メニュー

小児・思春期の頭痛

[2025.06.15]

 小児・思春期の頭痛の代表は片頭痛と緊張型頭痛です。古いデータではありますが2013年慢性頭痛ガイドラインによれば、世界各国の人口統計基盤の調査では小児片頭痛の割合は3.8~13.5%、緊張型頭痛の割合は17.4%、学校(学生数)基盤の調査では小児片頭痛の割合は1.7~21.3%、緊張型頭痛の割合は0.7~27.6%だそうです。

 日本人小児・思春期では、片頭痛の割合は中学生で4.8%(男子 3.3%、女子 6.5%)、高校生で15.6%(男子 13.7%、女子 17.5%)、緊張型頭痛の割合は、高校生で26.8%(男子 23.0%、女子 30.6%)というデーターがあります。なんと日本の女子高校生の半数近くは頭痛持ちという事になります。大変高い割合と言えます。

 一般的に片頭痛は、頭痛発作がない時に普通に生活ができます。一方、不登校・不規則登校など日常生活に支障を来す頭痛の中には慢性連日性頭痛というものがあります。慢性連日性頭痛は、1日4時間以上の頭痛が月に15日以上3ヶ月を超えて続く頭痛であり、慢性片頭痛、慢性緊張型頭痛が多いと言われています。

 慢性片頭痛の診断基準は、閃輝暗点(目の前にギザギザと光が走る)や視野欠損(物が見えにくくなる)などの前兆を伴わない片頭痛が月に8日以上ある事です。慢性連日性頭痛の治療は片頭痛の時に使用される予防薬が中心となる事が多いです。しかし、治療が難渋する要因としては、慢性連日性頭痛には慢性緊張型頭痛の割合も多い事や、心理的要因、精神疾患が共存している事も関係している為です。

 小学校高学年から中学生になる思春期は、子供から大人へなる大事な時期です。心身ともに様々なストレスがかかる年齢であり、頭痛で学校へ行けなくなる割合が増加しているというデータがあります。慢性連日性頭痛で不登校や不規則登校のお子様は、登校できるお子様に比べて慢性緊張型頭痛の割合が高い様です。

 私たち頭痛治療に関与する医師たちも、思春期特有の心理的要素、背景、環境などを広く考慮しながら診断、治療にあたっていく必要性があると思っております。

ある意味人生で一番楽しい時期であろう高校時代を(私の妻は高校時代が一番楽しかったと言っておりました。)、頭痛で悩んでいるお子さんが沢山いるとしたら残念な事です。

 私が以前勤務していたクリニックには、小学生から高校生まで幅広く小児・思春期の方が頭痛で受診されました。その中には、頭痛の為に学校にいけないお子さんがたくさんいました。治療に当たり責任の重さを痛感する日々でした。

 

院長 篠原 伸顕

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME