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にきびの治療

 
 
ACNE TREATMENT GUIDELINE 2023

にきびの治療
〜ガイドラインに沿って、跡を残さず治す〜

医療法人社団 正友会 理事長・五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医)より、ベピオ・ディフェリン・デュアック・エピデュオなど保険治療薬の正しい使い方と、思春期・大人にきびそれぞれの最新治療をやさしく解説します。

皮膚科
ガイドライン2023
思春期にきび
大人にきび

「中学生の子のにきびが急に増えた」「30代になっても顎にきびが繰り返す」「市販薬で治らない」――旧・浜クリニックの時代から、こうしたご相談を本当に多く頂戴してきました。

結論からお伝えします。にきびは「皮脂・角化・アクネ菌・炎症」の4つが絡む慢性疾患であり、保険診療の外用薬(ベピオ®・ディフェリン®・デュアック®・エピデュオ®)を医師の指示どおり継続することで、ほとんどの方は数か月で改善し、にきび跡もしっかり予防できます

本記事では、日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」に沿って、にきびの正しい治療段階、薬の選び方・塗り方、副作用対策、跡を残さないコツ、当院での治療の流れまで、ご家族で読んで分かるようにまとめました。さらに保険外の本格的治療(ケミカルピーリング、ダーマペン、IPL等)は姉妹院の五良会クリニック白金高輪で行っていますので、その役割分担についても触れます。

1. にきびとは何か ― 4つの原因とできるしくみ

にきびは、医学的には「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれる毛包脂腺の慢性炎症性疾患です。「青春のシンボル」と言われた時代もありますが、近年は20代〜40代の女性を中心に「大人にきび」の患者さんが急増しており、慢性疾患として正面から治療すべき病気と位置づけられています。

📊 にきびができる4つのプロセス

  1. 皮脂分泌の亢進:男性ホルモン(テストステロン)・成長ホルモン・ストレスホルモンで皮脂腺が活発に
  2. 毛穴出口の角化異常:古い角質がはがれず毛穴を塞ぐ → コメド(白にきび/黒にきび)の出現
  3. アクネ菌(Cutibacterium acnes)の増殖:塞がれた毛穴は嫌気性環境となりアクネ菌が爆発的に増殖
  4. 炎症の発生:アクネ菌の代謝産物と免疫反応で赤にきび・黄にきびに進行 → 放置すると瘢痕(にきび跡)に

この4つは 順番に起こるのではなく同時並行で進行するため、治療も「皮脂を抑える・角化を整える・菌を減らす・炎症を抑える」を同時にカバーする外用薬を選ぶのが現代医療の主流です。後述するベピオ®・ディフェリン®・配合剤(デュアック®/エピデュオ®)が第一選択となる理由はここにあります。

2. にきびの段階分類(白・黒・赤・黄・嚢腫)

にきびは段階によって治療薬・治療強度が変わります。ご自身・お子さんのにきびがどの段階か、まずは把握してみてください。

段階 見た目 中身 第一選択の治療
白にきび
(閉鎖コメド)
白〜肌色の小さなブツブツ 皮脂・角質が毛穴に詰まっただけ ディフェリン® or エピデュオ®
黒にきび
(開放コメド)
毛穴の頭が黒い小点 毛穴が開き皮脂が酸化 ディフェリン® or エピデュオ®
赤にきび
(炎症性丘疹)
赤く膨らみ少し痛い アクネ菌増殖+炎症 デュアック® or エピデュオ®(±抗菌薬内服)
黄にきび
(膿疱)
先端が黄白色(膿) 炎症が進み膿がたまった状態 デュアック®+抗菌薬内服(ビブラマイシン®等)
嚢腫・硬結 大きく硬いしこり、深い赤み 真皮深部まで炎症が及ぶ 皮膚科専門治療+面皰圧出・自費治療検討

📊 「跡が残るかどうか」の分かれ目

白にきび・黒にきびの段階で治療を始めれば、にきび跡(瘢痕)はほぼ残りません。一方、赤にきびを放置して嚢腫まで悪化させると、クレーター状の凹みや色素沈着が長期に残るリスクが急上昇します。「赤くなったら受診」ではなく、「ブツブツが出始めた時点で受診」こそが跡を残さない最大のコツです。

3. 日本皮膚科学会ガイドライン2023の治療アルゴリズム

当院は日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(2023年3月発行)に準拠して治療を行います。このガイドラインは47個のクリニカルクエスチョン(CQ)でにきび治療を体系化しており、世界基準と比較しても遜色のない内容です。

📚 ガイドライン2023が「強く推奨」する治療

  • 過酸化ベンゾイル(BPO)外用=ベピオ®:炎症性・面皰両方に強く推奨(CQ)
  • アダパレン外用=ディフェリン®:面皰中心の症例で強く推奨
  • BPO+クリンダマイシン配合剤=デュアック®:炎症性に強く推奨
  • BPO+アダパレン配合剤=エピデュオ®:中等症〜重症で強く推奨
  • 抗菌薬内服(ドキシサイクリン等):中等症以上の炎症性にきびに推奨、ただし3か月以内の使用が原則
  • 維持療法:寛解後もアダパレン or BPO単剤を継続することを推奨

ポイントは2つです。①「外用薬中心、内服薬は短期間」という大原則。②「治っても塗り続ける(維持療法)」という発想。市販薬を場当たり的に使うのとは設計思想が根本から異なります。

4. 保険適応の外用薬を徹底比較

当院で実際に処方している4種類の主力外用薬について、「何にどう効くか」「副作用と対処」「向いている人」を表で整理します。

薬剤 主成分 主な作用 向いている人
ベピオ®ゲル/ローション 過酸化ベンゾイル2.5% アクネ菌を強力に減らす+軽い角質剥離+耐性菌を作らない 初発・軽症の方、抗菌薬の耐性が心配な方
ディフェリン®ゲル アダパレン0.1%(レチノイド類) 角化を正常化しコメド(白・黒にきび)を予防 白にきびが多い方、繰り返す方の維持療法
デュアック®配合ゲル クリンダマイシン1%+過酸化ベンゾイル3% 炎症を速やかに鎮める(赤・黄にきびに強い) 赤くなった・痛むにきびが多い方
エピデュオ®配合ゲル アダパレン0.1%+過酸化ベンゾイル2.5% 面皰・炎症の両方に同時アプローチ(オールラウンダー) 混合型・中等症以上、まとめて治したい方

💡 当院での「最初の一手」

初診で皮疹がそれほど多くない方には、ベピオ®単独 or ディフェリン®単独から始め、肌の反応を見て4週後に配合剤(エピデュオ® or デュアック®)にステップアップするのが当院の標準アプローチです。最初から強い薬を出すと、皮膚刺激でドロップアウトする方が多いためです。

⚠ 副作用 ―「赤み・乾燥・ヒリヒリ感」はほぼ必発
ベピオ®・ディフェリン®・配合剤はいずれも開始2〜4週は赤み・乾燥・皮むけが出ます。これは「効いている証拠」でもありますが、強すぎる場合は ①夜だけ・週2〜3回から始める ②保湿剤(ヘパリン類似物質など)を併用 ③1週間休んで再開などで多くは乗り越えられます。痛みや赤みが我慢できないときは自己中断せず必ずご相談ください。

5. 内服薬:抗菌薬・漢方・ビタミン剤の使いどころ

外用薬だけでコントロールが難しい中等症以上では、内服薬を「短期集中」で併用します。

💊 抗菌薬(ビブラマイシン®等)

炎症の強い赤・黄にきびに有効。耐性菌予防のため原則3か月以内で減量・中止。授乳中・小児は処方制限あり。

🌿 漢方薬(清上防風湯・荊芥連翹湯・桂枝茯苓丸 等)

体質・体力・月経関連性を考慮し選択。赤ら顔タイプには清上防風湯、月経前に増悪する方には桂枝茯苓丸料加薏苡仁などを使い分けます。

🥬 ビタミン剤(B2・B6・C)

皮脂分泌調整・抗酸化作用を期待し、外用薬と併用。ピリドキシン(B6)、リボフラビン(B2)、アスコルビン酸(C)を症状に応じ処方します。

🌱 ヨクイニン(ハトムギ)

古典的だが角質代謝改善・排膿作用が期待できる漢方系の補助薬。市販品もあり、長期内服に向いています。

6. 維持療法 ― 治った後こそ「塗り続ける」のがコツ

にきび治療で最も知られていないけれど最も重要なのが、この「維持療法」という考え方です。にきびはアトピー性皮膚炎と同じく慢性疾患であり、皮疹が消えても毛包の異常は残っています。

🏥 維持療法の標準スケジュール

  • 0〜3か月(導入期):エピデュオ®/デュアック®など配合剤を毎晩塗布。必要に応じ抗菌薬内服
  • 3〜6か月(寛解導入期):皮疹が落ち着いてきたら配合剤を週3回に減量、保湿を強化
  • 6か月〜(維持療法)ディフェリン® or ベピオ®単剤を週2〜3回、6〜12か月以上継続。これで再発率が大きく下がります
  • 再燃時:早めに配合剤に戻す(市販薬で粘らないのが鉄則)

「治ったら通院もスキンケアもやめる」のではなく、「治ったから塗り続けて再発を防ぐ」。これが2023年ガイドラインの最大のメッセージです。

7. 思春期にきび vs 大人にきび ― 攻め方の違い

項目 思春期にきび(10〜20代前半) 大人にきび(20代後半〜40代)
主な部位 Tゾーン(額・鼻)中心 Uゾーン(顎・フェイスライン)中心
主因 皮脂分泌過剰 乾燥・ホルモン変動・ストレス・睡眠不足
主な皮疹 白・黒・赤にきびが混在 深い赤にきび・硬結が繰り返す
スキンケア 「洗いすぎ」が逆効果。朝晩1回の洗顔で十分 保湿が必須。ノンコメドジェニックの乳液を併用
当院推奨 エピデュオ®/デュアック® + 保湿 ディフェリン® or ベピオ® + 漢方 + 月経周期評価

8. にきび跡を残さないために ― スキンケア・生活習慣

🧼 洗顔

朝晩2回。ぬるま湯+低刺激の洗顔料でやさしく。スクラブ・ピーリング洗顔は控える。

💧 保湿

ノンコメドジェニック表示の乳液・ジェルを薄く塗る。乾燥は皮脂分泌を増やし悪循環の元。

☀ 紫外線対策

SPF30以上+ノンコメドジェニックの日焼け止め。紫外線は炎症後色素沈着(にきび跡の黒ずみ)を加速します。

🍔 食事

高GI食(精製糖・白米大量)と乳製品の過剰摂取は悪化要因の可能性。野菜・魚・大豆中心の食事を。

😴 睡眠

6〜7時間の睡眠で成長ホルモンが分泌され肌が修復。睡眠不足は男性ホルモン優位を招き悪化。

❌ NG行動

「つぶす」「触る」「前髪で隠す」「コンシーラー厚塗り」は跡を残す最大の要因。市販ピーリング剤の自己使用も避けて。

9. 当院の診療と、白金高輪の自費治療との役割分担

五良ファミリークリニック センター南では、保険診療の範囲で「早期介入・適切な維持療法・跡を作らない」を徹底しています。一方、瘢痕治療や色素沈着治療など保険外で対応すべき領域については、姉妹院の五良会クリニック白金高輪で対応します。

領域 センター南(保険) 白金高輪(自費)
活動性にきびの治療 ○ 外用薬・内服薬・面皰圧出 △ ケミカルピーリング併用
ケミカルピーリング ○ サリチル酸マクロゴール・グリコール酸
ダーマペン4(凹みにきび跡) ○ クレーター瘢痕治療の第一選択
IPL光治療・フラクショナルレーザー ○ 赤み・色素沈着・毛穴開大に
高濃度ビタミンC点滴・トラネキサム酸内服 ○ 抗酸化・色素沈着対策
アンチエイジング外来連携 ○ 大人にきび×糖化(AGEs)対策の総合診療

💡 まずはセンター南でスタートを

「いきなり美容皮膚科で高額自費治療」は当院としてもおすすめしません。まず保険診療で土台を整え、必要な方だけ白金高輪の自費治療にステップアップするのが、医学的にも経済的にも最も合理的です。グループ内でカルテ情報を共有できるため、二度手間もありません。

🔁 3軸クロスポイント:にきびを「糖尿病」「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

にきびは「皮膚だけの病気」ではありません。当院が掲げる3軸アプローチ(糖尿病×認知症×抗加齢)から見ると、にきびは全身の代謝・神経内分泌・老化スピードを映す「肌に出る生活習慣のサイン」でもあります。

🩸 軸1: 糖尿病・代謝との関連

高GI食(精製糖・白米・菓子パン)はインスリン・IGF-1を急上昇させ、皮脂分泌と角化異常を促進します。米国皮膚科学会のレビューでも、低GI食への切り替えはにきびを有意に改善させると報告されています。大人にきびが治りにくい方は、HbA1cや空腹時血糖、インスリン抵抗性を一度評価することをお勧めします。当院は糖尿病内科併設のため、皮膚と代謝を同じ医師が一気通貫で診られます。

🧠 軸2: 認知症・自律神経との関連

にきびは慢性ストレスと密接です。コルチゾール(ストレスホルモン)が皮脂腺を直接刺激し、睡眠不足は炎症性サイトカインを増やします。中高年期のにきびが治りにくい方は、うつ・不安・睡眠障害が隠れていることが多く、当院の心療内科でも対応します。皮膚と心はつながっており、睡眠と自律神経を整えることは、将来の認知症予防にもつながります。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命

繰り返すにきびと炎症は「インフラメイジング(炎症性老化)」の入り口です。慢性炎症は皮膚老化(しわ・たるみ)だけでなく、動脈硬化・がん・認知症の共通リスク因子。日本抗加齢医学会専門医の視点からは、にきびを抑えることは「老化スピードを遅らせる第一歩」でもあります。AGEs(糖化最終産物)測定や抗酸化療法は姉妹院の白金高輪で受けられます。

10. 関連ブログ・関連クリニック

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11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. ベピオ®・ディフェリン®を塗ったら赤くなり、皮がむけました。やめた方がよいですか?

A. 開始2〜4週はほぼ全員に出る正常な反応です。①夜だけ、週2〜3回から始める ②十分な保湿(ヘパリン類似物質など)を併用する ③一週間休んで再開する、で多くは乗り越えられます。痛みが強い・水ぶくれが出る・全顔が真っ赤になる場合は自己判断で続けず必ず受診してください。

Q2. 効果が出るまでどれくらいかかりますか?

A. 赤にきびは2〜4週、白・黒にきびは2〜3か月での改善を目指します。維持療法は6か月以上を推奨します。途中でやめると再発しやすいので、最低でも3か月は計画的に通院してください。

Q3. 妊娠中・授乳中ですが治療できますか?

A. ディフェリン®(アダパレン)とエピデュオ®は妊婦・授乳婦には原則使用しません。ベピオ®・デュアック®は症状や時期によって慎重に判断します。漢方薬・ヨクイニン・スキンケアと洗顔指導が中心になりますので、必ずご相談ください。

Q4. 何歳から治療できますか?

A. ベピオ®・ディフェリン®は12歳以上、エピデュオ®は12歳以上、デュアック®は12歳以上の使用経験があります。当院は小児科併設のため、小学生のにきびもご相談ください。

Q5. にきび跡(クレーター)は保険で治せますか?

A. 残念ながら、できあがってしまった凹みのにきび跡は保険治療では改善が困難です。ダーマペン4・フラクショナルレーザー・スネコス注射などの自費治療が必要になります。当院で診断したうえで、姉妹院の五良会クリニック白金高輪をご紹介します。

Q6. 化粧はしても大丈夫ですか?

A. ノンコメドジェニック表示のあるベースメイクであれば問題ありません。むしろ「すっぴんで紫外線を浴び続ける」方が色素沈着リスクは高くなります。クレンジングはオイルではなくミルク・ジェルタイプを選び、こすらず落としてください。

執筆|医療法人社団 正友会 理事長 五藤良将

五良ファミリークリニック センター南/竹内内科小児科医院/五良会クリニック白金高輪

 

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