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「数分間、呼んでも返事がない」「同じことを何度も聞く」〜その「もの忘れ」は認知症ではなく、高齢者てんかんかもしれません。症状・脳波検査・治療を理事長 五藤良将が解説〜

[2026.10.02]
ELDERLY-ONSET EPILEPSY

「数分間、呼んでも返事がない」「同じことを何度も聞く」
〜その「もの忘れ」は認知症ではなく、高齢者てんかんかもしれません〜

医療法人社団 正友会 理事長・五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)より、けいれんを伴わないため見逃されやすい「高齢発症てんかん」の見分け方・脳波検査・治療を、認知症外来と脳神経内科の視点でわかりやすくお伝えします。

高齢者てんかん 認知症との鑑別 脳波検査 横浜市都筑区・センター南

― 理事長より、はじめに ―

こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「父が、台所で急にぼんやりして、呼んでも2〜3分返事をしないことがあります」「同じ話を何度も聞いてきて、しかも本人はそのやりとり自体を覚えていません」「もの忘れが急に始まった気がします」。認知症外来では、ご家族からこうしたご相談をいただくことが少なくありません。

結論からお伝えします。こうした「数分のぼんやり」と「あとに残るもの忘れ」は、認知症ではなく高齢者てんかん(高齢発症てんかん)であることがあります。そして高齢者てんかんは、少量の抗てんかん薬の単剤投与で約78%の方が発作ゼロを維持できる、治療でしっかり抑えられる病気です(日本老年医学会雑誌 総説「高齢者てんかん診療の現況」)。

本記事では、なぜ高齢者のてんかんは「けいれんしない」ために見逃されるのか、ご家族だけが気づけるサインは何か、認知症・一過性脳虚血発作(TIA)・失神とどう見分けるのか、そして脳波検査とMRIで何がわかり、どのような治療になるのかを、旧・浜クリニックとして地域に親しまれてきた当院の認知症外来・脳神経内科の視点で順を追って解説します。「年のせい」「認知症の始まり」と片づける前に、確かめておきたいことがあります。

THIS ARTICLE IS WRITTEN AND SUPERVISED BY

医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将

日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医
この記事は五藤 良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。

📖 目次

  1. 🧓 「もの忘れ外来」で見つかる、認知症ではない病気
  2. 📊 てんかんが最も多く発症するのは、実は高齢期です
  3. ⚠ 高齢者てんかんは「けいれんしない」— 見逃される理由
  4. 👀 ご家族だけが気づけるサイン・セルフチェック10項目
  5. 🔍 認知症・TIA・失神との見分け方(比較表)
  6. 🩸 原因の3〜4割は「脳卒中のあと」— 隠れ脳梗塞という下地
  7. 🧠 診断:脳波・MRI・採血で何がわかるか
  8. 💡 治療:少量の単剤で約78%が発作ゼロを維持
  9. 🚗 運転免許・入浴・服薬 — 生活の注意点
  10. 🏥 センター南で診るという選択(当院が選ばれる理由)
  11. 📚 関連ブログ・関連クリニック
  12. ❓ よくあるご質問(FAQ)
  13. 🔁 3軸クロスポイント(糖尿病×認知症×抗加齢)

1. 「もの忘れ外来」で見つかる、認知症ではない病気

もの忘れを主な訴えとして受診された方のなかには、認知症ではない別の病気が隠れていることがあります。当院の認知症外来でも、これまでに慢性硬膜下血腫、特発性正常圧水頭症(iNPH)、甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症といった「治療で改善が見込める状態」を見つけてきました。

そのなかで、画像検査では異常がはっきりせず、認知機能検査の点数も大きくは下がっていないのに、ご家族が「確かにおかしい」と感じ続けている——というパターンがあります。このときに疑っておきたいのが、高齢発症てんかんです。

📊 認知症と高齢者てんかんは「対立」ではなく「重なる」

アルツハイマー病の方は、健常な方に比べててんかん発作を起こすオッズ比が5〜10倍と報告されており、病期の進行中に9〜16%の方が発作を経験するとされています(日本老年医学会雑誌 総説「高齢者てんかん診療の現況」)。つまり「認知症か、てんかんか」の二択ではなく、認知症の方に、てんかんが上乗せされているケースもあるということです。もの忘れの進みが急に速くなったときには、この可能性を思い出していただきたいのです。

2. てんかんが最も多く発症するのは、実は高齢期です

「てんかんは子どもの病気」という印象をお持ちの方が多いのですが、これは現在の疫学とは一致しません。日本てんかん学会ガイドライン作成委員会報告「高齢者のてんかんに対する診断・治療ガイドライン」によれば、年間発症率は次のように年齢とともに上昇します。

年齢層 年間発症率(人口10万人あたり)
70歳以上 100人以上
80歳以上 150人以上
60歳以降の有病率 約1.5%

出典:日本てんかん学会ガイドライン作成委員会報告「高齢者のてんかんに対する診断・治療ガイドライン」

60歳を過ぎた方の約1.5%、つまり70人に1人ほどという数字です。センター南駅周辺の人口規模で考えても、決して珍しい病気ではありません。それでも「高齢者てんかん」という言葉をあまり耳にしないのは、発症数が少ないからではなく、気づかれないまま別の病名で説明されてしまうことが多いからです。

3. 高齢者てんかんは「けいれんしない」— 見逃される理由

多くの方が思い描く「てんかん」は、白目をむいて全身を硬くし、ガクガクと震える——という姿でしょう。これは全身けいれん(両側強直間欠発作)で、たしかにてんかんの一つの形です。しかし高齢発症てんかんでは、けいれんを伴わない発作が主役になります。

同ガイドラインには「高齢者では非けいれん性発作が多く、軽度の意識障害・失語・麻痺などを呈する」と明記されています。また、日本人の高齢者の部分発作では起始部位が側頭葉が66%、前頭葉が14%と報告されています(日本老年医学会雑誌 総説)。側頭葉は記憶をつかさどる場所ですから、発作の現れ方が「ぼんやり」「もの忘れ」になるのは理にかなっています。

① 動作が止まり、反応がなくなる

箸を持った手が空中で止まり、呼びかけても数十秒〜数分、返事がありません。本人にその間の記憶はありません。

② 口をもぐもぐ・手をまさぐる

舌を鳴らす、服のすそをつまむ、同じ場所をなでる——目的のない動きを繰り返します(自動症)。

③ 発作後のもうろう状態が長い

同ガイドラインでは「数時間から数日単位に至ることがある」とされます。この時間帯のつじつまの合わなさが、認知症と見間違えられます。

④ ことばが出ない・片側だけ動かない

数分〜数十分だけ失語や片側の脱力が出ることがあり、脳梗塞やTIAと区別がつきにくくなります。

📊 「1回で終わり」にはなりにくい

高齢者てんかんでは、初回発作後の再発率が66〜90%と報告されています(日本てんかん学会 高齢者てんかん診療・治療ガイドライン)。若い方の初回発作では「経過を見る」という選択もありますが、高齢の方では最初の1回のあとに治療を始める判断が妥当になる場面が多い、ということです。放置して繰り返すほど、転倒・骨折・誤嚥・交通事故のリスクが積み上がります。

4. ご家族だけが気づけるサイン・セルフチェック10項目

高齢者てんかんの診断で最も価値のある情報は、検査結果ではなく「その場を見ていた人の証言」です。ご本人は発作中の記憶がないため、外来で「そんなことはありません」とお答えになることが珍しくありません。次の項目に心当たりがあれば、受診の際にぜひお伝えください。

💡 ご家族チェックリスト(1つでも当てはまれば相談の目安)

  1. 呼びかけても数十秒〜数分、返事がないことがある
  2. その数分間のことを、本人がまったく覚えていない
  3. 口をもぐもぐさせる・手で何かをまさぐる動きを繰り返す
  4. 一点を見つめたまま、動作が途中で止まる
  5. 話していた言葉が急に出なくなり、しばらくすると元に戻る
  6. 「もの忘れ」の始まりが急だった(数か月以内に、はっきりと)
  7. 日によって・時間帯によって、しっかりしている差が大きい
  8. 理由のわからない転倒、原因不明の打撲やけががある
  9. 寝ている間にうなる・体が突っ張る・翌朝ひどく疲れている
  10. 発作のようなエピソードのあと、半日〜数日ぼんやりしている

💡 受診前にできる、いちばん有効な準備

次に同じことが起きたら、スマートフォンで動画を撮っていただくことをお勧めします。数十秒でかまいません。目の向き、口の動き、手の動き、呼びかけへの反応、そして何分続いたか。この動画が、脳波やMRIよりも先に診断を決めることがあります。あわせて「いつ・何をしていて・何分間・そのあとどうだったか」をメモしてお持ちください。

5. 認知症・TIA・失神との見分け方(比較表)

日本老年医学会雑誌の総説では、高齢者てんかんと区別すべき状態として一過性脳虚血発作(TIA)、一過性全般性記憶障害(TGA)、片頭痛、睡眠障害、失神、心因性非てんかん性発作が挙げられています。外来では次のような軸で整理していきます。

見るポイント 高齢者てんかん 認知症 TIA 失神
始まり方 突然・毎回ほぼ同じ形 ゆるやかに進行 突然 立ち上がり・排尿後など
続く時間 数十秒〜数分 持続的(戻らない) 数分〜24時間未満 数秒〜1分程度
繰り返し方 同じ症状が反復 反復ではなく積み上がる 症状が毎回変わりうる 状況依存で反復
あとの状態 もうろうが数時間〜数日 日内変動はあるが戻らない 消えればすっきり回復 倒れた直後に回復
本人の記憶 その間だけ完全に欠ける 最近の出来事全般が弱い 症状の自覚は残る 倒れる前の予兆を覚えている
動きの特徴 口や手の自動症 特徴的な動きはない 脱力・言語障害 顔色が白くなり脱力

※ 典型例の整理です。実際には重なり合うため、鑑別は診察・脳波・MRI・心電図などを組み合わせて行います。

⚠ すぐに救急受診をご検討いただきたい場合

けいれんが5分以上続く/いったん止まっても短時間で繰り返す/意識がはっきり戻らない/頭を打った/強い頭痛や発熱を伴う/呼吸の様子がおかしい——これらは待たずに救急要請(119)をご検討ください。特に初めてのけいれんは、脳卒中・低血糖・感染症など緊急の原因が隠れていることがあります。

6. 原因の3〜4割は「脳卒中のあと」— 隠れ脳梗塞という下地

高齢発症てんかんは、「原因不明の体質」ではなく脳に残った傷あとから発作が起こるタイプが中心です。日本てんかん学会の高齢者てんかんガイドラインでは、原因の内訳として次が挙げられています。

原因 位置づけ
脳血管障害(脳梗塞・脳出血のあと) 30〜40%で最多
頭部外傷のあと 転倒・打撲の既往が手がかり
神経変性疾患(アルツハイマー病など) 認知症に併存しうる
脳腫瘍 MRIで必ず確認すべき対象
原因が特定できないもの 約3分の1

出典:日本てんかん学会ガイドライン作成委員会報告「高齢者のてんかんに対する診断・治療ガイドライン」

ここが、当院が高齢者てんかんを生活習慣病の外来とひと続きで診たいと考えている理由です。最多の原因が脳血管障害であるなら、高血圧・糖尿病・脂質異常症・心房細動をきちんと管理することが、将来のてんかんを減らすことにもつながります。実際に、ご自身では脳梗塞を起こした覚えがないのに、MRIで小さな脳梗塞(いわゆる隠れ脳梗塞)や慢性的な血管の変化が見つかる方は珍しくありません。

日本高血圧学会「高血圧診療ガイドライン2025(JSH2025)」でも、脳心血管病の予防における降圧の重要性が示されています。血圧手帳の数字と、数年後の「ぼんやり」は、まったく無関係ではないのです。

7. 診断:脳波・MRI・採血で何がわかるか

てんかんの診断は、①発作の様子の聞き取り(および動画)→ ②脳波 → ③画像(MRI/CT)→ ④採血・心電図で他の原因を除外という順に進みます。大切なのは、脳波が正常でも、てんかんは否定できないということです。

📊 脳波は「1回で半分」— だから繰り返し・睡眠時に意味がある

通常の脳波検査で、てんかん性の波をとらえられるのは初回でおよそ50%以下とされ、繰り返しの記録と睡眠時脳波で感度が上がると報告されています(日本老年医学会雑誌 総説「高齢者てんかん診療の現況」)。高齢発症てんかんで多い側頭葉由来の放電は、覚醒時の短時間の記録では出てこないことがあるためです。「脳波は異常なしと言われたので、てんかんではないと思っていました」というお話を外来でよく伺いますが、1回の正常脳波は否定の根拠にはなりません。

🧠 脳波(EEG)

てんかん性放電の有無と、どこから出ているかを見ます。必要に応じて再検査・睡眠時記録・長時間記録を検討します。

📷 頭部MRI/CT

脳梗塞・脳出血のあと、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、海馬の萎縮などを確認します。原因の見える化が治療方針を変えます。

🩸 採血

低血糖・ナトリウム異常・肝腎機能・甲状腺機能・ビタミンB12など、「発作に見える状態」の原因を洗い出します。

💗 心電図・ホルター

失神や不整脈との区別に使います。心房細動が見つかれば、脳梗塞予防という別の治療が始まります。

当院では、脳神経内科・認知症外来・頭痛外来を同じ窓口で担っているため、「もの忘れ」「めまい」「ふるえ」「意識が飛ぶ」をひとまとめに相談していただけるのが強みです。精密な長時間ビデオ脳波や専門的な手術適応の判断が必要な場合は、連携先の専門施設へ速やかにご紹介します。

8. 治療:少量の単剤で約78%が発作ゼロを維持

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。高齢発症てんかんは、治療への反応がとても良いという特徴があります。

🏥 日本の報告では、長期治療を受けた高齢てんかんの方の 77.8% が、少量の抗てんかん薬の単剤投与で発作抑制を維持

出典:日本老年医学会雑誌 総説「高齢者てんかん診療の現況」。若年発症の難治例とは異なり、少ない量・1種類の薬で落ち着く方が多いということです。「薬がどんどん増えるのでは」「ぼんやりしてしまうのでは」というご心配は、よく伺います。けれども実際には、発作が止まることでかえって頭がはっきりする方が少なくありません。

薬の選択については、日本神経学会「てんかん診療ガイドライン」および日本てんかん学会の高齢者ガイドラインで、併存症のある高齢者ではレベチラセタム・ラモトリギン・ガバペンチンが挙げられています。高齢の方では以下の点を重視して選びます。

🥗 高齢者の薬選びで重視する4点

  • 飲み合わせの少なさ:血液をサラサラにする薬、血圧・糖尿病の薬、骨の薬などと併用しやすいこと
  • ふらつき・眠気の少なさ:転倒・骨折を増やさないこと
  • 肝臓・腎臓への負担:腎機能に応じた用量調整ができること
  • 皮疹の少なさ:ガイドラインでは、ラモトリギンの皮疹が3%に対しカルバマゼピンは19%と報告されています

⚠ 自己判断で中断しないでください

発作が落ち着くと、「もう治った」と感じて服薬をやめてしまう方がいらっしゃいます。急な中断は、かえって強い発作(発作の重積)を招くことがあります。減量・中止の判断は、発作のない期間・脳波・原因(脳に傷あとがあるか)をふまえて必ず主治医と相談のうえで行ってください。なお、どの薬が適切かは併存症・腎機能・他のお薬によって大きく変わるため、本記事の薬剤名はあくまで一般的な情報です。

9. 運転免許・入浴・服薬 — 生活の注意点

診断がついたあと、ご本人・ご家族がいちばん気にされるのが運転です。日本の道路交通法では、てんかんのある方の運転について、おおよそ次のように整理されています。

🚗 運転の可否に関わる基本の考え方

  • 発作が過去5年以内になく、医師が「今後、発作が起こるおそれがない」と判断できる場合は、運転が認められます
  • 発作のない期間が2年の場合は、医師が「今後x年程度は発作が起こるおそれがない」と判断できれば、期間後の適性検査を前提に認められる道があります
  • 2年の経過観察で、発作が睡眠中に限って起こり悪化のおそれがないと判断される場合も、認められる道があります
  • 大型免許・第二種免許は、投薬なしで5年間発作がなく再発のおそれがないことが必要です

※ 実際の判断は個々の状況により異なります。診断書の作成や公安委員会への届出を含め、必ず主治医にご相談ください。

運転を控えていただく期間は、ご本人にとって大きな負担です。ただ、75歳以上の方の免許更新では認知機能検査が必要であることもあり、「運転をやめる/続ける」の判断は、認知機能・発作・身体機能をまとめて見ながら、ご家族を交えて相談していくのが現実的です。この点は、認知症外来を併設している当院が特にお力になれる場面だと考えています。

🛁 入浴

湯船の水位を低くし、ひとりでの長湯を避け、家族が声をかけられる時間帯に。シャワー中心に切り替える選択もあります。

🔥 火・階段・自転車

IHや自動消火、階段に手すり、自転車は発作が落ち着くまで控える。発作が抑えられれば、多くは元の生活に戻れます。

😷 睡眠不足・飲酒

睡眠不足と過度の飲酒は発作の引き金になりえます。生活リズムを整えること自体が治療の一部です。

🔁 飲み忘れ対策

お薬カレンダー・一包化・服薬アプリを活用。飲み忘れは最も多い再発のきっかけです。薬局とも連携してご提案します。

🔁 3軸クロスポイント:高齢者てんかんを「糖尿病」「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

高齢者てんかんは、脳神経内科だけの話で終わりません。原因の最多が脳血管障害であり、認知症と重なり、転倒・骨折を通じて健康寿命を削る——という意味で、当院が3軸アプローチと呼んでいる「糖尿病×認知症×抗加齢」のちょうど交差点に立つ病気です。

🩸 軸1: 糖尿病・生活習慣病との関連 — てんかんの「上流」を治す

高齢発症てんかんの原因の30〜40%は脳血管障害です。つまり、血圧・血糖・脂質・心房細動の管理は、脳梗塞予防であると同時に将来のてんかん予防でもあります。JSH2025の降圧目標、糖尿病診療ガイドラインに沿ったHbA1c管理、心房細動のスクリーニング(検脈)——これらはどれも「数年後のぼんやり」を減らす投資です。 また、低血糖は発作そのものを引き起こします。糖尿病の治療中に「意識が飛ぶ」エピソードがあれば、てんかんと決める前に必ず血糖の確認が必要です。当院の糖尿病専門外来は水曜午前、理事長の私が担当しています。

🧠 軸2: 認知症・神経系との関連 — 「どちらか」ではなく「両方」を見る

アルツハイマー病では発作のオッズ比が5〜10倍、病期を通じて9〜16%に発作が生じると報告されています。したがって認知症外来では、「認知症と診断したら終わり」ではなく、進行が急に速まった・日内変動が大きくなったときに、てんかんの併存を疑い直す姿勢が必要です。逆に、てんかんと診断して発作を抑えたあとに、残った認知機能をきちんと評価することも大切です。この行き帰りを同じ窓口でできることが、認知症外来と脳神経内科・頭痛外来を併設している意味だと考えています。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命 — 発作1回が、要介護への分岐点になりうる

高齢者てんかんで怖いのは発作そのものだけではありません。転倒 → 大腿骨骨折 → 入院 → 筋力低下 → 要介護という連鎖です。初回発作後の再発率が66〜90%という数字は、「様子を見る」という選択がこの連鎖のリスクを抱え込むことを意味します。日本人の平均寿命と健康寿命のギャップは約10年。そのギャップを作る主要因の一つが、転倒・骨折とそれに続くフレイルです。発作を早く抑え、睡眠を整え、筋力を保つ。抗加齢医学の視点では、てんかんの治療は「薬を出すこと」ではなく自分の足で歩き続ける年数を守ることだと捉えています。

🏥 センター南で診るという選択(当院が選ばれる理由)

「数分のぼんやり」を相談しようとすると、もの忘れは認知症外来、意識を失うのは循環器、けいれんは脳神経内科——と窓口が分かれてしまいがちです。当院では、ここまで書いてきた内容を次の体制で診ています。

理由① 脳神経内科と認知症外来が同じ窓口

「もの忘れ」「数分の意識の途切れ」「しびれ」「めまい」「ふるえ」を、科をまたがずに一度の受診でご相談いただけます。

理由② 頭痛外来は頭痛専門医・指導医が担当

篠原伸顕院長が頭痛外来を担当しています(頭痛専門医・指導医)。頭痛と発作が混じる訴えの整理に対応します。

理由③ 原因となる生活習慣病まで続けて診る

最多の原因が脳血管障害であるため、高血圧・脂質異常症・心房細動の管理まで一貫して行います。糖尿病専門外来は水曜午前、理事長 五藤 良将が担当します。

理由④ 消化器内科・肝臓内科・内視鏡を併設

2026年10月より、火曜午前に玉井博修医師が消化器内科・肝臓内科・内視鏡を担当します。多剤併用の整理や全身の評価にも対応します。

理由⑤ 平日は18:30まで/土曜は休憩なしで14時まで

月・水・木・金は18:30まで、土曜は9:00〜14:00(休憩なし)。お仕事帰りのご家族が付き添って受診しやすい時間帯です。

理由⑥ センター南駅から徒歩9分・駐車場4台

旧・浜クリニックとして地域に親しまれてきた場所にあります。日曜・祝日は五良会クリニック白金高輪のオンライン診療をご利用いただけます。

「数分だけ、様子がおかしい」——その数分が診断の手がかりになります。動画とメモを持って、一度ご相談ください。

ご予約はmelmoから24時間受付中です。/WEB問診はCLINICSからご利用いただけます。

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11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. けいれんを一度も起こしたことがありません。それでもてんかんの可能性はありますか?

A. あります。高齢発症てんかんでは非けいれん性の発作が多いとされており、軽い意識の途切れ、ことばが出ない、片側の脱力といった形で現れます(日本てんかん学会 高齢者てんかんガイドライン)。「けいれんしていないから違う」とは言えません。数十秒〜数分の「ぼんやり」が繰り返されていれば、ご相談ください。

Q2. 以前に脳波検査を受けて「異常なし」と言われました。もう調べなくてよいですか?

A. 1回の正常な脳波は、てんかんの否定にはなりません。初回の脳波でてんかん性放電がとらえられるのはおよそ50%以下で、繰り返しの記録や睡眠時脳波で感度が上がると報告されています(日本老年医学会雑誌 総説)。発作の様子がてんかんらしい場合は、再検査や記録条件の工夫を検討します。

Q3. すでに認知症と診断されています。それでも、てんかんを疑う意味はありますか?

A. 意味があります。アルツハイマー病では発作のオッズ比が5〜10倍、病期を通じて9〜16%に発作が生じると報告されています。進行が急に速くなった、日や時間帯による差が大きくなったときは、認知症に加えててんかんが併存している可能性を考え直す場面です。発作を抑えることで、日中の状態が安定する方もいらっしゃいます。

Q4. 薬はたくさん飲むことになりますか。眠くなったりしませんか?

A. 日本の報告では、長期治療を受けた高齢てんかんの方の77.8%が少量の単剤で発作抑制を維持できたとされています(日本老年医学会雑誌 総説)。ガイドラインでは併存症のある高齢者に対してレベチラセタム・ラモトリギンなどが挙げられており、ふらつきや飲み合わせに配慮して選びます。発作が止まることで、かえって日中のはっきり感が増す方も多いです。

Q5. 診断がついたら、運転はすぐにやめなければいけませんか?

A. 一律ではありません。道路交通法上は、発作が過去5年以内になく医師が再発のおそれがないと判断できる場合、また一定の条件下で2年発作がない場合、睡眠中のみの発作で悪化のおそれがない場合などに、運転が認められる道があります。判断には診断書が必要で、個々の状況によって結論が変わりますので、必ず主治医にご相談ください。

Q6. 受診のとき、何を持っていけばよいですか?

A. ①発作の様子を撮った動画(数十秒でも有用です)、②「いつ・何をしていて・何分間・そのあとどうだったか」のメモ、③現在のお薬手帳、④これまでの健診結果・血圧手帳、⑤他院のMRI/CTの画像や診療情報提供書があればお持ちください。ご家族の付き添いが、診断の精度を大きく高めます。WEB問診はCLINICSから事前にご記入いただけます。

AUTHOR / SUPERVISOR

医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(ごとう よしまさ)

  • 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
  • 医療法人社団 五良会 理事長/医療法人社団 正友会 理事長/竹内内科小児科医院 院長
  • 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
  • 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
  • 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
  • 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数

執筆・監修責任について

本記事は、五藤 良将が公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで執筆・監修しています。内容は公開時点の情報に基づくものであり、新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、五良ファミリークリニック センター南(045-942-7783)までお知らせください。

📚 主な参考資料

  • 日本てんかん学会ガイドライン作成委員会報告「高齢者のてんかんに対する診断・治療ガイドライン」(池田昭夫 他)
  • 日本老年医学会雑誌 総説「高齢者てんかん診療の現況」
  • 日本神経学会「てんかん診療ガイドライン」
  • 日本高血圧学会「高血圧診療ガイドライン2025(JSH2025)」
  • 警察庁/道路交通法に基づく一定の病気等に係る運転免許の取扱い

執筆|医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)

五良ファミリークリニック センター南/竹内内科小児科医院/五良会クリニック白金高輪


GORYO FAMILY CLINIC CENTER MINAMI
五良ファミリークリニック センター南
内科・小児科・神経内科・認知症外来・頭痛外来・アレルギー科・糖尿病内科・心療内科
内科 小児科 神経内科 認知症外来 頭痛外来
アレルギー科 糖尿病内科 予防接種 健康診断 心療内科
※旧名称:浜クリニック
〒224-0006 神奈川県横浜市都筑区荏田東4-3-19
横浜市営地下鉄ブルーライン・グリーンライン「センター南駅」徒歩9分/駐車場4台
診療時間 月 火 水 木 金 土 日・祝
9:00〜12:00 ○ ○ ○ ○ ○ 9:00
〜
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休
15:00〜18:30 ○ 休 ○ ○ ○

休診日:火曜午後・日曜・祝日/土曜は9:00〜14:00(休憩なし)

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理事長 五藤 良将

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「数分間、呼んでも返事がない」「同じことを何度も聞く」〜その「もの忘れ」は認知症ではなく、高齢者てんかんかもしれません。症状・脳波検査・治療を理事長 五藤良将が解説〜
脳MRIで「白質病変」「かくれ脳梗塞」と言われたら|脳の小血管病の意味と進行を抑える方法を理事長 五藤良将が解説
健診の「軽い脂肪肝」を10年放置していませんか 〜血液検査だけで肝臓の"硬さ"を推し量るFIB-4 indexと、MASLD診療ガイドライン2026を理事長 五藤良将が解説〜
「下痢に血や粘液が混じる」を胃腸炎で終わらせない|潰瘍性大腸炎(IBD)の見分け方・診断・最新治療を理事長 五藤良将が解説
骨密度検査はその日に結果がわかります|骨粗鬆症ガイドライン2025年版とMD法を理事長 五藤良将が解説|五良ファミリークリニック センター南
少し歩くと足がしびれ、前かがみで休むと また歩ける〜腰部脊柱管狭窄症と「糖尿病の神経障害」「足の動脈の病気」の見分け方を理事長 五藤良将が解説〜
今年のインフルエンザワクチンは「3株」|4価から3価になった理由とA型・B型の違いを理事長 五藤良将が解説
「2か月前に、軽く頭を打ちました」〜"治せる認知症"とも呼ばれる慢性硬膜下血腫の見分け方を理事長 五藤良将が解説〜
コップを口に運ぶとき、手がふるえる〜それは「本態性振戦」かもしれません。パーキンソン病との見分け方と治療を理事長 五藤良将が解説〜

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