【2025-2026年シーズンのインフルエンザワクチン開始しました】2025.10.1
【2025-2026年シーズンのインフルエンザワクチン開始しました】2025.10.1
インフルエンザウイルスによる急性熱性感染症で、A、B、Cの3型があり、通常、寒い季節に流行します。
感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間の後に、38℃以上の突然の高熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などが現れ、咳、鼻汁、咽頭痛などの症状がこれらに続き、およそ1週間で軽快します。
主な合併症としては肺炎、脳症が挙げられます。通常のかぜ症候群とは異なり急激に発症し、全身症状が強いことが特徴です。
季節性インフルエンザはいったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がります。
二次感染、合併症の予防のためにも、できるだけ早く受診することが大切です。
インフルエンザワクチン(注射)
インフルエンザを予防する手段として、特に有効とされているのがワクチン接種です。免疫力の低下した高齢者の方をはじめ、幅広く行われています。
インフルエンザワクチンは、接種してから予防効果が出るまでに約2週間かかりますが、その効果は約5か月間持続します。通常、12~翌年3月頃の寒い時期に流行していますので、その前に予防接種を受けるよう心がけてください。
インフルエンザの予防効果について
大人は1回の予防接種で6~7割、2回で9割の免疫がつくといわれていますので、原則1回ですが基礎疾患のある方など2回接種も状況により可能です。
12歳以下は免疫が付きにくいため2回接種します。13歳以上であっても、高校受験・大学受験を控えた受験生やご家族は年内に2回接種しておくと安心です。
インフルエンザが重症化し脳症や肺炎の合併症を起こすことがありますので予防をお勧めいたします。
予診票は当院で配っております。
〖2025-2026年版〗インフルエンザワクチンの重要性と最新エビデンス
Posted by五藤 良将 Posted on9月 25, 2025
【今季(2025–2026)の要点】
今季の国内ワクチンは「不活化インフルエンザワクチン(3価)」:A(H1N1)pdm09、A(H3N2)、B(ビクトリア系統)で構成。B/ヤマガタ系統は含まれません。
経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト点鼻)は2〜19歳未満が対象(1シーズン1回投与)。喘息・妊娠・免疫不全・サリチル酸系内服などは適応外/注意。
有効性:昨シーズン(2024–2025)も外来受診・入院のリスク低下が示され、例年同様中等度の発症予防。重症化予防が主目的。
同時接種:新型コロナワクチン等との同時接種が可能(注射生ワクチンの一般ルールに準拠)。
接種時期:10–12月上旬の接種が目安。接種後約2週間で効果発現、数か月で緩徐に減衰。
【なぜ今季は3価?(B/ヤマガタ除外の経緯)】
背景:インフルエンザBはビクトリア系統とヤマガタ系統の2系統が長年並行流行。2012年以降は4価(A2+B2)でミスマッチを減らしてきました。
変化:2020年春以降、B/ヤマガタ系統の自然感染例が世界的に確認されない状況が継続。
国際的方針:WHOはB/ヤマガタ抗原の削除と3価への移行を推奨。
日本の判断:国内の監視データとWHO勧告を踏まえ、厚生労働省の小委員会で製造株を決定。2024/25は供給安定の観点から4価を維持し、2025/26から3価へ移行。
要点:現時点でB/ヤマガタの循環は極めて低リスク。3価でも実臨床上の保護効果に大きな不利益は想定されず、製造・供給の合理化やワクチン由来再導入の理論的リスク低減にも資するという判断です。
インフルエンザとは
高い感染力を有する呼吸器感染症で、高齢者・小児・妊娠中・慢性疾患のある方では合併症・入院のリスクが上がります。ワクチンは重症化予防の中核であり、抗ウイルス薬や基本的な感染対策(手指衛生・換気・マスク)と併用することで被害を最小化できます。
Influenza is a contagious respiratory illness. Vaccination is central to preventing severe outcomes, especially in older adults, children, pregnant people, and those with chronic conditions.
今季のワクチン株(日本・2025/26)
A/Victoria/4897/2022(H1N1)pdm09 由来
A/Perth/722/2024(H3N2)由来
B/Austria/1359417/2021(ビクトリア系統)由来
※ 今季は「不活化インフルエンザワクチン(3価)」が標準です。B/ヤマガタ系統は近年の不活動性を受けて非収載となっています。
ワクチンの種類と特徴
1) 不活化注射ワクチン(「不活化インフルエンザワクチン(3価)」:皮下注が一般的)
対象:生後6か月以上(13歳未満は原則2回接種)
長所:安全性・実績が最も豊富。妊娠中も接種可。
限界:感染そのものの完全阻止は困難。重症化・合併症予防が主目的。
2) 経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト点鼻)
対象:2〜19歳未満/1シーズン1回(左右鼻腔に0.1 mLずつ)
特徴:鼻咽頭粘膜にIgA中心の粘膜免疫を誘導。注射型と有効性は同等と評価されます(年や株により差異)。
避けるべきケース:2歳未満、喘息・最近の喘鳴、妊娠、免疫不全、サリチル酸系内服、抗インフルエンザ薬の直近使用(オセルタミビル等)ほか。
IIV3 (inactivated) is standard for ≥6 months and can be given in pregnancy. LAIV (FluMist) targets ages 2–<19 (single dose/season), inducing mucosal IgA; overall effectiveness is comparable to IIV, varying by season. Contraindications/precautions include asthma/wheezing, pregnancy, immunocompromise, salicylate therapy, and recent antivirals.
接種スケジュール(当院の基本方針)
生後6か月〜12歳:2回接種(1〜4週間〔推奨4週間〕間隔)
13歳以上:1回接種(受験生・医療介護・基礎疾患などは2回目の追加も相談可)
フルミスト点鼻(2〜19歳未満):1回/シーズン
期待できる効果(有効性の要約)
発症予防:例年40–60%程度の中等度(株一致度やシーズンで変動)。
重症化予防:外来受診・入院・ICUへの進展リスクを有意に低下。
妊婦・乳児:妊娠中の接種は母体・新生児の入院を減少させ、安全性も良好。
持続期間:効果は接種後2週間で発現、3–4か月以降に緩徐に減衰(ピーク前の接種が目安)。
Typical VE ~40–60% (season-dependent), with clear reductions in outpatient visits/hospitalizations. Pregnancy: protects both mother and infant; safety is reassuring. Protection starts ~2 weeks post-vaccination and wanes gradually over months.
安全性と副反応
不活化ワクチン:注射部位痛・腫脹、発熱・倦怠感など。重篤な副反応は稀。
LAIV:鼻閉・鼻汁・咽頭痛・軽い発熱など。2歳未満で喘鳴増加が知られ適応外。
ギラン・バレー症候群(GBS):非常に稀にわずかなリスク上昇が報告。インフルエンザ罹患自体もGBSリスクを上げるため、総合的には接種の利益が勝ると評価されています。
Common reactions are mild (local pain, low-grade fever). GBS is very rare; overall benefits outweigh risks compared with influenza illness.
同時接種・接種間隔の考え方
新型コロナワクチンとは同時接種可(状況に応じて打ち分けも可)。
他ワクチン:日本の一般ルールに準拠(注射生ワクチン同士は27日以上/それ以外は間隔規定なし)。
フルミスト点鼻:国内添付文書に明確な間隔制限の記載はありませんが、直近の抗インフルエンザ薬投与は効果を減弱させ得ます。
Co-administration with COVID-19 vaccines is acceptable. In Japan, injectable live–live vaccines require ≥27 days; otherwise no minimum interval. Recent antivirals can blunt LAIV response.
接種の推奨事項
インフルエンザのワクチン接種は、流行の前に行うことが推奨されています。一般的には10月から11月にかけての接種が効果的です。
インフルエンザワクチンは、免疫機能が大人のように整っていない子どもには、1回の接種だけでは十分な抗体がつくられにくいといわれています。2回目の接種によりブースター効果が得られ、より強くより長い期間の免疫獲得が期待できます。
対象 生後6か月以上で12歳まで(13歳未満)の子ども
接種間隔 1~4週間(できれば4週間)あける
接種時期 10月頃に1回目を接種し、11月中に2回目を接種する
効果 2週間ほどで抗体の上昇が得られ、5ヶ月ほど続くのが一般的
また、13歳以上は通常1回接種ですが、2回接種することもできます。受験生やご家族は年内に2回接種しておくと安心です。インフルエンザワクチンは、当院でも毎年10月上旬から接種を開始いたします。接種スケジュールで悩んでいらっしゃる方は直接ご相談ください。
インフルエンザワクチン(点鼻フルミスト)
フルミスト点鼻駅の値段は、当院では完全予約制で税込み9,000円(補助対象外の値段)です。
※インフルエンザワクチンは数に限りがございますので、予約を取られていても、ワクチンの在庫が無くなり次第終了となります。予めご了承ください。
その場合は、当院HPお知らせにて周知させていただくようになります。
個別に連絡は致しかねますので予めご了承ください。
予防接種前に医師と相談が必要な方
心臓病、腎臓病、肝臓病や血液の病気などの方
発育が遅く、医師、保健師の指導を受けている方
過去に予防接種を受けた時に、2日以内に発熱、発疹、尋麻疹などのアレルギーを疑う異常がみられた方
薬の投与又は食事(鶏卵、鶏肉など)で皮膚に発疹が出たり、体に異常をきたしたことのある方
過去にけいれんを起こしたことがある方
過去に免疫不全の診断がなされている人及び近親者に先天性免疫不全症の人がいる方
妊娠の可能性がある方
間質性肺炎、気管支喘息などの呼吸器疾患のある方
予防接種を受けられない方
発熱のある方(37.5℃以上の人)
重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
過去にインフルエンザHAワクチンの接種を受けて、アナフィラキシー(通常接種後30分以内に出現する呼吸困難、全身性の尋麻疹などを伴う重症のアレルギー反応)を起こしたことがある人。なお、他の医薬品投与を受けてアナフィラキシーを起こした人は、接種を受ける前に医師にその旨を伝えて判断を仰いでください。
その他、医師が予防接種を受けることが不適当と判断した方
新型コロナワクチンとの接種間隔について
インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンとの接種間隔は、同時に接種することも可能です。
インフルエンザワクチンの効果と副反応
インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスに対する予防効果があり、以下のようなメリットがあります。
・インフルエンザの感染予防
ワクチンは、インフルエンザウイルスへの免疫を強化し、感染のリスクを減少させます。ただし、ワクチンの効果は100%ではなく、接種後も感染する可能性はありますが、感染率を大幅に減少させます。
・重症化の予防
仮に感染した場合でも、ワクチンを接種していると症状が軽減される可能性が高いです。高齢者や免疫力が低下している人、持病を抱える人などがインフルエンザにかかると、重篤な合併症が発生することがありますが、ワクチン接種によりそのリスクを軽減できます。
・集団免疫
多くの人がワクチンを接種することで、ウイルスが広がる可能性を低減させ、集団全体としての感染リスクを減少させる効果があります。これにより、特にワクチンを接種できない人や免疫が弱い人を守ることができます。
・変異株に対する効果
インフルエンザウイルスは毎年変異します。ワクチンは、予想されるその年の流行株に基づいて製造されるため、すべての株に対して完全な効果があるわけではありません。しかし、ワクチンは多くの場合、似た株に対しても部分的な効果を持ちます。
全体として、インフルエンザワクチンは特に重症化予防に効果的で、毎年接種することが推奨されています。
インフルエンザワクチンの副反応は一般的に軽度であり、一時的なものが多いですが、いくつかの副反応がございます。
①一般的な副反応 注射部位の反応 痛み、腫れ、発赤:ワクチンを接種した部位が少し痛んだり、腫れたり、赤くなったりすることがあります。通常、数日以内に治まります。
全身的な反応
・発熱:軽度の発熱が1〜2日続くことがあります。
・倦怠感、頭痛:疲労感や軽い頭痛が生じることがあります。
筋肉痛や関節痛:ワクチン接種後に筋肉痛や関節痛が発生することがありますが、これも通常数日で治まります。
②稀な副反応
アレルギー反応
ワクチンの成分に対するアレルギー反応として、発疹やかゆみ、時には呼吸困難などの症状が現れることがあります。特に卵アレルギーのある人は注意が必要ですが、最近のワクチンはこの点でも改善されています。
アナフィラキシー(非常に稀)
非常に稀ですが、重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーが発生することがあります。症状は接種後数分から数時間以内に現れることが多く、すぐに医療機関で治療が必要です。
ギラン・バレー症候群(GBS)
非常に稀に、ギラン・バレー症候群と呼ばれる神経障害がワクチン接種後に発生する可能性があります。ただし、このリスクは極めて低く、インフルエンザにかかった場合のGBSのリスクと比較するとワクチン接種によるリスクは小さいとされています。