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心療内科について

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当院では、日本心身医学会および日本心療内科学会の専門医が在籍しており、専門的な知識と経験を活かした診療を提供しています。これにより、より専門的な心療内科サービスを提供できる体制を整えております。

心療内科と精神科の違い

「心療内科」と「精神科」は、しばしば混同されることがありますが、対象とする疾患と治療のアプローチに明確な違いがあります。
心療内科は、心理社会的ストレスを契機に発症または悪化する内科的疾患を対象とし、

  • 自律神経失調症
  • 過敏性腸症候群(IBS)
  • 高血圧症・糖尿病(ストレス関与型)
  • 心身症としての皮膚疾患(アトピー性皮膚炎など)

などを、身体の病気として診察・治療する診療科です。
一方、精神科は、

  • 統合失調症
  • 双極性障害(躁うつ病)
  • 重度のうつ病
  • パーソナリティ障害
  • アルコール・薬物依存症
  • 発達障害

など、主に脳機能異常に由来する精神疾患を対象としています。
当院では、心身症か精神疾患か判断が難しい場合でも、まず患者様の状態を総合的に把握し、必要に応じて専門医療機関と連携しながら 適切なサポートを行っております。

当院心療内科の特徴

当院では、心と身体のつながりを大切にしながら、 患者様ごとに最適な治療プランをオーダーメイドで作成しています。
具体的には、

  • 抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、漢方薬などの薬物療法
  • 自律神経のバランスを整えるための生活指導(睡眠、運動、食事)
  • 認知行動療法要素を取り入れた心理的アプローチ(自律訓練法、行動療法)
  • ストレスマネジメントやリラクセーション指導
  • 必要に応じた休職支援や職場復帰サポート

などを柔軟に組み合わせ、単なる症状の抑制に留まらない、根本的な改善を目指す診療を行っています。 特に、社交不安障害(SAD)に関しては、豊富な診療経験があり、専門的な診断・治療が可能です。

主な対応疾患と治療方針

うつ状態・適応障害

うつ病・適応障害は、心療内科と精神科の両方で扱われることが多い疾患です。
深刻な悲しみ、無気力、興味や喜びの消失といった情動面の症状だけでなく、

  • 頭痛や腰痛
  • 胃腸症状
  • めまい感やしびれ感
  • 動悸や息切れ
  • 強い不眠症

など、身体症状が主に現れることもあります。
また、うつ症状の裏に、甲状腺機能異常など内科疾患が潜んでいる場合もあるため、 当院では必ず身体的な評価を併せて実施します。

【治療内容】

  • 抗うつ薬(SSRI、SNRIなど)による薬物療法
  • 必要に応じた抗不安薬、漢方薬併用
  • 環境調整、休職・復職支援
  • 支持的精神療法、心理教育

不安症(パニック障害・社交不安障害・全般性不安症)

不安症では、過剰な不安感だけでなく、

  • 動悸
  • 呼吸困難
  • 胃部不快感
  • 発汗やふるえ

などの身体症状が前面に出ることが多く、
放置すると社会生活に大きな支障をきたすことがあります。

【治療内容】

  • 抗不安薬、SSRI/SNRIによる薬物療法
  • 自律訓練法、呼吸法、マインドフルネス指導
  • 認知行動療法要素を取り入れた心理支援

社交不安障害に関しては、豊富な症例経験を活かし、段階的・総合的なアプローチを行っています。

社交不安障害(SAD)

社交不安障害(SAD)は、人前で話す、食事をする、字を書くなど、他人に注目される場面で、過度の不安や恐怖を感じ、これらを回避しようとする 慢性疾患です。
平均発症年齢は15歳前後で、発症すると長期化しやすく、

  • 教育機会の減少
  • 就労率低下
  • 社会的孤立

など深刻な影響を与えることが知られています。

【治療内容】

  • SSRI(フルボキサミン、エスシタロプラム(レクサプロ)等 中心の薬物療法
  • 必要に応じ高力価ベンゾジアゼピン系抗不安薬併用
  • デュアルオレキシン受容体拮抗薬(Dual orexin receptor antagonist:DORA)スボレキサント(ベルソムラ®)、レンボレキサント(デエビゴ®)、ダリドレキサント(クービビック®)の薬物療法
  • Z-drug(非ベンゾジアゼピン系GABA作動薬)(Non-benzodiazepine GABA-A receptor agonist hypnotics:Z-drug)ゾルピデム(マイスリー®)、ゾピクロン(アモバン®)、エスゾピクロン(ルネスタ®)
  • 短時間作用型β遮断薬(プロプラノロール等)頓用指導
  • 認知行動療法(CBT:段階的曝露療法+認知再構成法)
  • 呼吸法、自律訓練法指導

【参考文献】
Stein MB, Torgrud LJ, Walker JR. Social phobia symptoms, subtypes, and severity: Findings from a community survey. Am J Psychiatry. 1999 May;156(5):756-760. doi: 10.1176/ajp.156.5.756.

不眠症と睡眠薬治療

不眠症は、単なる「夜眠れない」という問題にとどまりません。
慢性的な睡眠不足は、日中の活動性低下、抑うつ、不安の悪化だけでなく、

  • 高血圧、心筋梗塞、脳卒中
  • 2型糖尿病
  • 認知症リスクの増加

とも強く関連していることが、近年の研究で明らかになっています。

不眠症のタイプ

不眠症には、主に以下の4タイプがあります。

  • 入眠困難:寝つきが悪い
  • 中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
  • 早朝覚醒:早朝に目が覚めてしまう
  • 熟眠障害:寝たはずなのにぐっすり眠れた感覚がない

当院では、それぞれのタイプに合わせた最適な治療戦略を立てます。

当院での治療方針

不眠症に対しては、まず第一に睡眠衛生指導を行います。

  • 就寝・起床時間を一定に保つ
  • 寝室の環境(温度・光・音)を整える
  • 寝る前のカフェイン・アルコール摂取を控える
  • 寝床でスマホやパソコンを使用しない

これらの基本的な生活習慣改善を徹底し、それでも改善しない場合にのみ、薬物療法を慎重に併用します。

睡眠薬の全分類と解説(Z-drugを含む)

当院では、依存性が低く、自然な睡眠リズムを促す薬剤を優先して使用しています。
睡眠薬は、その作用機序と化学構造により大きく分類され、不眠症のタイプや患者様の年齢・背景によって適切に選択されます。
以下は代表的な分類と薬剤の一覧です

分類 一般名・商品名 特徴・注意点
メラトニン受容体作動薬 ラメルテオン(ロゼレム®) 自然な睡眠リズムを整える。依存性がほぼない。主に入眠困難型に使用。
オレキシン受容体拮抗薬(DORA) スボレキサント(ベルソムラ®)
レンボレキサント(デエビゴ®)
ダリドレキサント(クービビック®)
覚醒の維持を担うオレキシンを抑制し自然な眠気を促す。睡眠維持にも効果。比較的新しい薬剤群。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(Z-drug) ゾルピデム(マイスリー®)
ゾピクロン(アモバン®)
エスゾピクロン(ルネスタ®)
GABA-A受容体に作用するがベンゾ系とは異なる構造。入眠・睡眠維持に用いる。依存性はベンゾ系より低いが長期使用に注意。
ベンゾジアゼピン系(短時間作用型) トリアゾラム(ハルシオン®) 速効性あり入眠に有効。高齢者ではせん妄・転倒に注意。
ベンゾジアゼピン系(中間作用型) ブロチゾラム(レンドルミン®)
ロルメタゼパム(エバミール®)
入眠から睡眠維持まで対応。翌朝の眠気・倦怠感に注意。
ベンゾジアゼピン系(長時間作用型) フルニトラゼパム(サイレース®)
ニトラゼパム(ベンザリン®)
作用が持続しやすく慢性不眠や不安を伴う場合に用いるが、日中への影響に留意。
抗不安薬(睡眠補助的に使用) エチゾラム(デパス®)
アルプラゾラム(ソラナックス®/コンスタン®)
本来は抗不安薬。軽度の不眠や神経性不眠に用いられることもあるが、依存性・離脱症状に注意。

睡眠薬の使い分け:症状・背景に応じた処方の考え方

以下は、不眠のタイプや患者背景に応じた、睡眠薬の選択の一例です。実際の処方にあたっては、患者様の病態、既往歴、生活背景などを踏まえた総合的判断が必要です。

不眠症のパターン・背景
考慮すべき薬剤候補(例)
入眠困難(寝つけない)
ラメルテオン(ロゼレム®)、ゾルピデム(マイスリー®)、スボレキサント(ベルソムラ®)、エスゾピクロン(ルネスタ®)
中途覚醒(途中で目が覚める)
レンボレキサント(デエビゴ®)、スボレキサント(ベルソムラ®)、ダリドレキサント(クービビック®)、エスゾピクロン(ルネスタ®)
早朝覚醒(朝早く起きてしまう)
レンボレキサント(デエビゴ®)、ダリドレキサント(クービビック®)
高齢者(転倒・認知機能低下リスク)
ラメルテオン(ロゼレム®)、オレキシン受容体拮抗薬(慎重投与)、Z-drugは避けることも検討
強い不安・緊張を伴う不眠
ベンゾジアゼピン系(短期使用)、抗不安薬(例:エチゾラム、アルプラゾラム)
依存が懸念される/薬物過敏
ラメルテオン(ロゼレム®)、オレキシン受容体拮抗薬(依存リスクが比較的低い)
慢性不眠・複合型
レンボレキサント(デエビゴ®)、エスゾピクロン(ルネスタ®)などを中心に調整

Z-drugおよびDORAの作用機序と特徴

■ Z-drug(非ベンゾジアゼピン系GABA作動薬)(Non-benzodiazepine GABA-A receptor agonist hypnotics:Z-drug)
Z-drugとは、ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロンといった睡眠薬の総称で、GABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用し、神経活動を抑制して睡眠を促します。ベンゾジアゼピン系と比較して、筋弛緩作用や記憶障害が少ないとされており、依存性も軽度とされますが、長期使用による依存・耐性リスクがゼロではないため注意が必要です。

■ DORA(デュアルオレキシン受容体拮抗薬)(Dual orexin receptor antagonist:DORA)
DORAは、脳内の覚醒維持に関与するオレキシンという神経伝達物質のOX1RおよびOX2R受容体を遮断することで、覚醒システムを抑制し、自然な眠気を促す新しいタイプの睡眠薬です。非GABA系であるため、ふらつきや筋弛緩作用が少なく、依存性も低いとされています。主に睡眠維持効果に優れる点が特徴です。

【DORA3種の比較】

  • スボレキサント(ベルソムラ®):日本初のDORA。OX1R・OX2Rに拮抗。中途覚醒や睡眠維持に効果。
  • レンボレキサント(デエビゴ®):スボレキサントより睡眠維持効果が高いとされる。作用時間はやや長め。
  • ダリドレキサント(クービビック®):2024年日本承認。持続時間と翌朝残存効果のバランスに優れるよう設計されており、日中のパフォーマンスへの影響が少ないとされる。

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛や便通異常(下痢・便秘・混合型・ガス型)を慢性的に繰り返す機能性消化管疾患です。

  • 器質的異常(潰瘍、ポリープなど)がないにもかかわらず
  • 腸管の運動異常や過敏性、脳腸相関の異常により症状が生じる

ことが特徴です。
IBSは、ストレスや心理的負担により悪化することが多く、単なる消化器症状の問題ではありません。
心療内科的アプローチが重要な疾患のひとつです。

当院でのIBS治療方針

  • 低FODMAP食の指導(発酵性糖質を控える食事療法)
  • 抗コリン薬、セロトニン受容体拮抗薬、整腸剤、乳酸菌製剤、漢方薬の適切な併用
  • 自律訓練法、ストレスコーピング指導(ストレス緩和技術)

必要に応じて、炎症性腸疾患(IBD)や大腸がんとの鑑別のため、
五良会クリニック白金高輪など連携医療機関にて迅速に内視鏡検査もご案内しています。
【参考文献】
Mayer EA, Savidge T, Shulman RJ. Brain-gut microbiome interactions and functional bowel disorders. Gastroenterology. 2014 Jun;146(6):1500-1512. doi: 10.1053/j.gastro.2014.02.037.

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このような悩みを抱えている方、決して珍しくありません。
そして、決して「気のせい」ではありません。
私たち竹内内科小児科医院は、科学的根拠に基づいた診断と治療、心と身体を統合的に診る医療を提供しています。

  • 自律神経の乱れ
  • 心身症による不調
  • 不安や抑うつによる身体症状
  • ストレス起因の生活習慣病

こうした問題に対して、早期診断・早期治療・総合サポートを大切にしています。
どうぞ、お一人で悩まずに、まずはご相談ください。

当院には心療内科専門医も在籍しております。木曜、金曜日を中心に外来担当しております。
【心療内科担当医】  阿部靖彦
1984年横浜市立大学医学部卒、日本心療内科学会・日本心身医学会専門医、日本消化器病学会専門医、元横浜市立大学医学部非常勤講師
1998年より日本大学医学部板橋病院心療内科において村上正人・前教授、桂戴作・元教授(故)らより心身医学を学ぶ。
大田地域産業保健センター特定産業医としてメンタル相談などの活動をしている。

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