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のどに何かつかえている感じが続く〜ストレスと関係する「咽喉頭異常感症(ヒステリー球)」の原因・検査・治療を心療内科併設クリニックが解説〜

[2026.09.01]

【お知らせ】心療内科専門外来の終了について(2026年10月追記)

火曜午前の心療内科専門外来を担当していた阿部靖彦 医師は、2026年9月末をもって退職いたしました。これに伴い、当院の心療内科専門外来は2026年9月で終了しております。本記事中の心療内科に関する記載は掲載当時の内容です。
2026年10月からの火曜午前は、玉井博修 医師による消化器内科・肝臓内科の専門外来となりました。また、月・水・木・金曜の午後診療は18:30まで延長しております。

GLOBUS SENSATION / PSYCHOSOMATIC MEDICINE
のどに何かつかえている感じが続く
〜ストレスと関係する「咽喉頭異常感症(ヒステリー球)」の原因・検査・治療を心療内科併設クリニックが解説〜

医療法人社団 正友会 理事長・五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)より、「検査では異常がないのに、のどの違和感が消えない」というお悩みの本質と対処法をわかりやすくお伝えします。

のどのつまり感 咽喉頭異常感症 ストレス・自律神経 心療内科専門外来(火曜午前)

― 理事長より、はじめに ―

こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「のどに何か引っかかっている感じがして、唾を飲むたびに気になる」「妻に『考えすぎ』と言われるけれど、がんではないかと不安で仕方ない」「耳鼻科でカメラをしても『異常なし』。でも、つかえ感が消えない」――外来で、こうしたご相談が最近とても増えています。

結論からお伝えします。検査で異常が見つからない「のどのつまり感」の多くは「咽喉頭異常感症(ヒステリー球)」と呼ばれる状態で、ストレスや自律神経の乱れと深く関係しており、命に関わる病気ではなく、適切な治療とセルフケアで十分に改善が期待できます。ただし、その診断には「危険な病気をきちんと除外すること」が絶対条件です。

本記事では、咽喉頭異常感症の症状の特徴、ストレスとの関係、除外すべき病気と受診の目安、検査の流れ、半夏厚朴湯などの治療、ご自宅でできるセルフケアまで、心療内科を併設する当院ならではの視点で丁寧に解説します。

1. 咽喉頭異常感症(ヒステリー球)とは?

咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)とは、のどの診察や検査では明らかな異常が見つからないのに、「のどに何かつかえている」「異物がある」「締めつけられる」といった違和感が続く状態です。まるでのどに球(きゅう)が留まっているように感じられることから、古くは「ヒステリー球」、英語では「globus(グロブス)」と呼ばれてきました。国際的な機能性消化管疾患の診断基準であるRome IV基準(2016年)でも、「globus(のどの塊感)」は独立した疾患概念として位置づけられています。

決して珍しい症状ではありません。海外の報告では、一般人口のおよそ半数近くが、一生のうちに一度は「のどの塊感」を経験するとされ、耳鼻咽喉科の新患のうち約4%がこの症状を主訴に受診するといわれています。働き盛りの世代や、真面目で責任感の強い方、環境の変化(異動・介護・家族の病気など)を抱えた方に多くみられるのが特徴です。旧・浜クリニックとして地域に親しまれてきた当院でも、センター南・都筑区エリアの働く世代やご高齢の方から、このご相談を数多くお受けしています。

💡 大切なポイント

「気のせい」でも「心が弱いせい」でもありません。のどの知覚が過敏になり、実際に「ある」と感じてしまう、身体のメカニズムに基づいた症状です。だからこそ、正しい理解と治療で改善が期待できます。

2. 症状の特徴――「食事は普通に通る」のがポイント

咽喉頭異常感症には、危険な病気と見分けるうえで重要な特徴があります。最大のポイントは、「食べ物や飲み物は問題なく飲み込めるのに、何も飲み込んでいないとき(唾を飲むとき)に限って違和感が強くなる」ことです。

特徴 咽喉頭異常感症でよくみられるパターン
感じ方 「つかえ」「異物感」「圧迫感」「締めつけ」「痰が張りついた感じ」など多彩
食事との関係 食事中はむしろ楽になる・忘れていることが多い。固形物が引っかかって通らないことはない
時間帯・状況 緊張する場面、仕事中、夜に一人で考えごとをしているときに強まり、何かに集中していると軽くなる
経過 数週間〜数ヶ月単位で良くなったり悪くなったりを繰り返す。体重は減らない
併存しやすい症状 胸やけ・げっぷ、不眠、動悸、肩こり、ため息、不安感など自律神経系の症状

逆に言えば、「固形物が実際に引っかかる」「飲み込むと痛い」「体重が減ってきた」場合は、咽喉頭異常感症とは考えにくく、別の病気の検索が必要です。この見分け方は第4章で詳しくお伝えします。

3. なぜ起こる?ストレス・自律神経とのどの深い関係

「ストレスでのどがつまる」と聞くと不思議に思われるかもしれませんが、のどは実は自律神経の影響を非常に受けやすい場所です。緊張すると口が渇き、人前で話す前にのどがぎゅっと締まる感覚は、多くの方が経験したことがあるはずです。咽喉頭異常感症では、主に次の3つのメカニズムが重なり合って症状をつくると考えられています。

🧘 ① 筋肉の緊張

ストレス下では交感神経が優位になり、のど(上部食道括約筋や咽頭の筋肉)が無意識に緊張します。この持続的な筋緊張が「締めつけ感」「つかえ感」として自覚されます。

🔥 ② 胃酸の逆流

胃酸や胃の内容物がのどまで逆流すると、咽喉頭の粘膜が刺激されて知覚が過敏になります。のどの塊感を訴える方の約2〜6割に胃食道逆流の関与が報告されており(日本消化器病学会 GERD診療ガイドライン2021 改訂第3版)、胸やけを自覚しない「のどだけの逆流症状」も少なくありません。

🧠 ③ 脳の知覚過敏

不安や緊張が続くと、脳が「のどからの信号」を実際以上に強く受け取るようになります(内臓知覚過敏)。「がんではないか」という不安がのどへの注意をさらに高め、不安→注意→違和感増強→さらに不安という悪循環が完成します。

この悪循環の構図は、ストレスで腸の知覚が過敏になる過敏性腸症候群(IBS)とよく似ています。のども腸も、「脳と身体の対話」がうまくいかなくなったときにSOSを出しやすい臓器なのです。

4. まず除外すべき病気――こんなサインは早めに受診を

咽喉頭異常感症の診断は、「のどの違和感を起こす他の病気がないこと」を確認して初めて成り立ちます。頻度は決して高くありませんが、次のような病気が隠れていることがあります。逆流性食道炎、咽喉頭酸逆流症、慢性副鼻腔炎による後鼻漏、アレルギー性の咽喉頭炎、甲状腺の腫れ(甲状腺腫・甲状腺炎)、鉄欠乏性貧血、食道の運動機能の病気(アカラシアなど)、そして最も見逃してはならないのが咽頭がん・喉頭がん・食道がんです。

⚠ 次のサインがあれば「様子見」せず、早めに検査を受けてください

  • 固形物が実際に引っかかる・通らない(つかえ感が食事中に強くなる)
  • 飲み込むときの痛みが続く、声のかすれが2週間以上続く
  • 意図しない体重減少、血痰、首のしこり
  • 症状が片側に固定している、徐々に悪化し続けている
  • 50歳以上で初発、飲酒・喫煙歴が長い(咽頭・食道がんのリスク因子)

裏を返せば、こうしたサインがなく、検査でも異常がなければ、過度にがんを恐れる必要はありません。「きちんと調べて異常がなかった」という事実そのものが、不安の悪循環を断ち切る最初の治療になります。

5. 検査の流れ――「異常なし」を確かめることが治療の第一歩

当院では、のどのつまり感でご相談いただいた場合、症状やリスクに応じて次のようなステップで評価を進めます。

検査 目的
問診・のどの診察 症状のパターン(食事との関係・危険なサインの有無)、ストレス背景、睡眠状態を丁寧に伺います
血液検査・甲状腺の評価 鉄欠乏性貧血、甲状腺機能異常・甲状腺の腫れ、炎症の有無を確認します
耳鼻咽喉科での喉頭ファイバー 鼻から細いカメラでのど(咽頭・喉頭・声帯)を直接観察し、腫瘍や炎症を除外します。必要時に連携医療機関へご紹介します
上部消化管内視鏡(胃カメラ) 逆流性食道炎・食道がん・胃の病気を確認します。姉妹院の五良会クリニック白金高輪では内視鏡検査に対応しています

すべての方に全部の検査が必要なわけではありません。年齢・症状・リスクに応じて「必要十分」な検査を選び、安心の土台をつくったうえで治療に進むのが当院の方針です。

6. 治療①:胃酸の逆流対策

胃酸の逆流が疑われる場合(胸やけ・げっぷを伴う、食後や横になったときに悪化する、内視鏡で食道炎があるなど)は、まず胃酸を抑える治療を行います。プロトンポンプ阻害薬(PPI)や、より強力に胃酸を抑えるカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB:ボノプラザン)を4〜8週間試み、のどの違和感が軽くなるかを確認します(日本消化器病学会 GERD診療ガイドライン2021 改訂第3版に準拠)。

💡 逆流を減らす生活のコツ

  • 食後2〜3時間は横にならない/就寝前の食事・夜食を避ける
  • 腹八分目に。早食い・食べすぎ・炭酸の一気飲みを控える
  • 脂っこい食事・アルコール・喫煙・濃いコーヒーを減らす
  • ベルトや矯正下着でお腹を締めつけない/体重管理(内臓脂肪は腹圧を上げ逆流を悪化させます)
  • 就寝時は上半身をやや高くして寝る

7. 治療②:心療内科的アプローチと漢方(半夏厚朴湯)

逆流対策だけでは良くならない場合や、明らかにストレス・不安が引き金になっている場合は、心療内科的なアプローチが治療の中心になります。

まず知っていただきたいのが漢方薬の半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)です。実は約1,800年前の中国の古典『金匱要略』に、のどのつかえ感を「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)=のどに炙った肉片が張りついた感じ」と表現し、この処方を当てた記載があります。まさに咽喉頭異常感症のために生まれたような漢方薬で、現代でも第一選択のひとつとして広く使われ、のどの違和感・不安感・気分の落ち込みをあわせて和らげる効果が期待できます。効果はゆるやかに現れるため、2〜4週間を目安に続けて評価します。

不安が強い方、パニック症や不眠を併発している方には、抗不安薬やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬を少量から用いることがあります。内臓知覚過敏を鎮める作用が期待でき、Rome IV基準(2016年)でも機能性食道疾患への神経調整薬(neuromodulator)の使用が位置づけられています。また、「この症状は危険なものではない」と身体で理解し直していく認知行動療法的な関わり――症状日記でパターンを見つける、のどへの注意を意識的に外す練習など――も、再発予防に有効です。

⚠ 抗不安薬について

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は即効性がある一方、長期連用で依存が生じ得るため、当院では頓用・短期間にとどめ、漢方やSSRI、生活調整を柱に据える方針です。すでに長く服用中の方の減薬相談もお受けしています。

8. 今日からできるセルフケア6選

🧘 ① ゆっくり吐く呼吸

4秒で鼻から吸い、6〜8秒かけて口から細く吐く呼吸を1日数回。吐く息を長くすると副交感神経が優位になり、のどの筋緊張がゆるみます。

💧 ② こまめな水分・飴

のどの乾燥は違和感を強めます。少量ずつの水分補給やノンシュガーの飴・ガムで唾液を促すと、「唾だけを飲む」場面が減り、違和感に気づく回数も減ります。

🚶 ③ リズム運動

1日20〜30分のウォーキングなど一定のリズムの運動は、セロトニン系を介して不安と内臓知覚過敏を和らげます。港北ニュータウンの緑道は絶好のコースです。

🛌 ④ 睡眠を削らない

睡眠不足は知覚過敏と不安の増幅装置です。就寝・起床時刻を一定にし、寝る前1時間はスマートフォンから離れましょう。

👀 ⑤ 「確認行動」をやめる

何度も唾を飲んで確かめる、鏡でのどを覗く、症状を検索し続ける――これらはすべて、のどへの注意を高めて症状を強化します。「気になっても確かめない」練習が回復の近道です。

🤝 ⑥ 一人で抱え込まない

背景に介護・仕事・家庭のストレスがあることがほとんどです。信頼できる人や主治医に言葉にして話すだけでも、のどの「つかえ」は軽くなります。

9. 当院の心療内科専門外来(火曜午前)のご案内

🏥 「身体の検査」と「心のケア」を、ひとつの窓口で

咽喉頭異常感症は、「身体の病気の除外」と「ストレス・自律神経へのアプローチ」の両輪が必要な、まさに心身症の代表格です。当院は内科・神経内科・頭痛外来に加えて心療内科を併設し、毎週火曜午前に心療内科専門外来を行っています。「心療内科に行くほどではない気がする」という方も、まずは内科の窓口としてご相談ください。

  • 血液検査・甲状腺評価から、耳鼻咽喉科・内視鏡(姉妹院連携)までワンストップで手配
  • 漢方(半夏厚朴湯など)・薬物療法・生活調整を組み合わせたオーダーメイド治療
  • 不眠・動悸・頭痛・めまいなど併存する自律神経症状もまとめて診療
  • センター南駅徒歩9分・駐車場4台。土曜は9:00〜14:00(休憩なし)診療

🔁 3軸クロスポイント:のどのつまり感を「糖尿病」「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

当院が掲げる「3軸アプローチ」(糖尿病×認知症×抗加齢)の視点でみると、たかが「のどの違和感」も、全身の健康を映す鏡であることがわかります。

🩸 軸1: 糖尿病・生活習慣病との関連

内臓脂肪型の肥満は腹圧を高めて胃酸逆流を悪化させ、のどの違和感の温床になります。また、慢性的なストレスはコルチゾールを介して血糖・血圧を押し上げ、やけ食い・飲酒量増加につながることも。のどのつまり感は「ストレスと生活習慣を見直すサイン」と捉え、体重・血糖・血圧もあわせて点検しましょう。水曜の糖尿病専門外来でサポートします。

🧠 軸2: 認知症・神経系との関連

ご高齢の方の「飲み込みにくさ」は、咽喉頭異常感症と決めつけてはいけません。パーキンソン病や脳卒中後遺症などによる本当の嚥下障害(むせる・実際に通らない)が隠れていることがあり、誤嚥性肺炎のリスクにも直結します。神経内科を併設する当院では、「心因性のつかえ感」と「神経疾患による嚥下障害」の見極めを大切にしています。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命

慢性ストレスは細胞の老化を早め、睡眠の質を下げ、健康寿命と平均寿命のギャップを広げる要因になります。のどの違和感をきっかけにストレス対処・睡眠・運動習慣を整えることは、アンチエイジングの実践そのものです。日本抗加齢医学会専門医の立場からも、「症状を入り口に生活全体を若返らせる」発想をおすすめします。

10. 関連ブログ・関連クリニック

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11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. のどのつまり感が続いています。がんの可能性はありますか?

A. 食事が普通に通り、痛み・声がれ・体重減少・首のしこりなどがなければ、がんの可能性は高くありません。ただし自己判断は禁物です。特に50歳以上の方、飲酒・喫煙歴のある方は、一度は喉頭ファイバーや胃カメラで確認しておくと安心です。「異常なし」を確かめること自体が治療の第一歩になります。

Q2. 耳鼻科で「異常なし」と言われましたが、症状が続いています。どうすればいいですか?

A. 腫瘍などが除外されているなら、次のステップは「胃酸逆流の評価」と「ストレス・自律神経へのアプローチ」です。胸やけがなくても隠れ逆流が関わっていることがありますし、半夏厚朴湯などの治療で改善する方も多くいらっしゃいます。当院の心療内科専門外来(火曜午前)または内科外来へご相談ください。

Q3. 半夏厚朴湯はどのくらいで効きますか?副作用はありますか?

A. 効果の現れ方には個人差がありますが、目安として2〜4週間続けて評価します。比較的副作用の少ない処方ですが、まれに胃の不快感や発疹、体質に合わない場合があります。ほかの漢方薬との併用で甘草の重複に注意が必要なこともあるため、服用中のお薬を必ずお知らせください。

Q4. 心療内科の受診は敷居が高く感じます。内科の受診でもいいのでしょうか?

A. もちろんです。当院は内科・神経内科・心療内科を併設しているため、まず内科として身体の検査から入り、必要に応じて心療内科的な治療へ自然につなぐことができます。「ストレスのせいかどうか自分ではわからない」という段階でのご相談こそ歓迎です。

Q5. 高齢の親が「のどがつかえる」と言います。同じ病気でしょうか?

A. ご高齢の方では慎重な判断が必要です。食事中にむせる、食べ物が実際に通らない、痩せてきた、といった場合は、咽喉頭異常感症ではなく神経疾患や食道の病気による「本当の嚥下障害」の可能性があります。誤嚥性肺炎の予防のためにも、神経内科を併設する当院へ早めにご相談ください。

執筆|医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)

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