睡眠時無呼吸症候群(SAS)とCPAP療法|症状・検査・治療を詳しく解説【都筑区センター南】
― 理事長より、はじめに ―
こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「家族にいびきと呼吸が止まっていると言われた」「しっかり寝ているはずなのに、日中の眠気がとれない」——旧・浜クリニックの頃から、こうしたご相談をたくさんお受けしてきました。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、ありふれていて、しかも見過ごされやすい病気です。
結論からお伝えします。SASは「いびきと眠気」の問題にとどまらず、高血圧・糖尿病・心房細動・脳卒中・認知症といった全身の病気と深く関わります。けれど、きちんと検査して治療すれば、しっかりコントロールできる病気です。 😷
本記事では、SASの仕組み・症状・セルフチェック・重症度・検査・CPAPを含む治療、そして2026年に変わった保険適応まで、ひととおり詳しく解説します。「CPAPの続け方」については別記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。
📖 目次
1. SASとは——睡眠中に呼吸が止まる病気
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり浅くなったりする病気です。10秒以上の呼吸停止を「無呼吸」、呼吸が浅くなるのを「低呼吸」と呼びます。これが一晩に何十回、重い方では何百回と起こり、そのたびに体は低酸素になり、脳が短く目を覚まして睡眠が分断されます。
SASには大きく3つのタイプがあります。
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① 閉塞性(OSA) のど(上気道)が狭くなって塞がるタイプ。SASの大多数がこれ。胸やお腹は呼吸しようと動いています。 |
② 中枢性(CSA) 脳からの「呼吸の指令」が乱れるタイプ。心不全や脳の病気に伴うことがあります。 |
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③ 混合性 閉塞性と中枢性が混ざるタイプ。検査でタイプを見極めることが大切です。 |
💡 ポイント タイプによって最適な治療が変わります。だから「まず検査」が出発点です。 |
2. 日本人にどれくらい多い?——有病率と"隠れSAS"
SASは決して珍しい病気ではありません。一般に30〜60歳の男性の約4%、女性の約2%に中等症以上のSASがあるとされ、日本には多数の未診断・未治療の方がいると考えられています。
📊 見過ごされやすい理由
・症状が睡眠中に起こるため、本人は気づきにくい
・「いびき」「疲れ」「歳のせい」で片づけられがち
・女性や、やせ型の方にも起こるため「自分は関係ない」と誤解されやすい
ご家族からの「呼吸が止まっているよ」という一言が、診断の大切なきっかけになります。
3. なぜ起こる?——気道が狭くなる主な原因
閉塞性SASは、眠っている間にのどの空気の通り道(上気道)が狭くなることで起こります。背景には次のような要因があります。
🍔 肥満(首まわりの脂肪で気道が狭くなる)
🦴 あごが小さい・後退している骨格(やせ型でも起こる理由)
👃 鼻づまり(アレルギー性鼻炎・花粉症・鼻中隔の変形など)
👅 扁桃肥大・舌が大きい、加齢による筋肉のゆるみ
🍷 飲酒・睡眠薬(のどの筋肉がゆるみ悪化することがある)
🚬 喫煙(気道の炎症・むくみ)
原因はひとつではなく、複数が重なっていることがほとんどです。だからこそ、原因の交通整理が治療の質を左右します。
4. 主な症状とご家族が気づくサイン
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🛏 睡眠中(家族が気づく) 大きないびき、いびきが止まって呼吸が止まる、あえぐような呼吸、寝汗、何度もトイレに起きる |
☀ 日中(本人が感じる) 強い眠気、起床時の頭痛、熟睡感がない、集中力・記憶力の低下、だるさ、気分の落ち込み |
⚠ 居眠り運転のリスク
日中の強い眠気は、運転中の事故につながる危険があります。運転中にヒヤリとした経験がある方は、早めの受診を強くおすすめします。
5. ESS(眠気スケール)でセルフチェック
日中の眠気の程度を測る目安に、ESS(エップワース眠気スケール)があります。次の8つの場面で「うとうとする可能性」を、0=ない/1=まれに/2=ときどき/3=よくあるで点数化し、合計します。
① すわって読書中/② テレビを見ているとき/③ 会議や映画館などで静かにすわっているとき/④ 1時間続けて乗っている車の助手席/⑤ 午後、横になって休んでいるとき/⑥ すわって人と話しているとき/⑦ 昼食後、静かにすわっているとき/⑧ 運転中、渋滞や信号待ちで数分停止したとき
📊 目安
合計が11点以上だと、日中の眠気が強い状態と考えられ、検査をおすすめする目安になります。ただし点数が低くてもSASのことはあります。気になるサインがあれば、点数にかかわらずご相談ください。
6. 重症度の決まり方——AHIとは
SASの重症度は、AHI(無呼吸低呼吸指数)=睡眠1時間あたりに無呼吸・低呼吸が起こる回数で表します。AHIが5以上でSASと診断され、数値が大きいほど重症です。
| 重症度 | AHI(回/時) | イメージ |
|---|---|---|
| 正常 | 5未満 | — |
| 軽症 | 5以上〜15未満 | 生活改善・装置などを検討 |
| 中等症 | 15以上〜30未満 | 治療を積極的に検討 |
| 重症 | 30以上 | CPAPのよい適応となることが多い |
重症度に加えて、症状・合併症の有無も合わせて治療方針を決めます。
7. 放置するとどうなる?——5大合併症
SASを放置すると、夜ごとの低酸素と睡眠の分断が体に負担をかけ続け、全身の病気のリスクを高めます。これがSASの本当の怖さです。
📊 とくに注意したい5つ
🩸 高血圧(とくに治りにくい高血圧の背景にSASが隠れていることも)
💓 心房細動などの不整脈・心不全
🍬 糖尿病・耐糖能異常(血糖コントロールが乱れやすくなる)
🧠 脳卒中のリスク上昇
🧓 認知機能の低下との関連
逆に言えば、SASを治療することは、これらの病気の予防・コントロールにもつながるということです。「いびきの治療」ではなく「全身を守る治療」と考えてください。
8. 検査——簡易検査(PG)と精密検査(PSG)
SASの検査は、まず自宅でできる簡易検査から始められます。必要に応じて、より詳しい精密検査を行います。
| 簡易検査(PG/自宅) | 精密検査(PSG) | |
|---|---|---|
| 場所 | 自宅(機器を貸し出し) | 入院または専門施設で一晩 |
| 調べる内容 | 呼吸・いびき・血中酸素など | 脳波・睡眠段階まで含め詳細に |
| 手軽さ | 普段の自宅で受けられる | より正確だが手間がかかる |
| 位置づけ | まずはこちらでスクリーニング | 確定診断・タイプの見極めに |
当院では、まず自宅でできる簡易検査をご案内できます。結果に応じて、精密検査が必要な場合は連携施設へスムーズにおつなぎします。
9. CPAP療法——しくみ・効果・保険適応【2026】
中等症〜重症の閉塞性SASに対して、もっとも標準的で効果的な治療がCPAP(シーパップ/持続陽圧呼吸療法)です。鼻に装着したマスクから一定の空気の圧を送り、気道がふさがらないように内側から支える仕組みです。
✅ CPAPで期待できること
・夜間の無呼吸が減り、ぐっすり眠れるように
・日中の眠気・起床時の頭痛が軽くなる
・血圧の安定など、合併症の管理にプラス
📊 保険でCPAPを始められる目安(AHI)
・精密検査(PSG):AHI 20以上で保険適応
・自宅の簡易検査:従来はAHI 40以上 → 2026年6月の改定でAHI 30以上に緩和
・CPAP開始後は、月1回程度の通院(またはオンライン診療)と遠隔モニタリングが基本になります
💡 「続けられるか不安」な方へ
マスクが合わない・口が乾く・旅行はどうする——よくあるお悩みの対処法は、「CPAPがつらい・続かない方へ」の記事でくわしく解説しています。最初の"合わせ込み"さえ越えれば、ぐっと楽になります。
10. CPAP以外の治療と当院の診療の流れ
CPAPがすべてではありません。タイプや重症度に応じて、次の選択肢を組み合わせます。
🦷 マウスピース(口腔内装置):軽症〜中等症の選択肢。歯科と連携
⚖ 減量・生活習慣の改善:肥満が原因なら、改善で軽くなることも
🛌 体位療法:あおむけで悪化するタイプに横向き寝の工夫
👃 鼻づまりなど原因の治療:アレルギー性鼻炎の治療を併用
🚭 飲酒・喫煙の見直し:のどの状態を整える
🏥 当院でのSAS診療の流れ
① 問診・ESSでリスクを評価
② 自宅でできる簡易検査をご案内
③ 結果に応じて診断、必要時は精密検査を連携施設へ
④ CPAP導入・マスク合わせ/その他の治療をご提案
⑤ オンライン診療・遠隔モニタリングで、通いやすく継続をサポート
⑥ 高血圧・糖尿病など合併症もまとめて管理(理事長は日本抗加齢医学会専門医)
+土曜も9:00〜14:00(休憩なし)でお仕事と両立しやすい体制
🔁 3軸クロスポイント:SASを「糖尿病」「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる
SASは、まさに当院が大切にする3軸アプローチが交わる病気です。睡眠を整えることは、全身の健康を守ることに直結します。
🩸 軸1: 糖尿病・生活習慣病との関連
🧠 軸2: 認知症・脳の健康との関連
🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命
11. 関連ブログ・関連クリニック
📚 当院ブログ・関連テーマ
🏥 五良会グループ 姉妹クリニックの関連ブログ
12. よくあるご質問(FAQ)
Q1. いびきがあるだけでも検査したほうがいいですか?
A. 大きないびき、呼吸が止まる、日中の眠気のいずれかがあれば、検査をおすすめします。とくにご家族から「呼吸が止まっている」と言われた方は、一度調べる価値があります。
Q2. やせているのでSASとは無関係ですよね?
A. いいえ。あごが小さい・後退しているなど骨格の影響で、やせ型の方や女性にもSASは起こります。「太っている人の病気」という思い込みが、発見を遅らせることがあります。
Q3. 検査は入院しないとできませんか?
A. まずは自宅でできる簡易検査から始められます。機器をお貸しし、普段どおりの睡眠で測定します。より詳しい精密検査が必要な場合のみ、連携施設をご案内します。
Q4. 以前「対象外」と言われましたが、もう一度相談できますか?
A. はい。2026年6月の改定で保険適応の基準が一部緩和されました。以前は届かなかった方が対象になる可能性もあります。検査結果をお持ちいただければ再評価のご相談ができます。
Q5. CPAPは一生続けるのですか?
A. 原因によります。減量などで改善し見直せる方もいれば、続けることで合併症を防ぐ意味が大きい方もいます。状態を見ながら一緒に判断します。続け方の工夫は専用の記事もご参照ください。
執筆|医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医)
五良ファミリークリニック センター南/竹内内科小児科医院/五良会クリニック白金高輪
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査の適応・保険適応の基準・費用は改定や個別の状況により異なります。詳しくは医療機関にご確認ください。
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理事長 五藤 良将
