脳MRIで「白質病変」「かくれ脳梗塞」と言われたら|脳の小血管病の意味と進行を抑える方法を理事長 五藤良将が解説
― 理事長より、はじめに ―
こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「脳ドックで白質病変があると言われました。でも先生には『年齢的なものだから様子を見ましょう』と言われただけで、何をすればいいのか分かりません」。「健診のMRIでかくれ脳梗塞と書かれていて、怖くて夜も眠れません」。当院の脳神経内科・認知症外来には、こうしたご相談が毎月のように届きます。MRIの報告書を握りしめて来られる方が、本当に多いのです。
結論からお伝えします。白質病変やかくれ脳梗塞は「今すぐ倒れる印」ではありませんが、「放っておいてよい印」でもありません。これは脳の細い血管が傷んできたという知らせであり、その進み方はこれからの血圧管理でかなり変えられます。つまり、不安がるための所見ではなく、行動を始めるための所見です。
本記事では、白質病変とかくれ脳梗塞が脳の中で何を意味するのか、どこまでが加齢でどこからが対策すべき段階なのか、放置すると将来のリスクがどれだけ上がるのか、そして血圧を中心に何をどこまでやれば進行を抑えられるのかを、国内外のガイドラインと研究データにもとづいて順を追ってご説明します。読み終えたときに「では、まずこれをやろう」と決められる記事にしました。
THIS ARTICLE IS WRITTEN AND SUPERVISED BY
医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医
この記事は五藤 良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。
📖 目次
- 「白質病変」とは何か──MRIで白く写るものの正体
- 「かくれ脳梗塞」との違いと、両者をまとめる「脳の小血管病」という考え方
- どこまでが加齢で、どこからが対策すべき段階か(Fazekas分類)
- 放置するとどうなるか──脳卒中3.5倍・認知症1.9倍という数字
- 症状は「ない」のではなく「気づきにくい」──5つの静かなサイン
- 最大の原因は血圧──進行スピードは血圧管理で変えられる
- 血圧のほかに調べておきたい6つの危険因子
- 今日から始める5つの習慣──家庭血圧が主役です
- 受診の目安と、すぐ救急を呼ぶべきサイン(FAST)
- 🏥 センター南で診るという選択(当院が選ばれる理由)
- 関連ブログ・関連クリニック
- よくあるご質問(FAQ)
- 🔁 3軸クロスポイント(糖尿病×認知症×抗加齢)
1. 「白質病変」とは何か──MRIで白く写るものの正体
脳は大きく分けて、表面の灰白質(かいはくしつ)と、その内側にある白質(はくしつ)からできています。灰白質が「考える細胞の本体」で、白質は細胞同士をつなぐ電線の束にあたります。脳という組織を会社にたとえると、灰白質が社員、白質が社内の通信ケーブルです。社員が元気でも、ケーブルが劣化すれば連絡は遅れ、仕事の段取りが悪くなります。
白質のすぐ近くには、髪の毛よりも細い血管が無数に走っています。加齢や高血圧によってこの細い血管の壁が厚く硬くなると、血のめぐりがじわじわと落ち、白質の一部がむくんだり、電線を包む「絶縁被膜」(髄鞘)が薄くなったりします。この変化が、MRIのFLAIRやT2強調画像という撮り方で白い斑点や、にじんだ帯のように写るのです。これが白質病変で、報告書では「大脳白質病変」「虚血性変化」「leukoaraiosis(ロイコアライオーシス)」「WMH(白質高信号域)」などと、施設によってさまざまな言葉で書かれます。
💡 まず知っていただきたいこと
白質病変は「脳が壊れた跡」ではなく、「脳の細い血管が苦労している証拠」です。だからこそ、血管への負担を減らせば進み方を緩められます。腎臓や眼の底の血管と同じで、細い血管は全身で同じ理由で傷みます。脳のMRIの所見は、全身の血管の健康診断書でもあるのです。
ちなみに、白質病変は頭痛の検査で偶然見つかることが非常に多い所見です。「片頭痛の原因を調べましょう」とMRIを撮ったら、頭痛とは別に白質病変が指摘された、という流れです。当院は頭痛外来と脳神経内科、認知症外来を同じ建物の中に併設しているため、こうした「本題とは別に見つかった所見」を、別の病院に行き直さずそのまま相談していただけます。旧・浜クリニックとして長く地域に親しまれてきた当院が、体制を広げてきた理由のひとつがここにあります。
2. 「かくれ脳梗塞」との違いと、両者をまとめる「脳の小血管病」という考え方
もうひとつよく言われるのが「かくれ脳梗塞」です。これは正式には無症候性脳梗塞と呼び、手足の麻痺やしゃべりにくさといった症状を一度も出していないのに、MRIには小さな脳梗塞の跡が写っている状態を指します。多くはラクナ梗塞という、細い血管が詰まって生じる直径15mm未満の小さな梗塞です。
白質病変とかくれ脳梗塞は、報告書では別々の行に書かれますが、原因はほぼ同じです。どちらも脳の細い血管が傷んで起こります。そのため近年の脳神経内科では、この2つに微小出血や脳の萎縮を加えて「脳の小血管病(cerebral small vessel disease)」という1つの病態としてとらえます。ばらばらの所見ではなく、同じ根っこから出た枝として見るという考え方です。
| 報告書の記載 | 何が起きているか | 受け止め方 |
|---|---|---|
| 白質病変 (虚血性変化・WMH) |
細い血管の血流低下で、電線の束の被膜が傷んでいる | 量と広がりが重要。ごく軽度なら加齢範囲のことも |
| 無症候性脳梗塞 (かくれ脳梗塞・ラクナ) |
細い血管が詰まり、小さな範囲が実際に壊れた跡がある | 白質病変より一段強い警告。危険因子の洗い出しが必須 |
| 微小脳出血 (microbleeds) |
細い血管がにじむように漏れた跡がある | 血液をサラサラにする薬の使い方に影響することがある |
| 脳萎縮 | 脳全体の容積が減っている | 加齢でも進むが、小血管病と合わさると認知機能に響く |
大切なのは、「かくれ脳梗塞がある」と言われた方は、白質病変だけの方より一段しっかりと危険因子を調べる必要があるということです。すでに一度、小さな血管が詰まったという事実があるからです。逆に言えば、原因が見つかって手を打てる段階で気づけたということでもあります。
3. どこまでが加齢で、どこからが対策すべき段階か(Fazekas分類)
患者さんから必ず聞かれるのが「これは年齢のせいですか、それとも病気ですか」という問いです。正直にお答えすると、その境目はきれいに線が引けません。白質病変は年齢とともに増え、70代・80代の方ではごく軽いものがほとんどの方に見られます。ですから「ある/ない」ではなく、「同年代の平均と比べて多いか」「どこにどれくらい広がっているか」で判断します。
その目安として世界中で使われているのがFazekas(ファゼカス)分類です。脳の深い部分(深部白質)の病変を、点々の段階から、つながって面になる段階まで4段階に分けます。
| 段階 | MRIでの見え方 | 考え方の目安 |
|---|---|---|
| grade 0 | 病変なし | 現状維持を目標に、血圧を整えておく |
| grade 1 | 点々とした小さな斑点がいくつか | 高齢の方では加齢範囲のことも多い。危険因子の確認を |
| grade 2 | 斑点が部分的につながり始めている | 積極的に血圧・血糖・脂質を管理したい段階 |
| grade 3 | 広い範囲でつながって面のように見える | 歩行や認知機能の評価も含めて、脳神経内科で継続管理 |
⚠ 注意:報告書に段階が書かれていないことも多いです
脳ドックの報告書には「軽度の白質病変あり」とだけ書かれ、grade表記がない場合が少なくありません。画像そのもの(CD-ROMやフィルム)と報告書をお持ちいただければ、当院で確認のうえご説明します。判断が分かれる場合や、年齢に比べて明らかに多い場合は、連携している脳神経外科・放射線科のある医療機関に読影や追加検査をお願いします。
なお、40代・50代で白質病変がはっきり指摘された場合は、単なる加齢では説明がつきません。治療されていない高血圧、睡眠時無呼吸、片頭痛、まれに遺伝性の小血管病などが隠れていることがあり、この年代の方ではより丁寧に原因を探します。
4. 放置するとどうなるか──脳卒中3.5倍・認知症1.9倍という数字
「症状がないのだから、気にしなくてよいのでは」と思われるかもしれません。しかし、白質病変が将来どうなるかを追った研究は数多くあり、結論はかなり一致しています。
📊 46研究・大規模メタ解析が示したリスク(BMJ 2010/Debette&Markus)
白質病変がある方は、ない方と比べて──
・将来の脳卒中の発症リスクが約3.5倍(95%信頼区間 2.5〜4.9)
・認知症の発症リスクが約1.9倍(95%信頼区間 1.3〜2.8)
・死亡リスクが約2.0倍(95%信頼区間 1.6〜2.7)
※46件の追跡研究をまとめた解析です。「白質病変がある人は必ずこうなる」という意味ではなく、集団として見たときにリスクが上がるという意味です。だからこそ、下げる余地があります。
ここで注目していただきたいのは、脳卒中だけでなく認知症のリスクも上がっている点です。脳の細い血管が傷むと、血管性認知症の土台になります。さらに近年わかってきたのは、アルツハイマー型認知症の方でも小血管病が重なっていると症状が早く、重く出やすいということです。実際、ご高齢の方の認知症は純粋なアルツハイマー型よりも、アルツハイマー型と血管性が混じり合った「混合型」が多いと考えられています。
つまり、血圧を整えることは、脳卒中の予防であると同時に、認知症の予防でもあるということです。当院が糖尿病・生活習慣病と認知症を切り離さず、同じ窓口で診る3軸アプローチを採っているのは、まさにこの理由からです。
5. 症状は「ない」のではなく「気づきにくい」──5つの静かなサイン
「無症候性」という言葉は、正確には「本人も家族も症状として自覚していない」という意味です。ところが診察室で丁寧にうかがうと、すでに小さな変化が始まっていることがしばしばあります。小血管病は麻痺のようなはっきりした症状ではなく、脳の連絡の速さを落とすため、変化がゆっくりで「年のせい」に埋もれてしまうのです。次の5つは、ご家族のほうが先に気づくことが多いサインです。
🚶 ① 歩くのが遅くなった
横断歩道を渡り切れない、歩幅が狭くなった、家族との散歩で後ろになる。小血管病では歩行速度の低下がもの忘れより先に出ることがあります。
🧠 ② 段取りが悪くなった
料理で2品を同時に作れない、書類の手続きが進まない。記憶よりも「順番を組む力」から落ちるのが血管性の特徴です。
💧 ③ トイレが近い・間に合わない
前立腺や膀胱の問題と思われがちですが、排尿を我慢する脳の回路が傷んで起こることもあります。
😐 ④ 意欲が出ない・表情が乏しい
趣味をやめた、外出しなくなった。うつ病と見分けが必要ですが、血管性のアパシー(意欲低下)のことがあります。
😢 ⑤ 感情の波が大きくなった
些細なことで泣く、急に怒る。感情を抑える回路の連絡が悪くなると起こりやすくなります。
💡 受診のときのコツ
ご本人は変化に気づきにくいものです。ご家族がお気づきの点をメモにして一緒にお持ちいただくと、診断の精度が上がります。
①の歩行速度と③の排尿の症状は、以前ご紹介した特発性正常圧水頭症(iNPH)とよく似ています。似ているからこそ、手術で改善する病気を見落とさないための見極めが必要です。当院の認知症外来では、もの忘れの検査だけでなく歩き方の評価も併せて行っています。
6. 最大の原因は血圧──進行スピードは血圧管理で変えられる
ここが本記事でいちばんお伝えしたい部分です。白質病変の原因として最も影響が大きく、しかも自分で手を打てるものが高血圧です。そして「血圧を下げれば白質病変の進行が遅くなるのか」という問いには、質の高い答えが出ています。
📊 厳格な降圧で白質病変の進行が抑えられた(JAMA 2019/SPRINT MRI研究)
高血圧の方を「収縮期血圧120mmHg未満を目指す群」と「140mmHg未満を目指す群」に分けて、MRIで白質病変の量を追跡した研究です。約4年間の白質病変の増加量は──
・厳格降圧群:+0.92 cm³(年あたり約0.23 cm³)
・標準降圧群:+1.45 cm³(年あたり約0.37 cm³)
差は−0.54 cm³(95%信頼区間 −0.87〜−0.20)で、しっかり下げた群のほうが進行が明らかに緩やかでした。
同じSPRINT研究の認知機能の解析(SPRINT MIND, JAMA 2019)では、厳格降圧群で軽度認知障害(MCI)の発症が約19%少ないという結果が出ました。ただし認知症そのものの発症については統計学的に有意な差は示されておらず、研究が予定より早く終了した影響も指摘されています。過大に期待せず、しかし確かな手がかりとして受け取るのが妥当です。
では実際に何を目標にするか。高血圧治療ガイドライン2025(JSH2025)では、75歳未満の成人で診察室血圧130/80mmHg未満が基本目標です。家庭で測る場合はこれより低めの125/75mmHg未満が目安になります。一方で、ご高齢の方や、すでに大きな血管に強い狭窄がある方では、下げすぎると逆にふらつきや転倒、失神を招くことがあります。
💡 「数字を追う」のではなく「その方に合った幅に収める」
白質病変があるとお聞きすると、つい急いで血圧を下げたくなります。しかし細い血管が傷んだ脳では、血圧が下がりすぎるとかえって血のめぐりが足りなくなることがあります。目標は一人ひとり違います。年齢、腎機能、立ちくらみの有無、他の持病を見ながら、数か月かけてゆっくり整えるのが原則です。自己判断で薬を増減しないでください。
7. 血圧のほかに調べておきたい6つの危険因子
白質病変やかくれ脳梗塞を指摘されたとき、MRIをもう一度撮ること以上に大事なのは「原因の棚卸し」です。当院では次の6つを一度に確認します。血液検査・心電図・血圧手帳で、ほとんどがその日に洗い出せます。
| 危険因子 | 調べ方 | 対策の要点 |
|---|---|---|
| ① 糖尿病・予備群 | HbA1c、空腹時血糖 | 高血糖は細い血管を直接傷めます。低血糖を起こさない管理が前提 |
| ② 脂質異常症 | LDL・HDL・中性脂肪 | 持病や喫煙の有無で目標値が変わります。自己判断で中断しない |
| ③ 喫煙 | 問診 | 最も費用がかからず効果が大きい対策。何歳からでも意味があります |
| ④ 心房細動 | 心電図、検脈、スマートウォッチ | 大きな脳梗塞の原因。小血管病とは別に必ず確認します |
| ⑤ 睡眠時無呼吸(SAS) | いびき・日中の眠気の問診、簡易検査 | 夜間の低酸素と血圧上昇が脳の血管を傷めます。当院で検査可能 |
| ⑥ 慢性腎臓病(CKD) | クレアチニン・eGFR、尿蛋白 | 腎臓と脳は「細い血管の兄弟」。片方が傷むともう片方も傷みます |
④の心房細動は、白質病変とは別の種類の脳梗塞(心臓から飛んだ血の塊が太い血管を詰める心原性脳塞栓症)の原因です。白質病変の話だけで安心せず、脈の乱れがないかを必ず確認してください。⑥については、腎臓と脳が同じ「細い血管の病気」を共有していることが近年重視されています。脳のMRIの所見は、腎臓からのメッセージでもあると考えていただくとよいと思います。
8. 今日から始める5つの習慣──家庭血圧が主役です
白質病変に対して「これを飲めば消える」という薬はありません。消すのではなく増やさないことが治療目標です。そのために効果が確かで、どなたにも始められるものを5つに絞りました。
🩸 ① 家庭血圧を朝と晩に記録する
起床後1時間以内(排尿後・朝食前・服薬前)と就寝前に、座って1〜2分休んでから測ります。診察室の1回より、家庭の平均値のほうが将来を正確に映します。2週間分お持ちください。
🧂 ② 減塩は「1日6g未満」を目安に
汁物を1日1杯までにする、麺類の汁を残す、漬物を小皿にする。まず1つだけ決めて続けるほうが、全部やろうとして挫折するより確実です。
🚶 ③ 早歩きを1日20〜30分
「少し息が上がるが会話はできる」強さが目安。血圧を下げ、血管の内張りの働きを保ちます。膝に不安がある方は水中歩行や自転車でもかまいません。
😴 ④ 睡眠時間と、いびきを見直す
6〜8時間を目標に。大きないびき・呼吸が止まると指摘された・日中に強い眠気があれば、睡眠時無呼吸の検査をおすすめします。
🚭 ⑤ 禁煙と、お酒の量を決める
禁煙は単独で最も効果の大きい対策です。飲酒は量が増えるほど血圧が上がるため、休肝日を週2日など先に決めておくのが現実的です。
🥗 +α 食事の型を決める
野菜・果物・魚・全粒穀物・オリーブ油を中心にした食べ方(地中海食やMIND食)が、認知機能の維持と関連づけて研究されています。1品足すところから始めましょう。
なお、「かくれ脳梗塞があるから血液をサラサラにする薬を飲んだほうがよいのでは」というご質問をよくいただきます。しかし症状のない小さな梗塞に対して、抗血小板薬を一律に開始することは推奨されていません。出血の危険が利益を上回る場合があるためです。とくに微小脳出血が多い方では慎重な判断が必要です。飲む・飲まないは、画像と全身の状態を合わせて個別に決めるべき事柄です。
9. 受診の目安と、すぐ救急を呼ぶべきサイン(FAST)
白質病変やかくれ脳梗塞そのものは、急いで救急車を呼ぶ所見ではありません。落ち着いて、外来で原因を洗い出していけば十分です。一方で、これらの所見がある方は将来の脳卒中のリスクが高い状態にあります。ですから「急がなくてよいこと」と「一刻を争うこと」を、あらかじめ切り分けておくことが何より大切です。
⚠ この症状が「突然」出たら、迷わず119番(FAST)
F(Face):顔の片側が下がる、笑うと口元が歪む
A(Arm):片腕に力が入らない、両手を前に出すと片方が下がる
S(Speech):言葉が出ない、ろれつが回らない、話が通じない
T(Time):症状に気づいた時刻を確認し、すぐ救急要請
これに加えて、突然の激しい頭痛、片目が見えない、立てないほどのめまい、物が二重に見えるも緊急のサインです。症状が数分で消えてもそのままにしないでください。一時的に消える発作(一過性脳虚血発作)の直後は、本格的な脳梗塞が起きやすい時期です。消えたからこそ、その日のうちに受診してください。
一方、次のような場合は外来でのご相談で十分です。予約をとってお越しください。
💡 外来でご相談いただきたい場合
・脳ドックや健診のMRIで白質病変・かくれ脳梗塞を指摘され、説明を受けたい
・血圧の薬を飲んでいるが、目標値がこれで合っているか確かめたい
・ご家族の歩き方や段取り、意欲の変化が気になる
・頭痛の検査をしたついでに指摘された所見を、そのまま相談したい
・血圧・血糖・脂質・腎機能をまとめて一度に確認したい
🏥 受診時にお持ちいただきたいもの
① MRIの報告書と画像データ(CD-ROM)──画像があると評価の精度が上がります
② 家庭血圧の記録(2週間分あれば十分)──薬の判断に最も役立ちます
③ 健診・血液検査の結果──過去数年分あると変化の傾きが読めます
④ お薬手帳──サプリメントも含めてお持ちください
⑤ ご家族が気づいた変化のメモ──ご本人が自覚しにくい部分を補えます
🔁 3軸クロスポイント:脳の白質病変を「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる
白質病変は、脳神経内科だけの話題ではありません。高血圧や糖尿病という「生活習慣病の科」、もの忘れを扱う「認知症外来」、そして老化の速さを見る「抗加齢医学」──この3つが、まさに同じ場所で交差する所見です。当院がこの3つを別の科に分けず、同じ窓口で診る3軸アプローチを採っている理由を、ここで具体的にお示しします。
🩸 軸1: 糖尿病・生活習慣病との関連──「細い血管」という共通の舞台
ですから、白質病変を指摘された方には血圧だけでなくHbA1cを必ず確認します。逆に、糖尿病で通院中の方が「最近もの忘れが増えた」とおっしゃれば、私たちは脳の小血管病を思い浮かべます。血糖と血圧は、脳を守るための同じ1組の手綱です。
🧠 軸2: 認知症・神経系との関連──「予防できる認知症」の中心にある所見
そして認知症は、純粋な1つの型よりもアルツハイマー型と血管性が混ざった「混合型」が高齢の方では多いと考えられています。同じ量のアミロイドβがあっても、小血管病が重なっている方のほうが症状が早く出やすいのです。だからこそ当院の認知症外来では、記憶の検査と同じ重さで血圧手帳と歩き方を見ます。もの忘れの相談に来られた方に血圧の話をするのは、遠回りではなく最短距離だからです。
🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命──「老化の見える化」としてのMRI
そして白質病変が進むと、もの忘れより先に歩行速度が落ち、転倒が増え、外出が減ります。ここからフレイル(虚弱)へ一直線につながっていきます。平均寿命と健康寿命のギャップ――日本では男女ともおよそ10年前後といわれるこの差を埋める鍵の1つが、脳の細い血管を守ることなのです。
白質病変を指摘されたことは、老化の通知ではありません。これからの10年をどう過ごすかを決められる時点で、体が教えてくれたと受け取っていただきたいのです。
🏥 センター南で診るという選択(当院が選ばれる理由)
白質病変やかくれ脳梗塞は、「脳の所見」でありながら、実際に手を入れる先は血圧・血糖・脂質・睡眠という生活習慣病の領域です。所見を読む科と、対策を担う科が分かれてしまうと、患者さんが何度も説明をやり直すことになります。当院では、ここまでお読みいただいた内容を次の体制で一続きに診ています。
理由① 脳神経内科・認知症外来を併設しています
もの忘れ・しびれ・めまい・ふるえ・歩きにくさを、同じ窓口で診られます。白質病変の評価も、記憶の検査と歩き方の評価を合わせて行います。
理由② 頭痛外来を頭痛専門医・指導医が担当します
篠原伸顕院長が頭痛外来を担当しています。頭痛の検査で偶然見つかった白質病変を、別の医療機関に行き直さずそのままご相談いただけます。
理由③ 糖尿病専門外来を水曜午前に設けています
理事長 五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)が担当します。脳の細い血管を守るうえで欠かせない血糖管理を、専門の枠で相談できます。
理由④ 危険因子をまとめて確認できます
血液検査・心電図・血圧手帳の確認に加え、睡眠時無呼吸の検査にも対応しています。第7章の6項目を、科をまたがずに洗い出せます。
理由⑤ 3軸アプローチで診ています
糖尿病・認知症・抗加齢を別の話として分断せず、同じ診療の中でつなげます。白質病変はこの3つが交差する所見であり、当院の診療体制と正面から重なります。
理由⑥ 通いやすい時間と場所です
月・水・木・金は18:30まで、土曜は9:00〜14:00(休憩なし)。市営地下鉄「センター南駅」から徒歩9分、駐車場4台。日曜・祝日は五良会クリニック白金高輪のオンライン診療をご案内します。
MRIの報告書を「様子を見ましょう」で終わらせず、これからの10年の対策に変えていきましょう。
報告書・画像データ・血圧手帳をお持ちいただければ、その日に方針をご一緒に決められます。
10. 関連ブログ・関連クリニック
📚 当院ブログ・関連テーマ
🧠 脳のMRIで「白質病変」「かくれ脳梗塞」と言われたら
脳の小血管病の意味と、血圧を中心とした進行の抑え方をまとめました。
📍 ご覧の記事です
🏥 五良会グループ 姉妹クリニックの関連ブログ
DEN-EN-CHOFU 竹内内科小児科医院
糖尿病の方のLDLコレステロール目標は「120未満」、合併症や喫煙があれば「100未満」
本記事の第7章で挙げた危険因子②です。糖尿病がある方では脂質の目標値が変わります。院長・五藤良将が解説しています。
DEN-EN-CHOFU 竹内内科小児科医院
立ちくらみ・胃もたれ・汗の異常は「糖尿病の自律神経障害」かも
細い神経と血管が傷むと、血圧の調節そのものが乱れます。無自覚性低血糖・無痛性心筋虚血のサインもあわせて解説しています。
SHIROKANETAKANAWA 五良会クリニック白金高輪
健診で「フェリチンが高い」と言われたら
検査で指摘された所見を、どこまで心配してどこから調べるか。白質病変と同じ「偶然見つかった所見」の考え方の参考になります。
SHIROKANETAKANAWA 五良会クリニック白金高輪
その薬、血糖値を上げているかもしれません(ステロイド糖尿病)
血糖が上がる原因は食事だけではありません。服用中の薬が影響していることもあります。理事長 五藤良将が解説しています。
11. よくあるご質問(FAQ)
Q1. 白質病変は、治療すれば消えるのでしょうか。
A. 残念ながら、いったんできた白質病変を消す治療は現在ありません。治療の目標は「増やさないこと」です。ただ、これは決して悲観的な話ではありません。SPRINT研究のMRI解析(JAMA 2019)では、血圧をしっかり下げた群で白質病変の増え方が明らかに緩やかでした。今ある病変はそのままでも、これからの進み方は変えられます。10年後の脳の状態は、今日からの血圧で決まるとお考えください。
Q2. MRIはどのくらいの間隔で撮り直すべきですか。
A. 症状がなく、病変がごく軽度であれば、短い間隔で撮り直す意味は大きくありません。画像を頻繁に撮るより、家庭血圧・HbA1c・脂質・腎機能を定期的に確認するほうが有益です。一般には数年おきの確認で足りることが多く、新しい症状が出たときや、病変が年齢に比べて明らかに多い場合は間隔を詰めて相談します。撮影時期はご本人の状態に応じて個別に決めますので、外来でご相談ください。
Q3. かくれ脳梗塞があると言われました。血液をサラサラにする薬を飲んだほうがよいですか。
A. 症状のない小さな脳梗塞に対して、抗血小板薬を一律に始めることは推奨されていません。出血の危険が、得られる利益を上回ることがあるためです。とくに微小脳出血が多い方では慎重な判断が必要です。一方、心房細動が見つかった場合は話が別で、抗凝固薬による予防を検討します。まず優先すべきは、血圧・血糖・脂質の管理と禁煙です。服薬の判断は必ず主治医とご相談ください。
Q4. 血圧は低ければ低いほどよいのでしょうか。
A. いいえ。下げすぎは、ふらつき・転倒・失神の原因になります。細い血管が傷んだ脳では、血圧が下がりすぎると必要な血流が届きにくくなることもあります。JSH2025の基本目標は75歳未満で診察室血圧130/80mmHg未満ですが、ご高齢の方や大きな血管に強い狭窄がある方では目標を緩めます。目標値は一人ひとり違います。立ちくらみが出たら、我慢せずご相談ください。
Q5. 40代ですが白質病変を指摘されました。若くてもあるものですか。
A. ごく軽度なら40代でも見られることがありますが、この年代でははっきりした病変を「加齢」で片づけません。治療されていない高血圧、睡眠時無呼吸、片頭痛、まれに遺伝性の小血管病などが背景にあることがあります。ご家族に若い年齢での脳卒中や認知症の方がいる場合は、必ずお伝えください。原因が分かれば対策がはっきりします。むしろ早く気づけたことに意味があります。
Q6. 他院で撮ったMRIの報告書だけでも相談できますか。
A. はい、報告書だけでもご相談いただけます。ただ、画像データ(CD-ROM)も一緒にお持ちいただけると、評価の精度が上がります。あわせて家庭血圧の記録・健診結果・お薬手帳をご持参ください。より詳しい読影や追加の検査が必要と判断した場合は、連携している医療機関にご紹介します。ご予約はmelmoから24時間受け付けています。
AUTHOR / SUPERVISOR
医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(ごとう よしまさ)
- 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
- 医療法人社団 五良会 理事長/医療法人社団 正友会 理事長/竹内内科小児科医院 院長
- 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
- 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
- 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
- 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数
執筆・監修責任について
本記事は、五藤 良将が公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで執筆・監修しています。内容は公開時点の情報に基づくものであり、新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、五良ファミリークリニック センター南(045-942-7783)までお知らせください。
📚 主な参考文献・ガイドライン
・Debette S, Markus HS. The clinical importance of white matter hyperintensities on brain magnetic resonance imaging: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2010.
・The SPRINT MIND Investigators for the SPRINT Research Group. Association of Intensive vs Standard Blood Pressure Control With Cerebral White Matter Lesions. JAMA. 2019.
・The SPRINT MIND Investigators for the SPRINT Research Group. Effect of Intensive vs Standard Blood Pressure Control on Probable Dementia. JAMA. 2019.
・日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2025(JSH2025)』
・Fazekas F, et al. MR signal abnormalities at 1.5 T in Alzheimer's dementia and normal aging. AJR. 1987.
| 内科 | 小児科 | 神経内科 | 認知症外来 | 頭痛外来 |
| アレルギー科 | 糖尿病内科 | 予防接種 | 健康診断 | 心療内科 |
〒224-0006 神奈川県横浜市都筑区荏田東4-3-19
横浜市営地下鉄ブルーライン・グリーンライン「センター南駅」徒歩9分/駐車場4台
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9:00〜12:00 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 9:00 〜 14:00 |
休 |
| 15:00〜18:30 | ○ | 休 | ○ | ○ | ○ |
休診日:火曜午後・日曜・祝日/土曜は9:00〜14:00(休憩なし)
|
|
|
|
| LINE 公式アカウント | Instagram センター南公式 | 電話 045-942-7783 |
理事長 五藤 良将
