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布団に入ると脚がむずむずして、眠れない〜「むずむず脚症候群」は採血1本で原因が見つかり、治せる神経の病気です〜

[2026.09.19]

【お知らせ】心療内科専門外来の終了について(2026年10月追記)

火曜午前の心療内科専門外来を担当していた阿部靖彦 医師は、2026年9月末をもって退職いたしました。これに伴い、当院の心療内科専門外来は2026年9月で終了しております。本記事中の心療内科に関する記載は掲載当時の内容です。
2026年10月からの火曜午前は、玉井博修 医師による消化器内科・肝臓内科の専門外来となりました。また、月・水・木・金曜の午後診療は18:30まで延長しております。

RESTLESS LEGS SYNDROME
布団に入ると脚がむずむずして、眠れない
〜「むずむず脚症候群」は採血1本で原因が見つかり、治せる神経の病気です〜

医療法人社団 正友会 理事長・五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)より、秋の夜長に増える「脚のむずむず」の正体と、2025年に大きく変わった治療の考え方をわかりやすくお伝えします。

むずむず脚症候群 不眠・睡眠の質 鉄・フェリチン 横浜市都筑区・センター南

― 理事長より、はじめに ―

こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「夜、布団に入ると脚の奥がむずむずして、じっとしていられない」「脚を動かすと少し楽になるので、夜中に何度も起き上がって歩いてしまう」「病院で診てもらったけれど『気のせい』『年のせい』と言われた」──秋が深まるこの季節、当院の神経内科外来にはこうしたご相談が確実に増えてきます。ご家族から「夜中に脚をバタバタさせている」と指摘されて来院される方も少なくありません。

結論からお伝えします。その症状は「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群/RLS)」という、はっきりした診断基準のある神経の病気である可能性が高く、しかも原因の多くは採血1本で調べられる「鉄(フェリチン)の不足」です。気のせいでも、加齢による仕方のない変化でもありません。適切に治療すれば、多くの方で夜がぐっすり眠れる夜に戻ります。

本記事では、ご自宅でできる4項目のセルフチェック、こむら返りや糖尿病の神経障害との見分け方、意外な悪化要因となる「よく使われる市販薬・処方薬」、そして2025年に米国睡眠医学会(AASM)が発表した新ガイドラインで治療の第一選択が大きく入れ替わったという最新の動きまで、旧・浜クリニックとして長く地域の眠りを診てきた当院の視点で整理してお伝えします。

📖 目次

  1. むずむず脚症候群とは?──「脚を動かしたくてたまらない」病気
  2. 診断は4つの特徴で決まる──ご自宅でできるセルフチェック
  3. こむら返り・下肢静脈瘤・糖尿病の神経障害との見分け方
  4. 最大の原因は「脳の鉄不足」──採血1本でわかるフェリチン
  5. 実は「お薬」が原因のことも──症状を悪化させる意外な薬
  6. 治療の第一歩は薬ではありません──今夜から変えられること
  7. 2025年、治療の常識が変わりました──「増悪」というワナ
  8. 眠りを奪うもう一人の犯人──周期性四肢運動障害(PLMD)
  9. 受診の目安と、当院での検査の流れ
  10. 関連ブログ・関連クリニック
  11. よくあるご質問(FAQ)
  12. 🔁 3軸クロスポイント(糖尿病×認知症×抗加齢)

1. むずむず脚症候群とは?──「脚を動かしたくてたまらない」病気

むずむず脚症候群は、正式にはレストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)、近年は下肢静止不能症候群とも呼ばれる神経の病気です。日本神経治療学会などが合同で作成した『Restless legs症候群診療ガイドライン2024』という、れっきとした診療指針が存在します。「なんとなく脚が気持ち悪い」という曖昧な訴えではなく、診断基準が国際的に定められた、治療法のある疾患だとまず知っていただきたいのです。

患者さんが訴える感覚は実にさまざまで、「むずむず」「虫が這う」「火照る」「脚の奥がざわざわする」「電気が走る」「言葉にできない不快感」など、人によって表現が異なります。共通しているのは「じっとしていられず、脚を動かしたくてたまらない」という強い衝動です。痛みとは限らないため、ご本人がうまく説明できず、周囲に理解されにくいのがこの病気のつらいところです。

📊 むずむず脚症候群──データが示す事実

  • 日本人での有病率は報告により幅がありますが、おおむね1〜4%程度。決してまれな病気ではなく、100人に数人が該当する計算になります
  • 女性に約2倍多く、加齢とともに増加します。妊娠中にも一時的に生じやすいことが知られています
  • 症状は夕方から夜間にかけて悪化するという明確な日内変動があります
  • その結果、入眠困難・中途覚醒を招き、慢性的な不眠と日中の眠気・集中力低下につながります
  • それにもかかわらず、適切に診断されている方はごく一部。「不眠症」として睡眠薬だけが処方され続けているケースが後を絶ちません

ここが最も重要な点です。むずむず脚症候群に対して睡眠薬だけを使っても、根本的な解決にはなりません。脚の不快感そのものが消えていないからです。むしろ、原因を調べないまま睡眠薬が増えていく──これが、当院の頭痛外来・神経内科外来で最もよくお見かけするパターンです。

2. 診断は4つの特徴で決まる──ご自宅でできるセルフチェック

むずむず脚症候群の診断には、国際RLS研究班(IRLSSG)が定めた必須4項目があります。頭文字をとって「URGE(アージ=衝動)」と覚えると便利です。以下の4つがすべて当てはまるかどうか、今夜の眠りを思い出しながら確認してみてください。

頭文字 必須項目 ご自宅でのチェック例
U
Urge
脚を動かしたいという強い衝動がある(多くは不快な感覚を伴う) 「じっとしていられない」「動かさずにいられない」と感じる
R
Rest
安静時に始まる・悪化する 布団に入ったとき、映画館、長距離バス、飛行機、歯科の診察台などでつらい
G
Gets better
動かすと和らぐ(少なくとも動かしている間は楽になる) 脚をさする・伸ばす・歩き回ると一時的に軽くなる
E
Evening
夕方・夜間に強くなる(日内変動がある) 朝はほとんど気にならないのに、夕食後から寝る前がいちばんつらい

📊 これは何を意味するのか?

4項目のうち、診断のカギを握るのは「G(動かすと楽になる)」と「E(夕方・夜に悪化する)」です。この2つは他の脚の病気ではあまり見られない、むずむず脚症候群に特徴的な所見だからです。4つすべてが当てはまる場合、その可能性はかなり高いとお考えください。さらに、症状が週2回以上、3か月を超えて続いているなら、一度ご相談いただく段階です。

3. こむら返り・下肢静脈瘤・糖尿病の神経障害との見分け方

「夜に脚が気持ち悪い」という症状は、実は複数の異なる病気で起こります。診断を誤ると治療もまるで変わってしまうため、神経内科ではここを丁寧に切り分けます。ご自身がどれに近いか、下の表で確かめてみてください。

病態 症状の特徴 決め手となる違い
むずむず脚症候群 言葉にしにくい不快感+動かしたい衝動。両脚のことが多い 動かすと楽になる/夜に悪化
こむら返り(有痛性筋けいれん) ふくらはぎが突然、硬く強い痛みを伴って収縮する 数秒〜数分で終わる発作。筋肉の硬直を触れて確認できる
下肢静脈瘤・むくみ だるさ・重さ・腫れ。血管が浮き出て見えることも 脚を高く上げると楽になる(歩いて楽になるのではない)
糖尿病性末梢神経障害 足先の左右対称のしびれ・ピリピリ・感覚の鈍さ 動かしても変わらない。むしろ感覚が鈍くなる
腰部脊柱管狭窄症 歩くと脚がしびれ、前かがみで休むと回復する(間欠性跛行) 歩くと悪化する──むずむず脚とは正反対
アカシジア(薬剤性の静座不能) 脚だけでなく全身がそわそわし、座っていられない 日内変動がない。特定の薬の開始・増量と時期が一致する

💡 特に紛らわしいのが「糖尿病の神経障害」との重なりです

糖尿病をお持ちの方は、そもそもむずむず脚症候群を合併しやすいことが知られています。つまり「どちらか」ではなく「両方」ということが実際にはよくあるのです。当院は糖尿病内科(水曜は糖尿病専門外来)と神経内科を同じ建物で行き来なく診られる体制ですので、「血糖のせいか、別の神経の病気か」を一度の受診で整理できます。足のしびれ全般については当院ブログ「ビタミンB12欠乏症は、治せる神経の病気です」もあわせてご覧ください。

4. 最大の原因は「脳の鉄不足」──採血1本でわかるフェリチン

むずむず脚症候群がなぜ起こるのか。現在最も有力とされているのが、脳内のドパミン神経の働きが乱れており、その背景に「脳の鉄不足」があるという考え方です。ドパミンをつくる過程では鉄が必須の材料として働きます。鉄が足りなければ、いくらドパミン神経があっても十分に機能できない──だからこそ、治療の出発点は「薬」ではなく「鉄の評価」になるのです。

ここで大切なのは、一般的な健康診断の「貧血なし」だけでは不十分だという点です。ヘモグロビンが正常でも、体の貯蔵鉄であるフェリチンが枯渇している「隠れ鉄不足」の方は珍しくありません。特に月経のある女性、ダイエット中の方、胃腸の手術歴がある方、ピロリ菌除菌後の方などは要注意です。

📊 むずむず脚症候群で必ず測るべき「鉄の3点セット」

国内外のガイドラインは、RLSと診断したすべての患者さんで血清フェリチンとトランスフェリン飽和度(TSAT)を測定することを推奨しています。一般的な目安は次のとおりです。

  • 血清フェリチン < 75 ng/mL、またはTSAT < 45% → 経口鉄剤の補充を検討
  • 補充の目標はフェリチン 75〜100 ng/mL以上(「貧血がないから大丈夫」という基準ではありません)
  • 鉄の吸収を高めるためビタミンCの併用が推奨されます。お茶・コーヒーと同時の服用は避けましょう

なお、鉄不足以外の「二次性RLS」にも目を配る必要があります。代表的なのは腎不全・透析(透析患者さんでは有病率が著しく高いことが知られています)、妊娠(特に妊娠後期)、関節リウマチなどの慢性炎症、そして末梢神経障害です。当院では初診時に、これらを一度に拾い上げられるよう採血項目を組み立てています。

⚠ 自己判断でのサプリメント摂取にはご注意ください
鉄は不足も困りますが、過剰も体に負担となる栄養素です。ヘモクロマトーシスなど鉄が過剰に蓄積する体質の方もいらっしゃいます。市販の鉄サプリを長期間飲み続ける前に、必ずフェリチンを測ってからにしてください。測らずに補う、測らずにやめる──そのどちらも避けたいところです。

5. 実は「お薬」が原因のことも──症状を悪化させる意外な薬

診察でお薬手帳を拝見すると、「この薬を始めてから脚のむずむずが出ていませんか?」とお尋ねすることがあります。ごく一般的に使われているお薬が、むずむず脚症候群を引き起こしたり悪化させたりすることがあるためです。しかも、そうと気づかれないまま何年も続いているケースが少なくありません。

⚠ むずむず脚症候群を悪化させうる代表的なお薬

  • 抗ヒスタミン薬:花粉症・じんましんの薬、市販のかぜ薬や「睡眠改善薬」に含まれる成分。最も見落とされやすい原因です
  • 抗うつ薬(SSRI・SNRI・三環系):うつ・不安の治療薬。必要な治療ですので、自己中断は絶対に避けてください
  • ドパミン遮断作用のある吐き気止め・胃薬:メトクロプラミド、スルピリドなど
  • 一部の抗精神病薬:アカシジアとの鑑別も含め、専門的な評価が必要です
  • カフェイン・アルコール・ニコチン:薬ではありませんが、いずれも明確な悪化因子。特に「寝酒」は睡眠の質を大きく落とします

⚠ 絶対に自己判断で中止しないでください
抗うつ薬や抗精神病薬は、急にやめることで元の症状が強く再燃する危険があります。必ず処方医にご相談のうえで調整してください。当院は火曜午前に心療内科専門外来を設けており、精神科のお薬と神経症状の両方をふまえた調整のご相談が可能です。

6. 治療の第一歩は薬ではありません──今夜から変えられること

RLS診療ガイドライン2024でも、まず取り組むべきは非薬物療法と悪化因子の除去とされています。軽症〜中等症の方では、これだけで生活に支障がない程度まで落ち着くことも珍しくありません。今夜から始められることを4つに整理しました。

🚶 適度な運動を「夕方まで」に

ウォーキングや軽いストレッチは症状を和らげます。ただし就寝直前の激しい運動は逆効果。夕方までに終えるのがコツです。

🧘 脚のマッサージ・温冷刺激

ふくらはぎを下から上へさする、ぬるめの入浴、就寝前の足浴。気持ちよいと感じる方法を選んでいただいて構いません。

☕ カフェイン・寝酒・喫煙を見直す

午後以降のコーヒー・緑茶・エナジードリンクを控える。寝酒は最も避けたい習慣です。禁煙も症状改善に寄与します。

🛏 睡眠時間を「前倒ししすぎない」

症状が最も強いのは夜の前半。あえて就寝を少し遅らせるほうが、かえって寝つきやすくなる方もいます。

🥗 鉄を意識した食事のヒント

  • ヘム鉄(吸収がよい):赤身の牛肉・豚レバー・鶏レバー・かつお・まぐろ・あさり(週2〜3回を目安に)
  • 非ヘム鉄+ビタミンC:小松菜・ほうれん草・大豆製品・ひじきに、ブロッコリーや柑橘類を組み合わせると吸収が高まります
  • タイミングの工夫:食後すぐの濃いお茶・コーヒーは鉄の吸収を妨げます。30分〜1時間ほど時間をあけるだけでも違います
  • ただし、食事だけで不足分を埋めるのは容易ではありません。フェリチンが低い場合は医療用の鉄剤による補充が確実です

7. 2025年、治療の常識が変わりました──「増悪」というワナ

ここが、本記事で最もお伝えしたい部分です。むずむず脚症候群の薬物治療は、この数年で大きな方向転換がありました。長らく第一選択とされてきたドパミン作動薬(プラミペキソール=ビ・シフロール、ロチゴチン=ニュープロパッチなど)が、その座を譲ったのです。

理由は「オーグメンテーション(augmentation=増悪現象)」にあります。これは、薬を長く飲み続けるうちに、かえって症状が悪化していくという厄介な現象です。具体的には、症状が出る時刻が夕方から昼へと前倒しになり、脚だけだったものが腕にまで広がり、薬が効いている時間が短くなっていきます。患者さんは「効かなくなってきた」と感じて増量を希望され、増量すればさらに悪化する──という悪循環に入ってしまうのです。

📊 オーグメンテーションを疑うサイン

  • 症状が出始める時間が以前より2時間以上早くなった
  • もともと脚だけだったのに、腕や体幹にも広がってきた
  • 薬を飲んでから効き始めるまでが長くなった/効果の持続時間が短くなった
  • 症状の強さが治療前より悪化している
  • 増量したら一時的によくなったが、しばらくしてまた悪化した

米国睡眠医学会(AASM)が2025年に公表した最新の診療ガイドラインでは、この点がはっきりと反映されました。2012年版で強く推奨されていたプラミペキソール・ロピニロールは「使用しないことを条件付きで推奨」へと逆転し、代わりにα2δリガンド(ガバペンチン エナカルビル=レグナイト、ガバペンチン、プレガバリン)が強い推奨となりました。また、静注鉄剤(フェリックカルボキシマルトース)も強い推奨に位置づけられ、「鉄を補う」という治療の重みがいっそう増しています。

治療 主な薬剤 現在の位置づけ
鉄補充 経口鉄剤(+ビタミンC)/静注鉄剤 まず全例で鉄を評価。不足があれば最優先で補充
α2δリガンド ガバペンチン エナカルビル(レグナイト)ほか 長期管理の中心。オーグメンテーションを起こしにくい
ドパミン作動薬 プラミペキソール、ロチゴチン貼付剤ほか 効果は速いが長期漫然投与は避ける方向へ。定期的な見直しが必須
その他 低用量オピオイド、腓骨神経への電気刺激機器など 難治例の選択肢。専門的な管理が前提

💡 すでにドパミン作動薬を飲んでいる方へ

「今の薬をすぐやめるべき」という意味ではありません。効いていて、増悪のサインもなければ、そのまま続ける判断は十分にあり得ます。大切なのは「漫然と同じ処方を何年も続けない」「効かなくなったときに安易に増量しない」という2点です。心当たりのある方は、お薬手帳を持って一度ご相談ください。減量・切り替えは慎重に、時間をかけて行います。

8. 眠りを奪うもう一人の犯人──周期性四肢運動障害(PLMD)

むずむず脚症候群の方の多くに、周期性四肢運動(PLMS)という現象が合併します。これは眠っている間に、脚が20〜40秒ほどの一定間隔でピクッと動くことが繰り返されるというものです。ご本人はまったく自覚がなく、たいていは隣で眠るご家族が先に気づかれます。

やっかいなのは、この動きのたびに脳が浅い覚醒を起こし、睡眠の質が細切れに削られていくことです。ご本人は「夜中に起きた記憶はない。でも朝すっきりしない、日中眠い」とおっしゃいます。「十分寝ているはずなのに疲れが取れない」という訴えの背景に、これが隠れていることがあります。

💡 いびきを伴うなら、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性も

「日中の強い眠気」にはいくつもの原因があります。大きないびき・呼吸が止まる・朝の頭痛を伴うなら、睡眠時無呼吸症候群の検査が必要です。当院ではご自宅でできる簡易検査(アプノモニター)をご用意しており、むずむず脚症候群との鑑別・合併の評価を一度に進められます。そして睡眠時無呼吸症候群は、認知症リスクを高める因子としても重要です。

9. 受診の目安と、当院での検査の流れ

次のいずれかに当てはまる方は、一度ご相談いただくタイミングです。

📊 受診をおすすめする目安

  • 前述の4項目(URGE)がすべて当てはまり、症状が週2回以上・3か月以上続いている
  • 脚の不快感のせいで寝つけない/夜中に何度も目が覚める
  • 睡眠薬を飲んでいるのに眠れない、あるいは睡眠薬が少しずつ増えている
  • ご家族から「寝ている間に脚がよく動いている」と指摘された
  • すでにむずむず脚の薬を飲んでいて、症状が出る時間が早まってきた(オーグメンテーションの疑い)
  • 糖尿病・腎臓病・貧血をお持ちで、脚のしびれや不快感が出てきた

🏥 五良ファミリークリニック センター南での診療の流れ

  • ① 問診:4項目の確認、症状の日内変動、睡眠の状況、ご家族からの目撃情報。お薬手帳を必ずご持参ください
  • ② 神経学的診察:末梢神経障害・パーキンソン病など、他の神経疾患が隠れていないかを確認します
  • ③ 採血:フェリチン・TSATを含む鉄の評価に加え、腎機能、血糖・HbA1c、甲状腺機能、ビタミンB12などを一度に確認
  • ④ 悪化因子の整理:抗ヒスタミン薬・抗うつ薬・吐き気止めなど、見直せるお薬がないか一緒に検討します
  • ⑤ 治療:非薬物療法と鉄補充を土台に、必要に応じてα2δリガンドを検討。定期的に効果と増悪サインを見直します
  • ⑥ 必要に応じて:睡眠時無呼吸症候群の簡易検査、心療内科専門外来(火曜午前)との連携

当院は頭痛外来・神経内科・認知症外来を柱とし、糖尿病内科と心療内科を併設しています。「脚のむずむず」というひとつの症状の裏に、鉄不足・糖尿病・薬剤・睡眠障害・心身のストレスといった複数の要素が絡んでいることは決して珍しくありません。それらを分断せずに一度に診られることが、旧・浜クリニックの時代から地域のかかりつけ医として大切にしてきた当院の姿勢です。

🔁 3軸クロスポイント:むずむず脚症候群を「糖尿病」「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

むずむず脚症候群は「眠れない」という困りごとで受診されることがほとんどですが、当院ではこれを「夜の睡眠という、健康寿命の土台が削られているサイン」としてとらえています。脚のむずむずを治すことは、単に寝つきをよくすること以上の意味を持ちます。当院が掲げる3軸アプローチ──糖尿病・認知症・抗加齢の3つの視点から、この病気を立体的に見てみましょう。

🩸 軸1: 糖尿病・生活習慣病との関連 ──「眠れない」と「血糖が下がらない」は地続きです

糖尿病をお持ちの方は、むずむず脚症候群を合併しやすいことが知られています。腎機能の低下、末梢神経障害、そして鉄代謝の乱れが重なるためです。さらに問題なのは逆向きの矢印です。睡眠不足はインスリンの効きを悪くし(インスリン抵抗性)、食欲を高めるホルモンのバランスを崩します。「眠れない」ことが、翌日の血糖値を押し上げるのです。つまり、脚のむずむずを放置することは、血糖管理の足を静かに引っ張り続けることを意味します。当院では水曜日に糖尿病専門外来を設けており、血糖・腎機能・神経障害・鉄をひとつの流れとして評価します。「脚のしびれは糖尿病のせいだろう」と決めつけず、動かすと楽になるかを必ず確かめてください。それが、治せる病気を見つける分かれ道になります。

🧠 軸2: 認知症・神経系との関連 ──「深い眠り」は脳の掃除の時間です

脳には、睡眠中に老廃物を洗い流すグリンパティック系という仕組みがあります。アルツハイマー病に関わるアミロイドβなどの老廃物は、主に深い眠りの時間帯に脳から排出されると考えられています。むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害によって睡眠が細切れになると、この「脳の掃除の時間」が確保できません。実際、慢性的な睡眠障害は認知機能低下の危険因子として、国際的にも繰り返し指摘されています。加えて、むずむず脚症候群はドパミン神経の機能不全を背景とするため、パーキンソン病やレビー小体型認知症との関連も研究が続いています。「脚がむずむずする」だけで将来これらの病気になると決まるわけでは決してありませんが、認知症外来を併設する当院だからこそ、睡眠の乱れを「年のせい」で終わらせません。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命 ──夜の1時間が、10年後の自立を分けます

日本人の平均寿命と健康寿命のギャップは、男性で約9年、女性で約12年とされています。この「介護を要する期間」を縮める鍵のひとつが睡眠です。眠りが浅い日々が続くと、日中の活動量が落ち、筋肉量が減り、フレイル・サルコペニアへの入り口になります。夜間に何度も起き上がって歩くことは、高齢の方では転倒・骨折のリスクそのものでもあります。骨折は要介護状態への最短ルートです。むずむず脚症候群の治療は、「よく眠れる」という自覚症状の改善にとどまらず、活動量を保ち、転倒を防ぎ、自立した生活を長く続けるための投資だと私は考えています。日本抗加齢医学会専門医として、「老化の見える化」のなかでも睡眠の質は最も改善余地の大きい項目のひとつだとお伝えしたいのです。

10. 関連ブログ・関連クリニック

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11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. こむら返りとの違いが、やはりよくわかりません。

A. いちばんの違いは「痛み」と「時間」です。こむら返りはふくらはぎが硬直する激しい痛みで、数秒から数分で終わる発作です。一方むずむず脚症候群は痛みとは限らず、言葉にしにくい不快感が数十分から数時間続き、脚を動かしている間だけ和らぐのが特徴です。「動かすと楽になる」かどうかを思い出していただくと、区別がつきやすくなります。

Q2. 市販の鉄サプリを飲んでみてもいいでしょうか?

A. まずフェリチンを測ってからにしてください。鉄は不足も過剰も体に負担がかかる栄養素で、鉄が蓄積しやすい体質の方もいらっしゃいます。また、フェリチンが低い場合は市販サプリでは量が足りず、医療用の鉄剤のほうが確実です。ビタミンCの併用や、お茶・コーヒーと時間をずらす飲み方も含めて、検査結果をもとにご案内します。

Q3. 睡眠薬で眠ってしまえば、それでよいのでは?

A. 残念ながら、睡眠薬は脚の不快感そのものを取り除いてはくれません。眠りに入っても周期性四肢運動で睡眠が細切れになり、「寝たのに疲れが取れない」状態が続きます。そして、効かないからと睡眠薬が増えていく──これが最も避けたい経過です。原因(鉄不足・薬剤・腎機能など)を先に調べることが、結果的に薬を減らす近道になります。

Q4. 妊娠中に脚がむずむずします。薬は飲めますか?

A. 妊娠中、特に後期にむずむず脚症候群が現れることはよくあり、多くは出産後に自然に軽快します。この時期は薬物療法に慎重さが求められますので、鉄の評価と補充、生活習慣の調整が中心になります。必ず産科の主治医と連携のうえ進めますので、自己判断でお薬やサプリを始めず、まずご相談ください。

Q5. 子どもが「脚が痛い、気持ち悪い」と言って眠れません。成長痛でしょうか?

A. 「成長痛」とされているお子さんの一部に、小児のむずむず脚症候群が含まれていることが知られています。落ち着きのなさや日中の集中力低下として現れることもあります。お子さんでも鉄の評価が治療の出発点になります。当院は小児科も標榜しておりますので、お子さんの「夜、脚が気持ち悪くて眠れない」もどうぞご相談ください。

Q6. 受診のとき、何を持っていけばよいですか?

A. お薬手帳を必ずご持参ください(市販薬・サプリメントも含めてお伝えいただけると助かります)。加えて、直近の健康診断の結果、そして可能であれば「症状が出る時刻・強さ・夜中に起きた回数」を1週間ほどメモしていただけると、診断と治療効果の判定が格段に正確になります。ご家族が気づかれた寝ている間の様子も、貴重な情報です。

執筆|医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)

五良ファミリークリニック センター南/竹内内科小児科医院/五良会クリニック白金高輪



GORYO FAMILY CLINIC CENTER MINAMI
五良ファミリークリニック センター南
内科・小児科・神経内科・認知症外来・頭痛外来・アレルギー科・糖尿病内科・消化器内科
内科 小児科 神経内科 認知症外来 頭痛外来
アレルギー科 糖尿病内科 予防接種 健康診断 消化器内科
※旧名称:浜クリニック
〒224-0006 神奈川県横浜市都筑区荏田東4-3-19
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理事長 五藤 良将

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毎週火曜の午前は「消化器内科外来」になりました〜元・川崎市立川崎病院 消化器内科部長 玉井博修医師の外来を理事長 五藤良将がご紹介〜
緊張型頭痛とは|肩こり頭痛の原因・片頭痛との見分け方・治し方を理事長 五藤良将が解説|五良ファミリークリニック センター南

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