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糖尿病の「シックデイ」対応|風邪・発熱・胃腸炎の日に命を守るルール|センター南

[2026.07.18]

【お知らせ】心療内科専門外来の終了について(2026年10月追記)

火曜午前の心療内科専門外来を担当していた阿部靖彦 医師は、2026年9月末をもって退職いたしました。これに伴い、当院の心療内科専門外来は2026年9月で終了しております。本記事中の心療内科に関する記載は掲載当時の内容です。
2026年10月からの火曜午前は、玉井博修 医師による消化器内科・肝臓内科の専門外来となりました。また、月・水・木・金曜の午後診療は18:30まで延長しております。

 
 
DIABETES SICK-DAY RULES
糖尿病の「シックデイ」対応
〜風邪・発熱・胃腸炎の日に、命を守るためにできること〜

医療法人社団 正友会 理事長・五藤 良将より、体調をくずした日に糖尿病の方が「命を守るために知っておきたいルール」を、わかりやすくお伝えします。

シックデイ
糖尿病
SGLT2阻害薬
インスリン

― 理事長より、はじめに ―

こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「糖尿病なのに、熱が出て食事がとれないとき、薬やインスリンはどうすれば?」「食欲がないのにインスリンを打って大丈夫?」——旧・浜クリニックの時代から地域に親しまれてきた当院(五良ファミリークリニック センター南)の糖尿病外来でも、こうしたご質問をよくいただきます。

結論からお伝えします。風邪・発熱・下痢・嘔吐などで体調をくずした「シックデイ」こそ、糖尿病は脱水・高血糖・ケトアシドーシス・低血糖といった危険な状態に急に傾きやすく、あらかじめ決めた“シックデイルール”を知っておくことが、まさに命綱になります。

本記事では、シックデイとは何か、水分・食事・血糖測定の基本、お薬ごとの「休む薬・続ける薬」の考え方(インスリンは自己判断でやめない/SGLT2阻害薬・メトホルミンは休薬など)、そして受診・救急の目安まで、ご本人にもご家族にもわかるように整理しました。

1. シックデイとは? ― 「いつもの管理」が通用しない日

シックデイ(sick day)とは、糖尿病の方が発熱・下痢・嘔吐・食欲不振などで体調をくずし、ふだん通りに食事がとれない・血糖管理がいつも通りにできない日のことです。かぜ・インフルエンザ・胃腸炎・歯の痛み・けがなど、きっかけはさまざまです。

健康な方であれば数日で治る体調不良でも、糖尿病の方では血糖値が大きく乱れ、ときに命にかかわる状態に進むことがあります。だからこそ、「具合が悪いときにどうするか」を元気なうちに決めておくことが大切です。この“決めごと”がシックデイルールです。

2. なぜ危険? ― 脱水・高血糖・ケトアシドーシス・低血糖

体調不良のときは、体がストレスに反応して血糖を上げるホルモン(コルチゾールなど)が増えます。その結果、食べていなくても血糖値が上がることがあります。一方で、食事がとれないのにいつも通りの薬やインスリンを使うと、今度は低血糖の危険も。「上がる」と「下がる」の両方向のリスクが同時に生じるのがシックデイの怖さです。

⚠ シックデイで起こりうる危険な状態

  • 脱水:発熱・下痢・嘔吐で水分が失われ、血液が濃くなる。腎機能悪化にもつながる。
  • 高血糖・糖尿病性ケトアシドーシス(DKA):インスリン不足で体が脂肪を分解し、酸性物質(ケトン体)が増える。
  • 低血糖:食べられないのに薬・インスリンが効きすぎる。
  • 高浸透圧高血糖状態:とくにご高齢の方で、極端な高血糖と脱水が重なる。

3. シックデイの基本4か条 ― 安静・水分・食事・血糖測定

① 安静・保温

無理をせず休みます。仕事や運動は控え、体力の消耗を防ぎます。

② 水分をしっかり

1日1〜1.5L以上を目安に、お茶・水・スープなどでこまめに。脱水を防ぎます。

③ 食べられるものを

おかゆ・うどん・果物・ゼリー・スープなど、消化がよく糖質を含むものを少量ずつ。

④ こまめに血糖測定

血糖自己測定(SMBG)やCGMをお持ちの方は、いつもより頻回に確認します。

💡 まったく食べられないときの工夫

固形物が無理でも、糖質を含む水分(果汁・スポーツドリンク・重湯・具なしみそ汁など)で少しずつ糖分と水分・塩分を補います。「食べられない=何もとらない」ではなく、「とれる形でエネルギーと水分を切らさない」ことが大切です。

4. インスリンは「自己判断でやめない」 ― 特に1型

⚠ もっとも大切なルール

食欲がないからと、インスリンを自己判断で完全に中止しないでください。とくに1型糖尿病の方がインスリンを止めると、短時間で糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)という命にかかわる状態に陥る危険があります。食事がとれない日でも、体は生きるためにインスリンを必要としています。

ただし、食事量が減れば必要なインスリン量は変わります。「食前に打つインスリン(追加インスリン)は食べられた量に応じて減らす」「持続的に効くインスリン(基礎インスリン)は原則続ける」といった調整の考え方は、あらかじめ主治医と決めておくことが重要です。当院では、患者さんごとに「シックデイのときのインスリンの打ち方」を具体的にお伝えしています。迷ったときは、自己判断せず当院にご連絡ください。

5. お薬別の対応 ― 休薬する薬・調整する薬

飲み薬(経口血糖降下薬)は、種類によってシックデイの対応が異なります。以下は日本糖尿病協会などが示す一般的な考え方です。ご自分の薬がどれに当たるかは、必ず主治医・薬剤師にご確認ください。

薬の種類(例) シックデイの対応 理由
SGLT2阻害薬 必ず休薬 脱水を強め、正常血糖でもケトアシドーシスを起こす危険(詳細は次章)。
ビグアナイド薬
(メトホルミン)
休薬 脱水時に乳酸アシドーシスの危険。特に高齢者・腎機能低下の方。
α-グルコシダーゼ阻害薬 休薬 下痢・腹部症状を強める。中止しても血糖は大きく上がらない。
GLP-1/GIP受容体作動薬
イメグリミン
吐き気・腹痛があれば休薬 消化器症状を悪化させることがある。
SU薬/速効型インスリン
分泌促進薬(グリニド)
食事量に応じて減量・休薬 食べられないと低血糖の危険。全量食べられれば通常量、半分なら半量、ほぼ食べられなければ休薬が目安。
DPP-4阻害薬/
チアゾリジン薬
主治医の指示に従う(多くは影響小) 単独では低血糖・脱水への影響は比較的小さい。
インスリン 自己判断で中止しない 特に1型はDKAの危険。量の調整は事前に決めたルールで(前章参照)。

なお、糖尿病以外のお薬でも、利尿薬・一部の降圧薬(ACE阻害薬・ARB)・痛み止め(NSAIDs)は、脱水時に腎臓へ負担をかけることがあり、シックデイに調整を検討する場合があります。これらも事前に主治医とご相談ください。

6. SGLT2阻害薬の落とし穴 ― 「正常血糖ケトアシドーシス」

SGLT2阻害薬(フォシーガ・ジャディアンス・カナグル・スーグラ・ルセフィ・デベルザなど)は、尿から糖を出すことで血糖を下げるお薬です。心臓や腎臓を守る効果も知られ、幅広く使われています。ただしシックデイには特有の危険があります。

📊 見落とされやすい「正常血糖ケトアシドーシス」

通常の糖尿病性ケトアシドーシスは血糖250mg/dL以上の高血糖を伴います。ところがSGLT2阻害薬を服用中は、尿に糖が出るため血糖値がそれほど高くない(=一見正常に見える)のに、危険なケトアシドーシスを起こすことがあります。「血糖が高くないから大丈夫」という思い込みが、発見を遅らせる原因になります。だからこそ、シックデイには必ず休薬し、水分をしっかりとることが重要です。

7. こんなときは受診・救急 ― 受診の目安

⚠ 早めに受診・連絡を(迷ったら電話でご相談ください)

  • 嘔吐・下痢が続き、水分もとれない
  • 高熱が丸1日以上続く/症状がどんどん悪化する
  • 血糖値が高いまま下がらない(例:350mg/dL以上が続く)、または低すぎる
  • 尿ケトンが強く出ている(測定できる方)
  • 強い倦怠感・呼吸が速い・意識がもうろうとする
  • まったく食事がとれない状態が続く

とくに意識がもうろうとする・呼吸が速く苦しい・呼びかけへの反応がおかしいときは、ケトアシドーシスなど緊急の状態が疑われます。ためらわず救急要請(119番)をしてください。判断に迷うときは、平日の診療時間内であれば当院へお電話でご相談いただけます。

8. シックデイに備える ― 平時にしておく準備

シックデイ対応は、元気なうちの準備が9割です。次のことを、体調の良いときに整えておきましょう。

  • 「シックデイの指示」を主治医と決めておく:どの薬を休むか、インスリンをどう調整するか、どこに連絡するか。
  • 備蓄:経口補水液・スポーツドリンク・おかゆ・ゼリー・体温計を常備。
  • 血糖測定の準備:血糖自己測定器(SMBG)やCGMのセンサー、(お持ちの方は)尿ケトン試験紙。
  • お薬手帳・連絡先を分かる場所に。ご家族とも情報を共有しておく。

🏥 ご家族へ

ご高齢の方や、認知機能に不安のある方は、ご本人だけで判断するのが難しい場面があります。ご家族が「今日は食べられている?」「水は飲めている?」「薬はどうする予定だった?」と一緒に確認してあげてください。あらかじめ当院で決めた「シックデイの指示」を、ご家族も把握しておくと安心です。

9. 当院でできること ― 個別のシックデイ指導

🏥 五良ファミリークリニック センター南 糖尿病内科

  • 患者さんごとの「シックデイの指示」作成(休薬する薬・インスリン調整・連絡先)
  • 院内でHbA1cが約5分でわかる迅速検査、血糖・ケトン・腎機能の評価
  • 脱水時の点滴など、その日のうちの対応
  • SGLT2阻害薬・メトホルミンなどを使う方への、事前のシックデイ教育
  • 「叱らない・伴走する」診療。治療中断からの再開も歓迎します

当院では、糖尿病内科・神経内科・認知症外来・心療内科を併設し、「血糖だけでなく全身を診る」診療を大切にしています。シックデイの備えについて不安がある方は、体調の良いときにぜひ一度ご相談ください。土曜は9:00〜14:00(休憩なし)で診療しております。日曜・祝日は、五良会グループの白金高輪(土日祝も診療・オンライン診療対応)もご利用いただけます。

🔁 3軸クロスポイント:シックデイを「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

当院・センター南が大切にしているのが、糖尿病・生活習慣病/脳神経・認知症/抗加齢という「3軸」で全身を診る姿勢です。シックデイ対応も、この3軸で見ると、単なる「病気の日の応急処置」以上の意味を持ちます。

🩸 軸1: 糖尿病・生活習慣病との関連

シックデイは、ふだんの血糖・血圧・お薬の管理が「試される日」です。日ごろのコントロールが整っているほど、体調不良にも余裕をもって対応できます。夏の脱水(熱中症)も広い意味でのシックデイと同じ注意が必要です。糖尿病全般の管理については糖尿病内科のご案内、血圧のお薬との関係は高血圧のページもご覧ください。

🧠 軸2: 認知症・神経系との関連

ご高齢の方や認知機能に不安のある方は、体調不良のときに「薬をどうするか」「水を飲むべきか」の判断がむずかしくなります。だからこそ、あらかじめご家族と一緒にシックデイの手順を共有しておくことが安全につながります。もの忘れが気になる方は認知症・もの忘れのページもご参照ください。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命

一度のシックデイでの重い脱水・ケトアシドーシスは、入院や体力低下を通じて健康寿命を縮めることがあります。「体調をくずした数日を、大きな事故なく乗りきる」ことは、平均寿命と健康寿命のギャップを縮める、立派なアンチエイジングです。日々の備えが、10年後の元気を守ります。

10. 関連ブログ・関連クリニック

📚 当院ブログ・関連テーマ

🩸 糖尿病内科のご案内

GLP-1・SGLT2・CGM・合併症まで、全身を診る糖尿病診療。

 


🩺 高血圧(JSH2025)

利尿薬・降圧薬とシックデイの関係もこちらから。

 


🧠 認知症・もの忘れ

ご家族での見守りとシックデイの備えにも役立ちます。

 

🏥 五良会グループ 姉妹クリニックの関連情報

DEN-EN-CHOFU 竹内内科小児科医院

生活習慣病・こどもの健康コラム

田園調布・多摩川の当グループ院。糖尿病・AGEs測定・訪問診療など、ご家族の健康に役立つ記事を発信しています。

 


SHIROKANETAKANAWA 五良会クリニック白金高輪

土日祝も診療・オンライン診療対応

センター南が休診の日曜・祝日も、白金高輪駅直結の当グループ院が診療。体調不良のご相談やオンライン診療にも対応しています。

 

11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 食欲がありません。インスリンは打たなくてよいですか?

A. 自己判断で完全に中止しないでください。とくに1型糖尿病では、インスリンを止めると短時間でケトアシドーシスの危険があります。食べられた量に応じて追加インスリンを調整し、基礎インスリンは原則続けます。具体的な量は、あらかじめ主治医と決めた「シックデイの指示」に従い、迷えば当院へご連絡ください。

Q2. SGLT2阻害薬(フォシーガなど)は、風邪のとき飲んでよいですか?

A. シックデイには必ず休薬してください。脱水を強め、血糖値が高くなくても危険なケトアシドーシス(正常血糖ケトアシドーシス)を起こすことがあります。体調が回復し、食事・水分が通常どおりとれるようになってから再開します。判断に迷うときはご連絡ください。

Q3. 何も食べられないとき、水分は何をとればよいですか?

A. 経口補水液・スポーツドリンク・果汁・重湯・具なしみそ汁など、糖質と塩分を含む水分を少量ずつこまめに。まったく糖質をとらないと低血糖やケトーシスに傾くことがあります。1日1〜1.5L以上を目安に、脱水を防ぎましょう。嘔吐が続いて水分もとれない場合は受診が必要です。

Q4. どんなときに病院へ行くべきですか?

A. 嘔吐・下痢で水分がとれない、高熱が丸1日以上続く、血糖が高いまま下がらない(または低すぎる)、尿ケトンが強い、強い倦怠感・呼吸が速い・意識がもうろうとする――こうしたときは早めに受診・ご連絡を。意識障害や呼吸が苦しいときは、ためらわず救急要請(119番)してください。

執筆|医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将

五良ファミリークリニック センター南/竹内内科小児科医院/五良会クリニック白金高輪


GORYO FAMILY CLINIC CENTER MINAMI
五良ファミリークリニック センター南
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