  • 被ばくがごくわずかです(前章のとおり)。
  • 保険診療で受けられます(骨塩定量検査として算定されます)。
  • 同じ条件で繰り返し測れるため、治療の効果を追いかけるのに向いています。

最後の点が、とくに大切だと考えています。第3章でお伝えしたとおり、2025年版のガイドラインは目標を決めて、到達したかどうかを確かめる治療を示しました。確かめるには、測り続けられることが前提になります。内科のかかりつけとして血圧や血糖を診ている当院で、そのついでに骨も追える——この積み重ねが、骨折を防ぐ力になると考えています。

7. MD法でわかること・わからないこと|レントゲン・DXAとの組み合わせ

ここは、正直にお伝えしておかなければならない部分です。MD法は万能ではありません。ただし「診断にはまったく使えない検査」でもありません。

日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会の原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)では、骨密度は原則として腰椎または大腿骨近位部で評価し、その標準的な測定方法はDXA法(デキサ法/二重エネルギーX線吸収測定法)です。そのうえで、基準には次の但し書きがあります。

「骨密度は原則として腰椎または大腿骨近位部骨密度とする。(中略)これらの測定が困難な場合は橈骨、第二中手骨の骨密度とするが、この場合は%のみ使用する。」

― 原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)より

第二中手骨は、MD法が測っている手の骨そのものです。つまり、腰椎や大腿骨近位部の測定が難しい方では、MD法の結果(%YAM)で診断することが認められています。ただし「測定が困難な場合」とは、背骨の変形や、股関節・腰椎の手術で金属が入っているなど、その方の腰椎・大腿骨を正しく測れない場合を指します。また、MD法の値をTスコアに読み替えて判定することはしません。MD法の基本的な役割がスクリーニング(ふるい分け)と経過観察であることに変わりはありません。

  MD法(当院) DXA法(連携医療機関)
測る場所 手(第2中手骨) 腰椎・大腿骨近位部(診断の基準部位)
位置づけ スクリーニング・経過観察
(腰椎・大腿骨の測定が困難な場合は診断にも)
診断の標準
手軽さ 手を置いて撮るだけ。短時間 専用装置に寝て測定。設置施設が限られる
向いている場面 まず調べたいとき/治療効果を繰り返し追うとき 診断を確定するとき/治療開始を判断するとき

🦴 背骨のレントゲンで、もう一つの診断の道

骨粗鬆症の診断は、骨密度だけで決まるわけではありません。背骨(椎体)や大腿骨近位部に脆弱性骨折がある方は、骨密度の値にかかわらず骨粗鬆症と診断されます(第4章)。背骨の骨折は痛みのないまま起こる「いつの間にか骨折」であることが多く、胸椎・腰椎の側面レントゲン1枚で初めて見つかることも少なくありません。新しくなった当院のレントゲンで撮影できるのは手だけではなく、胸腰椎もその場で確認できます。
※ 診断にあたっては、ほかの病気や薬が原因の骨量低下(続発性骨粗鬆症)や、ほかの骨の病気がないことを確認することが前提になります。

🏥 当院の進め方

まず当院のMD法で骨の量を調べます。結果が良好で危険因子もなければ、生活習慣のアドバイスをしたうえで定期的に測り直します。骨量の低下がみられた場合は、①胸腰椎のレントゲンで気づかれていない背骨の骨折がないか、②FRAX®で今後10年間の骨折確率、③採血でほかの病気が隠れていないかを、あわせて当院で確認します。ここで診断がつき、そのまま治療を始められる方が少なくありません。判断が難しい場合や、若い方・ほかの病気が背景にある可能性がある場合には、腰椎・大腿骨近位部のDXA精密検査を連携医療機関にご紹介します。治療が始まった後は、通院しやすい当院で経過を追う——この組み合わせが、続けやすさと正確さの両立につながると考えています。

8. 薬の選び方|2025年版で加わった薬と「骨を作る薬を先に」

骨粗鬆症の薬は、はたらき方で大きく2つに分かれます。骨が壊れるのを抑える薬(骨吸収抑制薬)と、骨を新しく作らせる薬(骨形成促進薬)です。

種類 主な薬と特徴
骨吸収抑制薬 ビスホスホネート製剤(内服・注射。2025年版では年1回点滴のゾレドロン酸が追加)、デノスマブ(6か月に1回の皮下注射)、SERM など。骨が壊れる速度を抑えます。
骨形成促進薬 テリパラチド、アバロパラチド(2025年版で追加)。骨を新しく作るはたらきを高めます。使用できる期間に上限があります。
両方にはたらく薬 ロモソズマブ(2025年版で追加)。骨を作る作用と壊れるのを抑える作用を併せ持ちます。心血管イベントの既往がある方では慎重な判断が必要です。
補助として 活性型ビタミンD₃製剤、ビタミンK₂製剤、カルシウム製剤など。単独ではなく、上記と組み合わせて用いられます。

📊 2025年版の方針転換:高リスクなら「作る薬」から始める

これまでは、多くの場合ビスホスホネートなどの骨吸収抑制薬から開始するのが一般的でした。2025年版では、椎体骨折・大腿骨近位部骨折・骨盤骨折があるなど、近い将来の骨折リスクがとくに高い方には、骨形成促進薬を先に1〜2年使うという方針が示されています。

理由は、骨形成促進薬のほうが骨密度を早く引き上げられるためです。第3章でご説明した「Tスコア −2.5 を超える」という目標に、より確かな見込みで届かせる——そのための順番です。なお骨形成促進薬は使用期間に上限があるため、使い終わった後に骨吸収抑制薬へ引き継ぐ(逐次療法)ことが前提になります。ここで薬をやめてしまうと、せっかく増えた骨密度が失われます。

⚠ 自己判断で中断しないでください

骨粗鬆症の薬は、飲んでも「効いている実感」がありません。そのため途中でやめてしまう方が非常に多いのが実情です。とくにデノスマブは、中止すると骨密度が急速に低下し、背骨の骨折が起こりやすくなることが知られており、やめる場合は必ず次の薬へ引き継ぐ必要があります。歯科治療(抜歯やインプラント)を予定されている場合も、自己判断で中断せず、歯科医師と当院の双方にお伝えください。

🩸 薬が効いているかは「骨代謝マーカー」で早めに確かめます

骨密度は、いわば骨の「在庫の量」です。変化がゆっくりなため、数値に差が出るまでに時間がかかります。一方、採血で測る骨代謝マーカーは、骨が壊される・作られる「流れ」を表す指標です(骨吸収マーカーのTRACP-5b、骨形成マーカーのP1NPなど)。

薬の効果は3〜6か月ほどで骨代謝マーカーに表れるため、治療が効いているか、薬をきちんと続けられているかを早い段階で確かめられます。2026年度の診療報酬改定で骨密度の測定は原則1年に1回になりましたので(FAQ Q4)、その間を骨代謝マーカーで補うのが合理的です。なお骨代謝マーカーは診断に用いるものではなく、薬の選択と効果の確認に用います。

9. 食事・運動・転倒予防|薬と同じくらい大切なこと

骨粗鬆症の治療は、薬だけで完結しません。骨を強くすることと転ばないことは、車の両輪です。どれほど骨密度が上がっても、転べば折れます。

🥗 カルシウムとたんぱく質

乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜を毎日の食事に。骨はコラーゲンという「鉄筋」にカルシウムという「コンクリート」がついた構造ですから、たんぱく質も欠かせません。

☀ ビタミンDとビタミンK

ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。魚やきのこ、そして適度な日光浴で作られます。ビタミンKは納豆や緑黄色野菜に多く含まれます。

🚶 骨に体重をかける運動

骨は刺激を受けると強くなります。ウォーキング、かかとの上げ下ろし、片脚立ち、椅子からの立ち座り。無理のない範囲で、毎日続けられる形を選んでください。

🌳 転ばない環境をつくる

つまずきの多くは玄関・敷居・浴室・電気コードです。夜間のトイレまでの動線に足元灯を。視力・聴力の補正、ふらつく薬の見直しも転倒対策のうちです。

🚭 禁煙と節酒

喫煙と過度の飲酒は、いずれも骨折の危険因子としてFRAX®の計算項目に入っています。お酒を1合減らすことも、立派な骨粗鬆症対策です。

💊 持病と薬の見直し

ステロイドの長期使用、糖尿病、関節リウマチ、慢性腎臓病は骨に影響します。ステロイドを3か月以上使う予定の方は、骨粗鬆症の評価が推奨されます。

🔁 3軸クロスポイント:骨粗鬆症を「糖尿病」「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

骨粗鬆症は整形外科の病気だと思われがちです。しかし当院の3軸アプローチ——糖尿病・生活習慣病、認知症・神経、抗加齢医学——で眺めると、これは内科が真正面から診るべき病気であることが見えてきます。

🩸 軸1: 糖尿病との関連 ―「骨密度が正常なのに折れる」という落とし穴

糖尿病と骨粗鬆症には、見落とされやすい関係があります。とくに2型糖尿病では、骨密度が正常あるいは高めであっても、骨折しやすいことが知られています。理由は骨の「量」ではなく「質」にあります。高血糖が続くとコラーゲンにAGEs(終末糖化産物)が蓄積し、骨の鉄筋にあたる部分がもろくなる——数値では見えない劣化が進むのです。だからこそ糖尿病の方では、骨密度の数字だけで安心してはいけません。さらに、糖尿病神経障害による足裏の感覚低下、網膜症による見えにくさ、起立性低血圧、そして低血糖によるふらつきが、転倒の確率そのものを押し上げます。一部の糖尿病治療薬が骨折リスクに影響することも報告されています。糖尿病専門外来(水曜)で血糖を診ながら、同じ窓口で骨も測れる——これが内科で骨粗鬆症を診る意味だと考えています。

🧠 軸2: 認知症・神経系との関連 ― 骨折が認知機能を落とすことがあります

認知症のある方は、転倒の頻度が高く、骨折のリスクも高いことが知られています。注意力や空間の認識、危険の予測が難しくなるためです。そして関係は逆方向にもはたらきます。大腿骨を骨折して入院すると、せん妄が起こりやすく、数週間の安静によって生活の力が大きく損なわれることがあります。「入院前と比べて、もの忘れが進んだ気がする」とご家族がおっしゃることは、決してめずらしくありません。さらに転倒は、慢性硬膜下血腫という「治せる認知症」の入口でもあります。パーキンソン病、正常圧水頭症、末梢神経障害、めまい——脳神経内科が診ている病気の多くが、そのまま転倒の原因です。骨を強くする治療と、転ばせない診療。当院が認知症外来・脳神経内科を併設したまま骨粗鬆症に取り組むのは、この2つを切り離したくないからです。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命 ― 骨と筋肉は、一緒に落ちていきます

抗加齢医学の視点でお伝えしたいのは、骨粗鬆症とサルコペニア(筋肉の減少)は、別々に起こるのではなく一緒に進むということです。両方が重なった状態は「オステオサルコペニア」と呼ばれ、転倒と骨折の危険がさらに高まります。筋肉が骨を引っ張る力そのものが骨を強くする刺激ですから、筋肉が落ちれば骨も落ちます。そして対策も共通しています——十分なたんぱく質、ビタミンD、体重をかける運動。骨のためにやることと、筋肉のためにやることは、ほとんど同じです。介護が必要となった原因の上位に骨折・転倒が並ぶことを思えば、骨を測って、必要なら治すという一手は、平均寿命と健康寿命のギャップを縮める作業そのものです。骨粗鬆症は、老化の"見える化"ができる数少ない領域でもあります。

🏥 センター南で診るという選択(当院が選ばれる理由)

骨粗鬆症の治療は、始めることより続けることのほうが難しい病気です。実感のない薬を、何年も。だからこそ「通いやすさ」が治療成績そのものを左右します。当院がこのテーマをどう診ているかを、事実だけでお伝えします。

理由① レントゲンシステムを刷新しました

株式会社アールエフのフルデジタルレントゲン「NAOMI」を導入しました。撮影から約5秒で画像表示。撮ったその場で、診察室のモニタをご覧いただきながらご説明できます。デジタル化によりX線量も抑えられます。

理由② MD法の骨密度測定を院内で行えます

手を置いて撮るだけ。外部委託なしで、およそ5分後の診察でそのまま結果をご説明できます。保険診療で受けていただけ、経過観察グラフで変化も追えます。

理由③ 精密検査は連携医療機関へつなぎます

骨量の低下がみられた場合は、胸腰椎のレントゲン・採血・FRAX®をあわせて当院で評価します。判断が難しい場合は、腰椎・大腿骨近位部のDXA精密検査を連携医療機関にご紹介し、治療と経過観察は当院で続けられます。

理由④ 糖尿病専門外来があります

糖尿病専門外来は水曜午前、理事長・五藤 良将(日本糖尿病協会登録医・日本抗加齢医学会専門医)が担当。骨質の劣化という見えにくいリスクまで含めて拝見します。

理由⑤ 脳神経内科・認知症外来を併設しています

めまい・しびれ・ふるえ・歩行障害・もの忘れ。転倒の原因そのものを同じ窓口で診られます。骨を強くする治療と転倒予防を切り離しません。

理由⑥ 通いやすさ|18:30まで・土曜14時まで

月・水・木・金は18:30まで、土曜は9:00〜14:00 休憩なし。センター南駅から徒歩9分、駐車場4台。長く続ける治療だからこそ、通いやすさを大切にしています。

「身長が縮んだ気がする」「親が転ぶようになった」——そう感じたら、折れる前に一度お測りください。

melmoのWEB予約は24時間受付中です。骨密度測定をご希望の方は、その旨お知らせください。

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11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 何歳から骨密度を測ればよいですか?

女性は閉経を迎えたころが一つの目安です。女性ホルモンが減ると骨量が急速に落ちるためで、国の骨粗鬆症検診(健康増進法にもとづく住民検診)は、40歳から70歳までの女性を5歳刻み(40・45・50・55・60・65・70歳)で対象としています。男性はこの検診の対象ではありませんが、ステロイドの長期使用、糖尿病、関節リウマチ、慢性腎臓病、喫煙、多量飲酒などがあれば、年齢や性別にかかわらず測る意味があります。骨折歴やご家族に大腿骨骨折歴がある場合も、ぜひご相談ください。

Q2. MD法だけで骨粗鬆症の診断はつきますか?

つく場合があります。MD法は本来スクリーニングと経過観察のための検査ですが、診断基準(2012年度改訂版)では、腰椎・大腿骨近位部の測定が難しい場合に、第二中手骨(MD法で測る手の骨)の骨密度で診断することが認められています(この場合は%YAMで判定します)。また当院では、MD法で骨量の低下がみられた方に胸腰椎のレントゲンを追加し、気づかれていない背骨の骨折がないかを確認します。背骨の骨折が見つかれば、骨密度の値にかかわらず治療の対象になります。判断が難しい場合や、若い方・ほかの病気が背景にある可能性がある場合には、連携医療機関でのDXA精密検査をご紹介し、その後の治療は当院で続けられます。

Q3. 検査に時間はかかりますか。準備は必要ですか?

MD法は左手を台に置いて撮影するだけです。着替えも、装置に寝ることも必要ありません。短時間で終わりますので、内科の定期受診のついでに受けていただけます。指輪などの金属は外していただきます。妊娠の可能性がある方は必ず事前にお知らせください。

Q4. どのくらいの間隔で測り直せばよいですか?

2026年度の診療報酬改定(2026年6月1日施行)で、骨密度測定(骨塩定量検査)の回数のルールが見直されました。現在は原則として1年に1回で、次のいずれかに当てはまる場合に限り4か月に1回まで測定できます。

  • 骨粗鬆症の治療を始めてから1年以内
  • 新たに骨折した
  • ガイドラインが示す骨折の危険因子が新たに増えた
  • ビスホスホネート薬の休薬を検討している
  • ステロイド(グルココルチコイド)、アロマターゼ阻害薬、抗アンドロゲン薬、骨形成促進薬など、骨量を減らす・増やす薬を使っている
  • 吸収不良、全身性の炎症性疾患、長期の寝たきり、人工閉経など、骨量に影響する病気・状態がある

これを踏まえ、当院では次の間隔を目安にしています。
・治療中の方:開始から1年間は4か月ごと、その後は1年に1回(その間は骨代謝マーカーで効果を確認)
・骨量減少で、まだ治療をしていない方:1年に1回
・ステロイド治療中など上の例外に当てはまる方:状態に応じて4か月ごとまで
・骨密度が正常で危険因子のない方:数年に1回を目安に(自治体の骨粗鬆症検診もご活用ください)
骨密度はゆっくり変化するため、短い間隔で測っても差が読み取りにくいという事情もあります。具体的な間隔は、状態とお薬に応じてご提案します。

Q5. 骨代謝マーカーとは何ですか?骨密度とどう違うのですか?

骨代謝マーカーは、骨が壊される(骨吸収)・作られる(骨形成)「流れ」を採血で調べる指標です。骨密度が骨の「在庫の量」を表し、変化に1年単位の時間がかかるのに対し、骨代謝マーカーは薬の効果が3〜6か月ほどで表れます。そのため、治療が効いているか、薬をきちんと続けられているかを早めに確認するのに役立ちます。骨密度の測定が原則年1回となった今、その間の経過を追う手段として当院でも活用しています。なお、骨代謝マーカーは診断に用いるものではありません。

Q6. 骨密度が低いと言われたら、すぐ薬を飲むのですか?

いいえ、必ずしもそうではありません。数値・骨折歴・危険因子・FRAX®による骨折確率を合わせて判断します。骨量減少の段階で危険因子がなければ、食事・運動・転倒予防を整えたうえで定期的に測り直すという選択もあります。逆に、骨密度が正常でも背骨や大腿骨の骨折があれば治療の対象です。一人ひとり違いますので、診察のうえでご一緒に決めましょう。

Q7. 薬を始めたら、一生やめられないのですか?

一生続けると決まっているわけではありません。2025年版では治療の継続期間や休薬についても整理されており、目標に到達したあとの方針を検討できます。ただし自己判断での中断は避けてください。とくにデノスマブは中止で骨密度が急速に低下し、背骨の骨折が起こりやすくなることが知られており、やめる場合は次の薬へ引き継ぎます。歯科治療を予定されている場合も、中断せずに歯科医師と当院の双方へお伝えください。

AUTHOR / SUPERVISOR

医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(ごとう よしまさ)

  • 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
  • 医療法人社団 五良会 理事長/医療法人社団 正友会 理事長/竹内内科小児科医院 院長
  • 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
  • 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
  • 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
  • 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数

執筆・監修責任について

本記事は、五藤 良将が公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで執筆・監修しています。内容は公開時点の情報に基づくものであり、新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、五良ファミリークリニック センター南(045-942-7783)までお知らせください。

📚 主要参考文献・出典

  • 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』(日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団、ライフサイエンス出版、2025年)
  • 日本骨粗鬆症学会「ガイドライン」(出版物)
  • 日本医師会 生涯教育シリーズ「かかりつけ医に必要な骨粗鬆症への対応」(2025年)
  • 厚生労働省「国民生活基礎調査」(介護が必要となった主な原因)
  • 福永仁夫 監修「DIP法による骨塩定量検査について」
  • 株式会社アールエフ「NAOMIレントゲンセンサー」カタログ/「NAOMIの骨密度測定」資料/「当院ではレントゲン検査をデジタル化しています」被ばく量比較資料


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理事長 五藤 良将

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