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糖尿病

 
 
DIABETES — DIAGNOSE, TREAT, PROTECT YOUR FUTURE

糖尿病の予防・診断・治療
〜HbA1c・合併症・GLP-1/GIP・インスリン指導までを「3軸」で診る〜

糖尿病は「血糖が高い」だけの病気ではありません。心筋梗塞・脳卒中・認知症・がん・腎不全・失明・足の切断と、人生のあらゆる場面に影を落とす全身病です。一方で、早期発見・適切な治療・スティグマのない受診環境が整えば、糖尿病があっても糖尿病のない人とほぼ変わらない人生を送れる時代に入りました。横浜・センター南のかかりつけ目線で、最新のエビデンスにもとづいた予防・診断・治療を整理します。

糖尿病内科
GLP-1/GIP
インスリン指導
合併症(がん・認知症)
スティグマ/アドボカシー

― はじめに:糖尿病は「叱られる病気」ではありません ―

「健診でHbA1cを指摘された」「親が糖尿病だから自分も心配」「もう何年も通院していない」――センター南の外来でも、ご本人やご家族からこうしたご相談を毎日のように頂きます。旧名称・浜クリニックの時代から地域の皆さまに親しまれてきた当院では、内科・糖尿病内科・神経内科・認知症外来・頭痛外来・心療内科を併設し、糖尿病とその合併症を「全身病」として横断的に診ています。

結論からお伝えします。糖尿病は「自己責任」「だらしないからなる病気」ではなく、遺伝・体質・社会環境が複雑に絡む慢性疾患です。「叱る診療」では血糖は下がりません。「責めずに伴走する診療」と「最新の治療薬(GLP-1/GIP受容体作動薬、SGLT2阻害薬、新世代インスリン)」を組み合わせれば、合併症のない人生を十分に目指せます。

本ページでは、1型・2型の違いから、診断基準(HbA1c・75gOGTT)、見逃したくない合併症(神経・網膜・腎症・心筋梗塞・脳卒中・認知症・がん(特に大腸がん・肝がん・膵がん)・歯周病・骨折・フレイル)、治療の3本柱(食事・運動・薬物)、GLP-1/GIP受容体作動薬(チルゼパチド)やSGLT2阻害薬の使い分けインスリン自己注射の導入と指導、そして「糖尿病スティグマ」とアドボカシー(病名変更:『ダイアベティス』)まで、最新ガイドラインにもとづいて整理しました。

📖 目次

  1. 糖尿病とは?──「6人に1人」時代と4つのタイプ
  2. 「ダイアベティス」呼称変更──スティグマとアドボカシー
  3. 診断──HbA1c・空腹時血糖・75gOGTT
  4. 三大合併症──神経障害・網膜症・腎症(細小血管症)
  5. 大血管症──心筋梗塞・脳卒中・末梢動脈疾患
  6. 糖尿病とがん──大腸がん・肝がん・膵がんのリスク
  7. 糖尿病と認知症──「3型糖尿病」と呼ばれる理由
  8. 見落としやすい合併症──歯周病・骨折・フレイル・抑うつ・SAS
  9. 治療の3本柱──食事・運動・薬物療法とHbA1c目標値の個別化
  10. GLP-1/GIP受容体作動薬・SGLT2阻害薬・経口薬の使い分け
  11. インスリン療法と自己注射指導──導入から低血糖対策まで
  12. 🔁 3軸クロスポイント(糖尿病×認知症×抗加齢)
  13. 関連ブログ・関連クリニック
  14. よくあるご質問(FAQ)



1. 糖尿病とは?──「6人に1人」時代と4つのタイプ

糖尿病とは、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が病的に高い状態が慢性的に続く病気の総称です。膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの量が不足するか、効きが悪くなる(インスリン抵抗性)ことで、食事から取り込んだ糖をうまく利用できなくなります。

📊 日本の最新データ(厚生労働省・国民健康栄養調査)

日本では「糖尿病が強く疑われる人」が約1,000万人、「糖尿病の可能性を否定できない人(予備群)」が約1,000万人、あわせて約2,000万人と推計されています。20歳以上の日本人のおよそ6人に1人が糖尿病またはその予備群、という時代です。

🩺 そして日本人糖尿病患者の死因第1位はがん(約40%)。心筋梗塞・脳卒中などの心血管疾患を抑えてトップです(『糖尿病診療ガイドライン2024』)。「糖尿病=血糖の病気」というイメージから、「糖尿病=合併症としてのがん・脳・心・認知症の病気」へと、認識をアップデートする必要があります。

タイプ 原因 頻度・特徴
1型糖尿病 自己免疫やウイルス感染などにより、膵β細胞が破壊されインスリンが出なくなる 糖尿病全体の約5%。小児~若年で発症することが多い。インスリン治療が生涯必須。
2型糖尿病 遺伝的素因+加齢+生活習慣(過食・運動不足・肥満・ストレス・睡眠不足)でインスリンの効きが落ちる 糖尿病の約95%を占める。食事・運動・薬物・GLP-1/GIP・SGLT2・インスリンなど治療選択肢は最も多い。
妊娠糖尿病(GDM) 妊娠中に初めて発見される耐糖能異常。胎盤ホルモンによりインスリン抵抗性が増す 妊婦の約7~9%。出産後改善しても、将来2型糖尿病になるリスクは健常妊婦の約7倍
その他(MODY等) 単一遺伝子異常(MODY)、膵疾患(慢性膵炎・膵がん)、内分泌疾患(クッシング症候群・甲状腺機能亢進症)、薬剤性(ステロイド・免疫チェックポイント阻害薬) 数%。「2型らしくない経過」のときは必ず鑑別が必要。当院では二次性糖尿病の精査も行います。



2. 「ダイアベティス」呼称変更──スティグマとアドボカシー

日本糖尿病学会と日本糖尿病協会(JADEC)は2019年に合同アドボカシー委員会を立ち上げ、糖尿病患者さんが疾患を理由に不利益を被らない社会づくりを進めています。2023年9月、両学会は「糖尿病」という呼称を国際的な「ダイアベティス(Diabetes)」へ変更していく方針を発表しました。

💡 なぜ「スティグマ」が問題なのか

スティグマ(Stigma)とは、特定の属性に対して刻まれる「負の烙印」を意味します。「糖尿病=怠けている」「糖尿病=自業自得」という社会的偏見にさらされた患者さんは、糖尿病であることを隠す→受診を遅らせる→重症化する→医療費が増えるという悪循環に陥りがちです。

実際の研究では、糖尿病スティグマを強く感じる人ほどHbA1cが高く、抑うつ・治療中断・職場や保険での不利益が多いと報告されています。スティグマは「気のせい」ではなく、はっきりとした医学的・社会的問題なのです。

アドボカシーの取り組み 具体的な内容
病名の見直し 「糖尿」が病態を正確に表さず誤解を生むため、英語のDiabetes(ダイアベティス)を段階的に普及。「糖尿病」を直ちに置き換えるのではなく、併用しながら社会的浸透を図っています。
用語の見直し 「血糖コントロール」→「血糖マネジメント(管理)」、「守れない患者」「悪い患者」など患者を責めるニュアンスの言葉を医療現場から無くす取り組み。
不利益の撤廃 糖尿病を理由とした就職差別・生命保険加入拒否・住宅ローン拒否などの是正を働きかけ。患者会・行政・産業界との連携。
正しい知識の普及 「糖尿病は自己責任ではなく、遺伝・加齢・社会環境の影響を受ける慢性疾患」というメッセージを社会全体へ。世界糖尿病デー(11月14日)の啓発活動も。

🏥 当院・センター南の姿勢

当院では「責めない・隠させない・伴走する」を糖尿病診療の基本姿勢にしています。HbA1cが上がってしまった月でも、外来をスキップせずに必ずお越しください。「先生に怒られるから行きたくない」という患者さんの声こそ、私たち医療者が変わらねばならない部分です。なお、姉妹院の竹内内科小児科医院(田園調布)五良会クリニック白金高輪でも、同じ哲学で糖尿病診療を行っています。



3. 診断──HbA1c・空腹時血糖・75gOGTT

糖尿病の診断は、健診の数値ひとつだけで決まるものではありません。『糖尿病診療ガイドライン2024』では、以下のいずれかが2回以上確認されると「糖尿病型」と診断されます。

検査項目 糖尿病型 境界型(要注意)
HbA1c(過去1-2ヶ月の平均血糖) 6.5%以上 6.0~6.4%
空腹時血糖 126 mg/dL以上 110~125 mg/dL
75gOGTT 2時間値 200 mg/dL以上 140~199 mg/dL
随時血糖 200 mg/dL以上+糖尿病症状

💡 「境界型」は安心の合図ではありません

HbA1c 6.0~6.4%・空腹時血糖110~125 mg/dLの「境界型」は、放置すると年間5~10%ずつが本格的な糖尿病に進行します。一方、この段階で生活習慣を整えれば糖尿病へ進む確率を半減できることが多くの研究で示されています。境界型こそ、引き返せる最後のチャンスです。

🩺 当院・センター南で行う糖尿病の初診検査

  • 採血:HbA1c・空腹時血糖・インスリン・C-ペプチド・抗GAD抗体(1型鑑別)・脂質・肝機能・腎機能(eGFR、尿アルブミン)
  • 尿検査:尿糖・尿ケトン・尿アルブミン
  • 75gOGTT(必要時):境界型・妊娠糖尿病後・原因不明の早朝高血糖の鑑別
  • 合併症スクリーニング:眼底検査(連携眼科)、神経伝導検査・振動覚、足診察、心電図、頸動脈エコー
  • がん検診の確認:大腸がん検診(便潜血/大腸内視鏡)・胃カメラ・腹部エコー・胸部CTの実施状況をチェック



4. 三大合併症──神経障害・網膜症・腎症(細小血管症)

高血糖が長期間続くと、目・腎臓・神経の細い血管が傷害されます。これが糖尿病の三大合併症(神経・網膜・腎症)「し(神経)・め(眼)・じ(腎臓)」と覚えるのが古典的です。発症順は概ねこの順番で、目立った自覚症状なく進むため、定期的なスクリーニングが命を守ります。

🦶 ①神経障害(し)

最も早く出る合併症。手足のしびれ・ジンジン感・冷感・感覚低下、起立性低血圧、便秘・下痢、勃起障害など多彩。足の感覚低下→気づかない傷→感染→壊疽→切断という連鎖が最も恐ろしい。毎日の足チェックと、年1回以上の神経伝導検査・振動覚検査が必要です。

👁 ②網膜症(め)

日本における成人後天性失明の主因のひとつ。単純→前増殖→増殖網膜症と進行し、進行期では眼底出血や網膜剝離で急に視力低下します。自覚症状がほぼ出ないため、糖尿病と診断されたら年1回の眼底検査が必須。

🩺 ③腎症(じ)

日本における透析導入原因の第1位。早期は微量アルブミン尿、進行するとタンパク尿・eGFR低下→末期腎不全→透析。SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬は、腎症進展抑制でも強いエビデンスが蓄積しています。

⚠ 三大合併症は「症状が出てからでは遅い」

神経障害のしびれ、網膜症の眼底出血、腎症の浮腫――これらが「症状」として出るのは、すでに病期がかなり進んだサインです。HbA1cが7%前後でも、血糖変動の大きさ(GMI/TIRなど)や罹病期間によっては合併症は静かに進みます。「症状がない=合併症がない」ではない、ということを共有させてください。



5. 大血管症──心筋梗塞・脳卒中・末梢動脈疾患

糖尿病があると、心筋梗塞・脳梗塞・末梢動脈疾患(PAD)の発症リスクが非糖尿病者の2~4倍に上昇します。特に2型糖尿病では、診断時点で既に動脈硬化が始まっていることが多く、「糖尿病+高血圧+脂質異常症+喫煙」のフルセットを持つと、心血管死亡リスクは健常者の約8倍とも報告されます。

📊 「血糖だけ下げる」では大血管症は防げない

UKPDS・ACCORD・ADVANCE・VADT試験などから明らかになったのは、「血糖値の改善だけで心血管イベントを大幅には減らせない」という事実。心筋梗塞・脳卒中を予防するには、血圧(130/80未満)・LDLコレステロール(120未満、心血管既往あれば70未満)・禁煙・抗血小板薬を含む包括的管理が必須です。糖尿病内科は、内分泌だけでなく循環器・脳神経も含めた全身管理の科です。

詳しい血圧管理は「高血圧」ページ、LDLコレステロール・中性脂肪については「脂質異常症」ページを併せてご覧ください。糖尿病・高血圧・脂質異常症は3つで1セット、まとめて整える必要があります。



6. 糖尿病とがん──大腸がん・肝がん・膵がんのリスク

冒頭でもお伝えしたとおり、日本人糖尿病患者の死因の第1位は『がん』で全体の約40%を占めます。日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会報告(JDS-JCA共同報告)では、2型糖尿病があると、特に大腸がん・肝臓がん・膵臓がんのリスクが上がることが公式に示されています。

がんの種類 非糖尿病者と比較したリスク 推奨される検診
大腸がん 1.4倍(日本の疫学研究) 年1回の便潜血、40歳以降は大腸内視鏡を5~10年に1回
肝臓がん 2倍(特にMASLD/MASH合併例) 腹部エコー+AFP+PIVKA-IIを年1回
膵臓がん 1.85倍(特に新規発症糖尿病・体重減少を伴う場合) 腹部エコー、必要に応じてMRCP/EUSへの紹介
子宮内膜がん 2倍(肥満・PCOSと共通の背景) 不正出血があれば速やかに婦人科受診

🔬 なぜ糖尿病でがんが増えるのか

  • 高インスリン血症:インスリンとインスリン様成長因子(IGF-1)が細胞増殖を促進
  • 慢性炎症:内臓脂肪由来の炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)が発がんを促す
  • 酸化ストレス:高血糖・AGEs(終末糖化産物)の蓄積がDNA損傷を増やす
  • 共通の生活習慣:肥満・運動不足・過剰飲酒・喫煙は糖尿病とがんに共通する危険因子

⚠ こんな経過があったら、必ずがんを疑う

  • 50歳以降に急に発症した糖尿病+体重減少(→膵がんを疑う)
  • 長年安定していたHbA1cが急に悪化(→がんによる二次性悪化を疑う)
  • 食欲低下・倦怠感・腹痛・血便・タール便
  • がん検診を5年以上受けていない

当院では糖尿病の方の定期診察時にがん検診の受診状況を必ず確認し、未実施の場合は連携医療機関(横浜市の検診医療機関、内視鏡実施施設)へ橋渡しします。特に大腸内視鏡については姉妹院・五良会クリニック白金高輪でも対応可能(要予約)です。



7. 糖尿病と認知症──「3型糖尿病」と呼ばれる理由

糖尿病はアルツハイマー型認知症の発症リスクを約1.5~2倍、脳血管性認知症のリスクを約2~2.5倍に高めます。久山町研究をはじめとする国内疫学では、糖尿病があると認知症の発症が早まることが明確に示されており、近年では「アルツハイマー病は脳のインスリン抵抗性が関与する『3型糖尿病』である」という見方も提唱されています。

📊 高齢者糖尿病の血糖目標は「下げすぎない」

日本糖尿病学会と日本老年医学会は、高齢者では認知機能・ADL(日常生活動作)・併存疾患・低血糖リスクを考慮し、HbA1c目標を7.0~8.5%の範囲で個別に設定することを推奨しています。「重症低血糖を一度起こすと、認知症リスクは1.5~2倍に跳ね上がる」ため、高齢者では「低くしすぎない」が大原則です。

当院は糖尿病内科・神経内科・認知症外来・頭痛外来・心療内科を併設しています。糖尿病患者さんで「最近物忘れが気になる」「ご家族から指摘された」というケースには、糖尿病診療と同じ日に認知機能評価(HDS-R/MMSE/MoCA-J)を行うことができます。詳しくは「認知症」ページもご覧ください。



8. 見落としやすい合併症──歯周病・骨折・フレイル・抑うつ・SAS

三大合併症・大血管症・がん・認知症のほかにも、糖尿病は全身に影響します。「血糖以外」の合併症を整理しておきます。

🦷 歯周病

糖尿病の第6の合併症と呼ばれる関係。歯周病があるとHbA1cが上がり、HbA1cが上がると歯周病が悪化、という双方向の悪循環。歯科でのクリーニング・歯周治療と糖尿病治療は同時並行が原則。

🦴 骨折・骨粗鬆症

糖尿病があると骨密度が同じでも骨折リスクが約1.5~2倍。AGEsの蓄積で骨質が悪化するためです。閉経後女性・高齢男性は骨密度測定(DXA)を。

💪 フレイル・サルコペニア

糖尿病高齢者は筋肉量が減りやすく、フレイル(虚弱)に陥りやすい。過度な食事制限ではなく、たんぱく質を含む食事+筋トレが必要。「やせれば良い」は高齢者では通用しません。

😔 抑うつ

糖尿病患者の約2~3倍でうつ病合併。「治療意欲が湧かない」「自分を責める」サイクルに陥ったら、当院の心療内科併設機能でサポートします。

😴 睡眠時無呼吸(SAS)

肥満を伴う2型糖尿病では約半数にSASが潜んでいるとも。SASを治療するとHbA1c・血圧・心血管リスクが改善。いびき・日中の眠気がある方は検査を。

🦠 感染症

高血糖は免疫力を下げます。肺炎・尿路感染・皮膚感染・足の感染・歯周病・結核のリスクが上昇。インフルエンザ・新型コロナ・肺炎球菌・帯状疱疹ワクチンの接種を強く推奨します。



9. 治療の3本柱──食事・運動・薬物療法とHbA1c目標値の個別化

糖尿病治療は食事・運動・薬物の3本柱で組み立てます。どれか1本だけでは長期的に成功しません。そして「全員にHbA1c 6.5%未満」ではなく、年齢・罹病期間・低血糖リスク・併存疾患を考慮した『個別化目標』がガイドラインの基本です。

HbA1c目標 対象
6.0%未満 食事・運動だけで達成可能、または低血糖を起こさず薬物で達成できる方(血糖正常化を目指す)
7.0%未満 合併症予防の標準目標。多くの2型糖尿病患者さんがここを目指す
8.0%未満 低血糖リスクが高い、または治療強化が難しい方
7.0~8.5% 高齢者(認知機能・ADL・併存疾患に応じて個別化)

🥗 食事

「カロリーだけ」より、食べる順番・タイミング・質。野菜→たんぱく質→炭水化物の順、規則的な食事時間、地中海食/MIND食の要素(魚・全粒・豆・ナッツ・オリーブオイル・葉物野菜)を取り入れる。極端な糖質制限は高齢者では推奨されません。

🚶 運動

有酸素150分/週+筋トレ週2回が国際標準。食後10~15分の散歩は食後高血糖を下げる即効性あり。座りっぱなしの時間を減らす(30分ごとに立つ)だけでも効果あり。

💊 薬物療法

経口薬・GLP-1/GIP受容体作動薬(注射)・SGLT2阻害薬・インスリン。「肥満/心血管リスク/腎リスク/低血糖リスク」で薬を選ぶ時代に変わりました。次のセクションで詳述します。



10. GLP-1/GIP受容体作動薬・SGLT2阻害薬・経口薬の使い分け

2型糖尿病の薬物療法は、ここ10年で大きく変わりました。SGLT2阻害薬(2014~)、GLP-1受容体作動薬(2010~、週1回製剤2015~)、世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(マンジャロ、2023年4月発売)の登場で、「血糖を下げる」だけでなく「心血管イベント・腎機能低下・体重・脂肪肝・心不全」まで改善する治療が可能になりました。

クラス 代表薬 特徴・向いている方
ビグアナイド メトホルミン 2型糖尿病の第1選択薬。安価・体重増加なし・がん抑制の示唆。eGFR 30未満では中止、ヨード造影剤前後で休薬。
DPP-4阻害薬 シタグリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチンなど 日本人で最も処方されている経口薬の一つ。低血糖が少ない・体重に影響少。高齢者にも使いやすい。
SGLT2阻害薬 エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、トホグリフロジンなど 尿に糖を捨てる薬。体重減・血圧低下・心不全・慢性腎臓病の進展抑制でエビデンスが厚い。脱水・尿路感染に注意。
GLP-1受容体作動薬 セマグルチド(オゼンピック/リベルサス)、デュラグルチド(トルリシティ)、リラグルチド 注射が中心(経口リベルサスもあり)。体重減・心血管イベント抑制・腎保護。週1回製剤が主流。
GIP/GLP-1受容体作動薬 チルゼパチド(マンジャロ) 世界初の二重作動薬。週1回皮下注射。HbA1c低下・体重減はGLP-1単独より強い。日本では2023年4月発売、2024年12月には肥満症にも適応拡大。
α-GI ボグリボース、ミグリトール、アカルボース 食後高血糖に。食直前に内服。腹部膨満・放屁の副作用は時間と共に軽減。
SU薬/グリニド グリメピリド、ミチグリニド 膵β細胞からインスリンを絞り出す。効果は強いが低血糖と体重増加に注意。高齢者では慎重投与。
イメグリミン ツイミーグ 2021年発売の新規経口薬。ミトコンドリアに作用し、インスリン分泌+効きを両方改善。

💊 GLP-1/GIPの「美容目的・自費濫用」への注意喚起

SNSや一部クリニックで「やせ薬」として宣伝されているGLP-1受容体作動薬・チルゼパチドですが、本来は2型糖尿病・肥満症という適応疾患のある方に医師の管理下で使用する薬です。日本糖尿病学会は適応外の美容目的使用に明確に反対しており、海外でも品薄により本来必要な糖尿病・肥満症患者さんに薬が届かない事態が問題視されています。

当院では、糖尿病・肥満症の保険適応がある方への適正使用を原則とし、副作用(嘔気・嘔吐・膵炎・胆嚢炎・甲状腺腫瘍の家族歴)を丁寧に確認したうえで開始します。安易な処方ではなく、長期的に伴走する処方を心がけています。



11. インスリン療法と自己注射指導──導入から低血糖対策まで

「インスリンを始めると、もう一生やめられない」「インスリンは末期の治療」というのは、いまや誤解です。1型糖尿病では生涯必須ですが、2型糖尿病でも一時的にインスリンを導入し、膵臓を休ませた後に経口薬・GLP-1へ戻すケースは珍しくありません。

💉 インスリンが必要になる代表的な場面

  • 1型糖尿病:診断時から生涯にわたり必須
  • 2型糖尿病で経口薬・GLP-1で十分な血糖管理ができない
  • 著明な高血糖(HbA1c 10%以上、空腹時血糖250以上、口渇・多飲・多尿・体重減少)での導入=糖毒性解除のための短期インスリン
  • 妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠(GLP-1は妊娠中禁忌)
  • 感染症・手術前後・ステロイド使用時など、一時的な血糖上昇
  • 膵がん・慢性膵炎などによる二次性糖尿病

🩺 当院のインスリン指導の流れ

  1. 導入面談:なぜインスリンが必要か、種類(持効型・速効型・混合型・配合剤)の選択、注射への不安を伺う
  2. 初回自己注射トレーニング:実際のペン型注射器(フレックスタッチ、ソロスター、ミリオペンなど)で空打ちから皮下注射まで、看護師が同伴して練習
  3. 血糖自己測定(SMBG)・持続血糖測定(CGM、リブレ等)の指導:いつ・どこで・どう記録するか
  4. 低血糖対策:ブドウ糖(10g)・補食の常備、グルカゴン点鼻薬(バクスミー)の家族指導、低血糖時の対処カードの作成
  5. シックデイ・ルール:発熱・嘔吐・下痢の日のインスリン継続・水分補給・受診目安を文書でお渡しする
  6. 定期フォロー:注射手技の再確認、注射部位(リポハイパートロフィー)のチェック、用量調整

⚠ 低血糖を「ただの一過性症状」と侮らないでください

重症低血糖(自分で対処できない低血糖)を一度起こすと、心血管イベントが約2倍、認知症リスクが約1.5~2倍に上がるという報告があります。低血糖は単独で短期・長期の予後を悪化させるため、「Hb���1cが高めでも、低血糖を起こさない管理」が高齢者・心血管疾患合併例では優先されます。「先生に怒られたくないから」と低血糖を申告しない、は当院では絶対に避けたい流れです。



🔁 3軸クロスポイント:糖尿病を「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

当院・センター南が大切にしている診療思想が、糖尿病×認知症×抗加齢の3軸クロスです。糖尿病は単なる「血糖の病気」ではなく、血管・脳・全身老化と一体のもの。3つの軸をまたいで診ることで、ようやく予防と治療の全体像が見えてきます。

🩸 軸1: 糖尿病・代謝

糖尿病は「血糖の病気」ではなく「血管と全身の慢性炎症の病気」。高血糖そのものよりも、その背景にあるインスリン抵抗性・内臓脂肪・酸化ストレス・AGEsが心血管疾患・腎臓病・がん・認知症を引き起こします。HbA1c・血圧・LDLコレステロール・体重・腹囲・睡眠・歯周病を一体で整える視点が、現代の糖尿病診療の本流です。

🧠 軸2: 認知症・神経系との関連

糖尿病があるとアルツハイマー型認知症は約1.5~2倍、脳血管性認知症は約2~2.5倍に増加。重症低血糖も認知症リスクを上げるため、高齢者では「低くしすぎず・上げすぎず・変動を小さく」が原則。当院は神経内科・認知症外来を併設しているため、糖尿病診療と認知機能評価をワンストップで行えます。詳細は認知症ページ

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命

糖尿病は「全身の早老化」と言い換えられます。日本抗加齢医学会の視点では、糖化(AGEs)・酸化ストレス・慢性炎症・サルコペニア・テロメア短縮が老化を加速させ、それらの中心に高血糖・インスリン抵抗性があります。AGEs測定や食後高血糖の見える化は姉妹院・竹内内科小児科医院(田園調布)でも対応。抗加齢点滴・グルタチオン・NMN・プラセンタなどの自由診療メニューは五良会クリニック白金高輪2階・アンチエイジング外来でご相談いただけます。



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🏥 五良会グループ 姉妹クリニック

DEN-EN-CHOFU 竹内内科小児科医院

糖尿病内科・AGEs測定・訪問診療

大田区田園調布・多摩川駅/沼部駅。総合内科専門医による糖尿病・生活習慣病診療。AGEs測定で糖化ストレスを見える化。

 


SHIROKANETAKANAWA 五良会クリニック白金高輪

糖尿病内科(土日祝も診療)

港区・白金高輪駅直結。土曜・日曜・祝日も診療、HbA1c迅速検査。仕事帰り・週末通院に便利。2階アンチエイジング外来も併設。

 



よくあるご質問(FAQ)

Q1. 健診でHbA1cが6.2%でした。すぐ受診すべき?

A. はい、ぜひ一度ご相談ください。HbA1c 6.0~6.4%は「境界型」と呼ばれ、放置すると年5~10%ずつ本格的な糖尿病に進む可能性があります。この段階で食事・運動・体重・睡眠を整えれば、健常値まで戻る方も少なくありません。当院では75gOGTTやインスリン・C-ペプチド評価で、あなたの「糖尿病になりやすさ」を数値化し、個別の対策をお伝えします。

Q2. 糖尿病の治療を中断してしまい、もう何年も通っていません。今さら受診しても大丈夫?

A. 「叱る診療」はしません。むしろ、戻ってきてくださったことを歓迎します。治療中断中も合併症は静かに進んでいます。HbA1c・腎機能・眼底・神経・心血管リスク・がん検診の状況を丁寧に評価し、いまから何を整えれば未来が変わるかを一緒に考えます。WEB予約(melmo)から気軽にお越しください。

Q3. GLP-1(マンジャロ等)を「やせる目的」で打ちたいのですが?

A. GLP-1/GIP受容体作動薬は2型糖尿病・肥満症の保険適応がある方への治療薬です。当院では美容目的・適応外使用は行っていません。BMI・既往歴・血液検査の結果を踏まえ、保険診療の範囲で適応がある方には、副作用(嘔気・嘔吐・膵炎・胆嚢炎など)を丁寧に説明したうえで導入します。「自分は適応になるか?」のご相談だけでも歓迎です。

Q4. インスリンを始めると、もうやめられない?

A. 1型糖尿病では生涯必要ですが、2型糖尿病ではしばしば一時的な使用で済みます。例えば、HbA1c 10%超で初診された方に短期的にインスリンを使い、糖毒性を解除した後に経口薬・GLP-1へ切り替えるケースは日常的にあります。インスリン=「治療の終わり」ではなく、「膵臓を休ませる手段」と考えてください。注射への不安は導入時に時間をかけて寄り添います。

Q5. 糖尿病があると、なぜがん検診が大切なのですか?

A. 日本人糖尿病患者の死因第1位はがん(約40%)で、特に大腸がん・肝がん・膵がんのリスクが上がるためです。当院では糖尿病の定期受診時に、便潜血・大腸内視鏡・腹部エコー・胃カメラ・胸部CTなどの実施状況を確認し、未実施・期限切れの方は連携医療機関へお繋ぎします。「血糖管理=合併症としてのがんを意識する」ことが現代の糖尿病診療です。

Q6. 親が糖尿病で認知症も心配です。同じ日に診てもらえますか?

A. はい、当院は糖尿病内科・神経内科・認知症外来・心療内科・頭痛外来を併設しているため、糖尿病診療と同じ日に認知機能評価(HDS-R/MMSE/MoCA-J)まで行えます。家族同伴で「ついでに物忘れチェック」というご相談の仕方が、ご本人のプライドを傷つけにくくおすすめです。

Q7. 「ダイアベティス」と呼び方が変わったと聞きました。診療には影響しますか?

A. 診療内容や保険には影響しません。あくまで「糖尿」という言葉が病態を正確に表さず、社会的偏見(スティグマ)を生んできたため、国際的な「ダイアベティス」を併用していこう、というアドボカシー活動です。当院でも患者さんを責める言葉づかいを避け、伴走型の診療を心がけています。

Q8. 仕事が忙しく、平日に通えません。土日祝の選択肢は?

A. センター南は土曜午前(9:00~14:00、休憩なし)まで診療しています。日曜・祝日は休診ですが、姉妹院の五良会クリニック白金高輪日曜・祝日も10:00~15:00診療しているため、お薬の継続処方やHbA1c迅速検査が必要なときはご利用いただけます。お薬手帳・前回採血結果をご持参ください。

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