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夏は「痛風発作」の危険シーズン|尿酸値7.0の意味・最新治療・予防を医師が解説【都筑区センター南】

[2026.07.24]
GOUT & HYPERURICEMIA

夏は「痛風発作」の危険シーズン
〜尿酸値7.0を超えたら知っておきたい対処・最新治療・予防〜

医療法人社団 正友会 理事長・五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)より、夏に急増する痛風発作と「尿酸値が高い」ことの本当の意味、今日からできる予防と最新治療の本質をわかりやすくお伝えします。

痛風・高尿酸血症 夏の脱水対策 生活習慣病 都筑区センター南

― 理事長より、はじめに ―

こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「健康診断で尿酸値が高いと言われたけれど、痛くないから放置している」「夫が昨夜、突然足の親指の付け根が腫れ上がって歩けないほど痛がっている」——毎年、暑さが本格化するこの時期になると、外来ではこうしたご相談が目に見えて増えます。

結論からお伝えします。痛風発作は1年のうち夏に最も起こりやすく、その引き金は「汗による脱水」と「ビール・甘い清涼飲料」です。そして尿酸値は、たとえ今は痛みがなくても6.0mg/dL以下にコントロールしておくことが、関節だけでなく腎臓と血管、ひいては健康寿命を守る鍵になります。

本記事では、なぜ夏に痛風が増えるのかという理由から、高尿酸血症が引き起こす「痛みのない合併症」、最新の治療薬、今日から実践できる夏の予防法までを、高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(日本痛風・尿酸核酸学会)に基づいてわかりやすく解説します。

1. なぜ夏に痛風発作が増えるのか

痛風発作には、はっきりとした季節性があります。国内外の調査で、発作は気温の高い7〜8月に最も多いことが繰り返し報告されています。理由はシンプルで、夏は「尿酸が濃縮しやすく、排泄されにくい」季節だからです。

大量の汗をかくと体の水分が失われ、血液中の尿酸濃度が上がります。同時に尿の量が減るため、尿酸の排泄も低下します。そこへ、キンキンに冷えたビールや甘い清涼飲料が加わると、尿酸値はさらに押し上げられます。🥵 つまり夏は、「濃縮」と「排泄低下」と「摂取増加」の三重苦が重なる季節なのです。

📊 夏の痛風──データが示す事実

  • 痛風発作は気温の高い夏(7〜8月)に最も多いと報告されています
  • 痛風患者さんの約9割は男性。30〜50代の働き盛りに多く発症します
  • 発作の引き金は脱水・飲酒・暴食・激しい運動──いずれも夏に重なりやすい要因です

2. 痛風・高尿酸血症とは──尿酸値7.0mg/dLの意味

尿酸は、細胞の核に含まれる「プリン体」が体内で分解されてできる最終産物です。血液に溶けていられる尿酸の限界濃度が約7.0mg/dLで、これを超えた状態が高尿酸血症です。溶けきれなくなった尿酸は針状の結晶(尿酸塩結晶)となって関節などに沈着し、これを白血球が攻撃したときに起こる激しい炎症が痛風発作です。

📊 どれくらいの人が「尿酸予備軍」なのか?

国民生活基礎調査(2022年)では、痛風で通院している方は全国で約130万人。さらにその予備軍である高尿酸血症は推定1,000万人以上とされ、成人男性のおよそ5人に1人が該当すると考えられています。決して「一部のお酒好きの病気」ではありません。

なお、女性は女性ホルモン(エストロゲン)に尿酸の排泄を促す働きがあるため痛風は少ないのですが、閉経後は尿酸値が上昇し、発症リスクが高まります。60代以降の女性も他人事ではありません。

3. 痛風発作の症状と経過──「痛みが引いた=治った」ではありません

痛風発作は、多くの場合夜間から早朝にかけて突然始まります。最も多いのは足の親指の付け根(第1中足趾節関節)で、発作全体の約7割を占めます。足首や膝、手の関節に起こることもあります。患部は赤く腫れ上がり、「風が吹いても痛い」と言われるほどの激痛が24時間以内にピークに達します。

発作は治療をしなくても1〜2週間ほどで自然に治まります。しかし、ここに大きな落とし穴があります。痛みが消えても、関節や腎臓への尿酸結晶の沈着は続いているのです。放置すれば発作の間隔は次第に短くなり、複数の関節に広がり、耳や肘に「痛風結節」というコブができることもあります。

⚠ 「喉元過ぎれば」が最も危険です
痛風の治療中断理由で最も多いのが「痛くなくなったから」。発作が治まった後こそ、尿酸値を下げる治療の始めどきです。

4. 痛風だけではない──尿酸が静かに傷つける腎臓と血管

高尿酸血症の本当の怖さは、関節の痛みではなく、痛みを伴わずに進行する合併症にあります。尿酸結晶は腎臓や尿路にも沈着し、高尿酸血症は高血圧・メタボリックシンドロームとも深く関連します。

合併症 何が起こるか ポイント
腎障害(痛風腎) 尿酸結晶が腎臓に沈着し、腎機能が低下 自覚症状のないまま慢性腎臓病(CKD)へ進行
尿路結石 濃く酸性に傾いた尿の中で結石が形成 夏の脱水で特にリスク上昇
高血圧・動脈硬化 血管内皮の障害・酸化ストレスを介して進行 心筋梗塞・脳卒中のリスク因子に
メタボ・糖尿病 内臓脂肪・インスリン抵抗性と相互に悪化 尿酸値は「生活習慣病の警告灯」

尿酸値が高い方は、糖尿病・高血圧・脂質異常症を合併していることが非常に多く、これらが重なると動脈硬化は加速度的に進みます。まさに「ダブルジオパディ(二重の危険)」の状態です。尿酸値の異常は、全身の生活習慣病を見直す絶好のサインと捉えてください。

5. 尿酸値を上げる原因──プリン体だけではありません

「痛風=プリン体」というイメージが強いのですが、食事由来のプリン体は体内の尿酸の約2割にすぎません。残りの約8割は体内で作られます。だからこそ、プリン体制限だけでなく、生活全体の見直しが大切です。

🍺 アルコール

ビールのプリン体だけが問題ではありません。アルコール自体が尿酸の産生を増やし、排泄を妨げます。「ビールを焼酎に変えれば安心」ではないのです。

🥤 果糖(清涼飲料水)

甘いジュースやスポーツドリンクに含まれる果糖は、代謝の過程で尿酸を増やします。夏の「がぶ飲み」は要注意です。

🥩 プリン体の多い食品

レバー・白子・あん肝・干物・煮干しなどに多く含まれます。1日の摂取目安は400mg以下(ガイドライン推奨)。

⚖️ 肥満・脱水・その他

内臓脂肪の蓄積、激しい無酸素運動、サウナ後の脱水、一部の利尿薬、体質(遺伝)も尿酸値を押し上げます。

6. 検査と診断──「6・7・8のルール」

尿酸値の評価は、覚えやすい「6・7・8のルール」で整理できます。高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2019年)に基づく考え方です。

尿酸値(mg/dL) 意味 対応の目安
6.0以下 治療目標値 6を維持」が合言葉
7.0超 高尿酸血症と診断 生活習慣の見直しを開始
8.0以上 合併症があれば薬物療法を検討 腎障害・高血圧・糖尿病などがある方
9.0以上 発作がなくても薬物療法を積極的に検討 放置は禁物です

当院では、血液検査(尿酸値・腎機能・血糖・脂質)と尿検査で全身の状態を評価します。健康診断で「尿酸値が高め」と指摘された段階でご相談いただければ、発作を未然に防ぐ選択肢が大きく広がります。

7. 治療──発作時の対処と尿酸を下げる薬

痛風の治療は、「今の激痛を鎮める治療」と「尿酸値そのものを下げる治療」の2段構えです。この2つを混同しないことが、治療成功の最大のポイントです。

【発作時】消炎鎮痛薬(NSAIDs)を中心に、発作の予兆期にはコルヒチン、腎機能などでNSAIDsが使いにくい場合はステロイドを使います。重要な原則として、発作の最中に尿酸降下薬を新たに開始しないこと(急激な尿酸値の変動はかえって発作を悪化させます)。すでに服用中の方は、発作中も中断せずそのまま継続します。

尿酸降下薬の分類 代表的な薬 特徴
尿酸生成抑制薬 フェブキソスタット、トピロキソスタット、アロプリノール 尿酸が作られる量を減らす。現在の治療の中心
尿酸排泄促進薬 ドチヌラド、ベンズブロマロン 尿からの排泄を増やす。ドチヌラドは2020年登場の新しい選択肢

💡 薬の飲み始めに発作が起きやすい?

尿酸降下薬の開始直後は、関節に沈着していた結晶が溶け出す過程で一時的に発作が起きやすくなります。これは治療が効いているサインでもあります。少量から始めてゆっくり下げるのが原則ですので、自己判断で中断せず、必ずご相談ください。

8. 夏の予防──食事・水分・生活習慣の実践ポイント

夏の痛風予防の最重要ポイントは、ずばり「水分」です。尿量を保つことが尿酸の排泄につながります。目安は1日2L以上の水分摂取(心臓や腎臓の病気で水分制限のある方は主治医の指示に従ってください)。

🥗 積極的に摂りたいもの・心がけたいこと

  • 水・麦茶:こまめに1日2L以上。就寝前・起床時・入浴前後にコップ1杯ずつ
  • 牛乳・低脂肪乳製品:尿酸値を下げる方向に働くことが報告されています
  • コーヒー:習慣的な摂取で痛風リスク低下の報告あり(砂糖の入れすぎには注意)
  • 野菜・海藻・きのこ:尿をアルカリ性に傾け、尿酸を排泄しやすくします
  • ウォーキングなどの有酸素運動:肥満解消は最も確実な尿酸対策のひとつです 🚶

⚠ 夏に特に控えたいもの

  • ビールをはじめとするアルコール:種類を問わず量が問題。週2日の休肝日を
  • 甘い清涼飲料・加糖スポーツドリンク:果糖が尿酸を押し上げます。水分補給は水・麦茶が基本
  • レバー・白子・あん肝・干物:プリン体の摂取は1日400mg以下が目安
  • サウナ・激しい筋トレ後の水分不足:脱水+乳酸で尿酸値が急上昇します

💡 「かくれ脱水」にもご注意を

のどの渇きを感じにくいご高齢の方は、気づかぬうちに脱水が進む「かくれ脱水」から痛風発作や熱中症に至ることがあります。詳しくはこちら:高齢者の熱中症とかくれ脱水|糖尿病・認知症の方が危ない理由

9. センター南での尿酸値管理──当院の診療体制

旧・浜クリニックとして地域に親しまれてきた当院は、痛風・高尿酸血症を「関節の病気」としてではなく、糖尿病・高血圧・脂質異常症とひとつながりの生活習慣病として、全身を見渡して管理します。

🏥 当院の強み

  • 発作時の迅速な鎮痛治療から、尿酸値6.0以下を目指す長期管理まで一貫して対応
  • 糖尿病内科として、尿酸・血糖・血圧・脂質を1か所でまとめて管理(3軸アプローチ)
  • 血液・尿検査で腎機能もあわせて定期チェック
  • 土曜も9:00〜14:00(休憩なし)で診療──平日お忙しい働き盛り世代の通院に便利です
  • センター南駅徒歩9分・駐車場4台。日祝の急な発作は姉妹院・白金高輪のオンライン診療へご案内

🔁 3軸クロスポイント:痛風・高尿酸血症を「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

当院が大切にしている「糖尿病×認知症×抗加齢」の3軸クロスの視点で見ると、尿酸値は単なる痛風の指標ではなく、脳と血管と老化をつなぐ交差点にある数値だとわかります。

🩸 軸1: 糖尿病・メタボとの関連──尿酸はインスリン抵抗性の鏡

高尿酸血症の背景には、内臓脂肪の蓄積とインスリン抵抗性が潜んでいることが少なくありません。近年は糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬に血糖と同時に尿酸値も下げる作用があることが知られ、両疾患を併せ持つ方の治療選択肢が広がっています。食後高血糖と合わせた管理はこちらもご参照ください:血糖値スパイクが、脳をむしばむ

🧠 軸2: 認知症・脳との関連──高すぎても、下げすぎても

高尿酸血症は高血圧や動脈硬化を介して脳血管障害や血管性認知症のリスクを高めます。一方で興味深いことに、尿酸には抗酸化物質としての働きもあり、低すぎる尿酸値と神経疾患との関連を示唆する報告もあります。大切なのはゼロを目指すことではなく、6.0mg/dL前後の「適正域」に保つこと。認知症外来を併設する当院ならではの視点で管理します。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命──腎臓を守ることが老化を遅らせる

尿酸の結晶が引き起こす慢性炎症と酸化ストレスは、血管と腎臓の「老化アクセル」です。腎機能は一度落ちると取り戻すことが難しい臓器。尿酸管理は最も費用対効果の高いアンチエイジングのひとつと言えます。水分・運動・節酒という地道な習慣が、健康寿命と平均寿命のギャップを縮めます。🌱

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11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. いま痛風発作の真っ最中です。発作が治まってから受診したほうがいいですか?

A. いいえ、発作中こそ受診してください。消炎鎮痛薬で痛みの期間を大きく短縮できますし、痛風以外の病気(細菌性関節炎・偽痛風など)との見きわめも大切です。歩くのがつらい場合はご家族の運転や、まずはお電話でのご相談でも構いません。

Q2. ビールをやめて焼酎やハイボールにすれば大丈夫ですか?

A. 残念ながら「お酒の種類を変えれば安心」とは言えません。プリン体の少ないお酒でも、アルコール自体が尿酸の産生を増やし排泄を妨げるためです。大切なのは総量を減らすことと、週2日程度の休肝日です。

Q3. 健診で尿酸値7.5でしたが痛みはありません。薬は必要ですか?

A. 症状のない段階では、まず減量・節酒・水分摂取などの生活改善が基本です。薬物療法は、尿酸値の程度(8.0〜9.0以上)や、腎障害・高血圧・糖尿病などの合併症の有無を踏まえて個別に判断します。まずは一度、全身の評価を受けてみてください。

Q4. 尿酸を下げる薬は一生飲み続けるのですか?

A. 原則として長期の継続が必要ですが、大幅な減量や生活改善で減量・中止を検討できる場合もあります。最も避けたいのは自己判断での中断です。中断後の尿酸値リバウンドは、発作再発の最大の原因です。

Q5. 女性でも痛風になりますか?

A. なります。女性ホルモンに尿酸排泄を促す働きがあるため若い女性にはまれですが、閉経後は尿酸値が上がり、発症リスクが高まります。利尿薬を服用中の方も要注意です。健診で尿酸値が上がり始めたら、年齢を問わずご相談ください。

執筆|医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)

五良ファミリークリニック センター南/竹内内科小児科医院/五良会クリニック白金高輪


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