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自家中毒(周期性嘔吐症)とは|子どもの腹痛・嘔吐の原因・治療・片頭痛との関係

[2025.10.26]
 
 
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自家中毒(周期性嘔吐症)とは
〜子どもの腹痛・嘔吐をくり返す原因と、片頭痛との深い関係〜

当院 院長・篠原 伸顕(神経内科・頭痛外来担当)執筆、医療法人社団 正友会 理事長・五藤 良将 編集。「うちの子は、なぜ何度も吐いてしまうの?」──そんなご家族の不安に、自家中毒(周期性嘔吐症)のしくみ・おうちでのケア・受診の目安、そして片頭痛との関係を、最新の国際分類(ICHD-3)に沿ってわかりやすくお伝えします。

自家中毒
周期性嘔吐症
子どもの腹痛・嘔吐
小児科・頭痛外来

― 理事長より、はじめに ―

こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「遠足や発表会の前になると、決まってお腹を痛がって吐いてしまう」「元気だったのに急にぐったりして、何度も嘔吐をくり返す」──そんなお子さんの様子に、心配で眠れない夜を過ごされたご家族もいらっしゃるのではないでしょうか。😟

結論からお伝えします。「自家中毒」は、その名前のように体の中に“毒”ができる病気ではありません。正しくは「アセトン血性嘔吐症」「周期性嘔吐症」と呼ばれ、空腹やストレスをきっかけに体がエネルギー不足になり、脂肪を分解した際に出る“ケトン体(アセトン)”が一時的にたまって、強い吐き気を起こす状態です。多くは2〜10歳に見られ、思春期までに自然と落ち着いていく、予後の良い病気です

本記事は、当院 院長 篠原 伸顕 医師(神経内科・頭痛外来担当)が執筆し、理事長の私 五藤 良将 が編集・再構成したものです。自家中毒のしくみ・おうちでのケア・予防・受診の目安に加え、近年わかってきた「片頭痛との深い関係」、そして頭痛シリーズの関連記事まで、横浜市都筑区センター南の地域の皆さま(旧・浜クリニック時代から通われている方も含めて)にお役立ていただける形でまとめました。

📖 目次

  1. 自家中毒(周期性嘔吐症)とは──くり返す嘔吐の正体
  2. なぜ起こる?──「ケトン体(アセトン)」のしくみ
  3. どんな子に・どんな時に多い?──引き金になりやすいこと
  4. 症状と典型的な経過──前ぶれ・嘔吐期・回復期
  5. 片頭痛との深い関係──「片頭痛関連症候群」という考え方
  6. おうちでの対処とケア──水分・糖分・安静の3つ
  7. くり返さないための予防──夕食と生活リズム
  8. 受診したほうがよいサイン・救急のサイン
  9. 当院での診療の流れ(小児科・頭痛外来・心療内科)
  10. 関連ブログ・頭痛シリーズ(まとめて読める)
  11. よくあるご質問(FAQ)
  12. 🔁 3軸クロスポイント(糖尿病×認知症×抗加齢)

1. 自家中毒(周期性嘔吐症)とは──くり返す嘔吐の正体

自家中毒は、元気だったお子さんが、急に顔色が悪くなり、お腹を痛がって何度も嘔吐をくり返す状態です。1日に何回も吐き、ぐったりして食事も水分もとれなくなることがあります。発作が数時間〜数日続いたあとは、ウソのようにケロッと元気に戻り、ふだんはまったく問題なく過ごせるのが特徴です。

📚 いろいろな呼び名がありますが、ほぼ同じものです

  • 自家中毒(じかちゅうどく):昔から使われる呼び名。「体の中で毒ができる」という意味ではありません🙅
  • アセトン血性嘔吐症:医学的な呼び名。血液中にアセトン(ケトン体)が増えることに由来します
  • 周期性嘔吐症(しゅうきせいおうとしょう):嘔吐の発作をくり返すことに着目した呼び名

おおよそ2〜10歳のお子さんに多く、どちらかといえば男の子にやや多いとされます。成長とともに発作の回数は減っていき、思春期までに多くは自然に治まる、予後の良い病気です。とはいえ、初めて見るご家族にとっては「重い病気では?」と不安になるのも当然です。まずは「正体」を知ることが、落ち着いて対応する第一歩になります。

💡 ここがポイント

自家中毒は「危険な毒」によるものではなく、エネルギー不足とケトン体の一時的な増加が本体です。ただし、嘔吐をくり返す病気は他にもあり(胃腸炎・腸の病気・頭の病気など)、初めての発作や、いつもと様子が違うときは、他の病気との区別がとても大切です。次の章から、しくみと見極め方を順にご説明します。

2. なぜ起こる?──「ケトン体(アセトン)」のしくみ

「自家中毒」という名前から「体内に毒がたまる病気」と誤解されがちですが、実際にはそうではありません。鍵を握るのは、体のエネルギー源であるブドウ糖(グルコース)と、その代わりに使われる脂肪の関係です。

🔥 自家中毒が起こるまで(3ステップ)

  • ① エネルギー不足:空腹・かぜ・疲れ・ストレスなどで、体のブドウ糖(糖分)が足りなくなります。子どもは大人より体に蓄えられる糖分が少なく、すぐにガス欠になりやすいのが特徴です。⛽
  • ② 脂肪を分解:糖分が足りないと、体は代わりに脂肪を分解してエネルギーを作ります。このとき副産物としてケトン体(アセトンなど)が生じます。
  • ③ ケトン体がたまる:ケトン体が血液中に増えすぎると、脳の嘔吐中枢が刺激され、強い吐き気・嘔吐・腹痛・ぐったりが起こります。息や尿が「甘ずっぱい(果物が腐ったような)」におい=アセトン臭になることもあります。🍎

つまり自家中毒は、「糖分が足りない → 脂肪が燃える → ケトン体がたまる」という、体の自然な反応が強く出すぎた状態です。だからこそ、対処と予防の基本は「糖分(エネルギー)を切らさないこと」になります(くわしくは第6章・第7章で)。

🧠 「自律神経」も関わっています
自家中毒になりやすいお子さんには、もともと自律神経が敏感で、ストレスに反応しやすい傾向があると言われます。緊張・興奮・不安といった心の動きが、食欲低下や代謝の変化を通じて発作の引き金になります。「体質」と「心」の両面からみていくことが、くり返しを防ぐコツです。

3. どんな子に・どんな時に多い?──引き金になりやすいこと

自家中毒には、「こんな時に・こんな子に出やすい」という、はっきりした傾向があります。ご家庭で「引き金」に気づけると、予防にも、落ち着いた対応にもつながります。

🍽 ① 空腹・食事を抜いたとき

夕食を食べずに寝た翌朝に多い。長時間の空腹はガス欠=ケトン体を増やします。

🎤 ② 緊張・興奮・ストレス

遠足・発表会・運動会・旅行など、楽しみな行事の前後にも起こりやすい。

🤒 ③ かぜ・発熱・疲れ

感染症や寝不足で食欲が落ちると、エネルギー不足からスイッチが入りやすい。

🧒 ④ 体質・気質

やせ型・神経質・がんばり屋・周囲に気をつかうタイプのお子さんに多い傾向。

とくに見逃せないのが「ストレス」です。大人にとっては何でもない人間関係や行事でも、お子さんにとっては大きな負担になり、腹痛や嘔吐として表れることがあります。周囲の期待にこたえようとがんばる子・人の目を気にする内向的な子は、心と体の両面でケアしてあげたいタイプです。心の負担が大きいと感じるときは、小児科だけでなく、当院の心療内科でのご相談もお役に立ちます(自律神経失調症の記事もご参照ください)。

4. 症状と典型的な経過──前ぶれ・嘔吐期・回復期

自家中毒(周期性嘔吐症)の発作は、多くの場合「前ぶれ → 嘔吐期 → 回復期」という決まったパターンをたどります。流れを知っておくと、「今どのあたりか」が分かり、落ち着いて見守りやすくなります。

時期 よくみられる様子
① 前ぶれ なんとなく元気がない・顔色が悪い・食欲がない・お腹を痛がる・頭が痛い・あくびが増える
② 嘔吐期 何度も嘔吐をくり返す・ぐったりする・水分もとれない・甘ずっぱい息(アセトン臭)・腹痛。数時間〜数日続くことも
③ 回復期 嘔吐がおさまり、少しずつ水分・食事がとれるように。ケロッと元気に戻ることが多い

ポイントは、発作と発作の間は元気そのもので、ふだんの生活に支障がないことです。「いつも決まったパターンでくり返す」「終わるとケロッとしている」という点は、自家中毒らしさの大きな手がかりになります。一方で、初めての激しい嘔吐や、強い腹痛・血便・意識のもうろうなどを伴う場合は、別の病気の可能性があるため、自己判断せず受診してください(第8章)。

💡 「尿のケトン」でセルフチェックも

医療機関では、尿検査でケトン体を確認すると、自家中毒かどうかの手がかりになります。発作をくり返すお子さんでは、薬局で手に入る尿検査紙でご家庭でも確認できる場合があります。気になる方は、診察時にご相談ください。あわせて、他の病気が隠れていないかを血液検査・腹部エコーなどで確認することもあります。

5. 片頭痛との深い関係──「片頭痛関連症候群」という考え方

ここが、頭痛外来として最もお伝えしたいポイントです。実は、周期性嘔吐症は「片頭痛の仲間」として位置づけられています。国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)では、頭痛として表れない片頭痛体質の症状を「片頭痛に関連する周期性症候群(episodic syndromes)」とまとめており、周期性嘔吐症はその代表の一つです。

🧩 「片頭痛に関連する周期性症候群」に含まれるもの(ICHD-3)

  • 周期性嘔吐症候群(CVS):嘔吐をくり返す。自家中毒とほぼ同じものとして扱われます
  • 腹部片頭痛:頭痛の代わりにお腹の痛みがくり返す。「頭が痛くならない片頭痛」とも
  • 良性発作性めまい:突然のめまいをくり返す
  • 良性発作性斜頸:乳幼児で首が傾く発作をくり返す

📊 知っておきたいデータ

  • 周期性嘔吐症のお子さんは、成長すると約80%が18歳までに片頭痛へ移行すると報告されています
  • 多くは10歳前後で、嘔吐の発作から片頭痛(頭痛)へと“かたち”を変えていきます
  • ご家族(親)に片頭痛持ちが多いことも、関連を示す手がかりです

つまり、今は「お腹の症状」として出ていても、それは同じ片頭痛体質が、頭痛ではない“かたち”で表れていると考えられるのです。だからこそ、自家中毒をくり返すお子さんは、将来の片頭痛も見すえて、小児科と頭痛外来の両方の視点でフォローできると安心です。片頭痛そのものについては、関連記事の「片頭痛・緊張型頭痛」「小児・思春期の頭痛」もぜひあわせてお読みください。

6. おうちでの対処とケア──水分・糖分・安静の3つ

発作が始まったときの基本は、「糖分を切らさない」「水分を少しずつ」「ゆっくり休ませる」の3つです。あわてず、できることから対応しましょう。

🥤 ① 糖分を少しずつ

経口補水液・薄めたリンゴジュース・スポーツドリンクなど、糖分を含む水分をスプーン1杯ずつ。糖分の補給がケトン体を減らします。

⏱ ② 一度にたくさん飲ませない

一気に飲むと吐いてしまいます。5〜10分おきにひと口ずつ、こまめに。吐き気が強い時は少し休んでから再開。

🛏 ③ 静かに休ませる

暗く静かな部屋で安静に。横向きに寝かせ、嘔吐物でのどを詰まらせないように注意します。

🍚 ④ 食事は無理せず段階的に

吐き気が落ち着いたら、おかゆ・うどん・ゼリーなど消化のよいものから少量ずつ。脂っこいものは後回しに。

🏥 病院での治療

水分がまったくとれず、脱水が進んでしまった場合は、点滴(ブドウ糖を含む輸液)でエネルギーと水分を補い、ケトン体を下げる治療を行います。多くは点滴で楽になり、回復が早まります。吐き気止めを使うこともあります。「水分がとれない・ぐったりしている」と感じたら、無理をせず受診してください。

⚠ ここは無理をしないで

「吐いているから何も与えないほうがいい」と水分・糖分をすべて止めてしまうのは逆効果です。糖分が切れると、かえってケトン体が増えて悪循環になります。少量ずつでも糖分を入れることが大切です。それでも吐いてしまい、半日以上水分がとれない・おしっこが出ないときは、点滴が必要なサインです。

7. くり返さないための予防──夕食と生活リズム

自家中毒は、「エネルギーを切らさない生活」で、発作の回数をぐっと減らせます。むずかしいことは必要ありません。次の3つを意識してみてください。

🌱 予防の3本柱

  • ① 夕食をしっかり食べる:とくに「夕食を抜いて寝た翌朝」に出やすいので、夜は炭水化物(ごはん・パン・めん)を切らさない🍚
  • ② 行事の前は早めに補給:遠足・運動会・旅行など緊張する日は、空腹にしない・こまめに軽食をとる。前夜・当日朝の食事を大切に
  • ③ 規則正しい生活とストレスケア:早寝早起き・睡眠不足を避ける。がんばり屋のお子さんほど、「無理しなくて大丈夫だよ」という声かけを😊

発作をくり返すお子さんでは、「どんな時に起きやすいか」を記録しておくと、引き金が見えてきます。これは片頭痛の「頭痛ダイアリー」と同じ考え方で、将来片頭痛に移行したときにも役立ちます。記録のしかたや、生活の工夫については、診察のときに一緒に考えていきましょう。

🏥 当院は小児科・頭痛外来・心療内科を併設

五良ファミリークリニック センター南(旧・浜クリニック)は、小児科・内科・神経内科・頭痛外来・心療内科を併設しています。お子さんの腹痛・嘔吐から、将来の片頭痛、ストレスや自律神経のケアまで、「今」と「これから」を一つの窓口でみられるのが強みです。「何度も吐くのが心配」「ストレスが関係しているかも」というご相談も、どうぞお気軽に。

8. 受診したほうがよいサイン・救急のサイン

自家中毒の多くは心配のないものですが、嘔吐をくり返す病気のなかには、すぐに治療が必要なものも隠れています。「いつもと違う」と感じたら、ためらわず受診してください。

⚠ こんなときはすぐに受診・救急を

  • ぐったりして意識がもうろうとしている・呼びかけへの反応が鈍い
  • 半日以上、水分がとれないおしっこが出ない(脱水のサイン)
  • 強い腹痛が続く・お腹を触られるのをひどく嫌がる(虫垂炎・腸の病気など)
  • 嘔吐物に血や緑色(胆汁)が混じる/血便が出る
  • 強い頭痛・けいれん・手足の動かしにくさを伴う(頭の病気の除外が必要)
  • 高熱が続く/初めての激しい嘔吐で、ようすがいつもと明らかに違う

これらは、胃腸炎や自家中毒とは別の、緊急の対応が必要な病気のサインかもしれません。迷ったら受診が原則です。当院では、診察と必要な検査(尿・血液・腹部エコーなど)で、他の病気が隠れていないかをていねいに確認したうえで、自家中毒としての治療・予防を進めます。さまざまな症状を伴う頭痛・嘔吐の見分け方は、関連記事の「色々な症状を伴う頭痛」も参考になります。

9. 当院での診療の流れ(小児科・頭痛外来・心療内科)

「何度も吐くのは自家中毒?」「将来、片頭痛になる?」「ストレスが関係している?」──そんな不安に、当院は小児科・頭痛外来・心療内科を併設した強みを生かして、次の流れでお応えします。

📝 STEP1:ていねいな問診

いつ・どんな時に・どのくらい吐くか。引き金(空腹・行事・ストレス・かぜ)やご家族の片頭痛歴も一緒に整理します。

🩺 STEP2:診察・検査で他の病気を除外

尿のケトン・血液検査・腹部エコーなどで、緊急の病気が隠れていないかを確認します。

💧 STEP3:発作時の治療

脱水があれば点滴(ブドウ糖輸液)で水分とエネルギーを補給。必要に応じて吐き気止めも使います。

🌱 STEP4:予防と長期フォロー

生活・食事・ストレスの工夫を一緒に。将来の片頭痛も見すえ、頭痛外来・心療内科と連携してフォローします。

HEADACHE / NEUROLOGY 頭痛外来・神経内科 担当

院長 篠原 伸顕(しのはら のぶあき)

神経内科・頭痛外来を担当。子どもの自家中毒から、将来の片頭痛へのつながりまで、「頭痛シリーズ」として丁寧に解説・診療しています。お子さんの腹痛・嘔吐が片頭痛体質のサインかもしれない、と感じたときの相談先です。小児の診療は小児科、ストレス・自律神経の関与が大きいときは心療内科(阿部 靖彦 医師・火曜午前)とも連携します。

🏥 当院の強み(センター南・旧 浜クリニック)

  • 小児科・頭痛外来・神経内科・心療内科を併設し、「今の嘔吐」と「将来の片頭痛」を一貫してフォロー
  • 院長 篠原 伸顕 医師による神経内科専門の頭痛診療
  • ストレス・自律神経の関与には心療内科(阿部 靖彦 医師)も対応
  • センター南駅 徒歩9分/駐車場4台/土曜は9〜14時診療(休憩なし)
  • 休日(日祝)は姉妹院・五良会クリニック白金高輪のmelmoオンライン診療へ誘導

🩺 何度も吐くお子さん、一度ご相談ください

「決まった場面でお腹を痛がって吐く」「水分がとれずぐったりする」「ストレスが関係している気がする」──そんなときは、横浜市都筑区センター南の当院(旧・浜クリニック)へ。小児科・頭痛外来・心療内科を併設し、お子さんの「今」と「これから」を丁寧に診ます。WEB予約・お電話、どちらでもどうぞ。


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10. 関連ブログ・頭痛シリーズ(まとめて読める)

自家中毒は「片頭痛の仲間」。だからこそ、当院の「頭痛シリーズ」を一緒に読むと、お子さんの体質や「これから」が立体的に見えてきます。まずは関連の深い記事からどうぞ。📚

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🏥 当院の診療案内

🤢 自家中毒(周期性嘔吐症)

子どもの腹痛・嘔吐の原因・治療・片頭痛との関係

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11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 「自家中毒」って、体の中に毒がたまる病気なのですか?

A. いいえ。名前は昔からの慣用で、実際に“毒”ができるわけではありません。糖分が足りなくなり、脂肪を分解したときに出るケトン体(アセトン)が一時的に増えて吐き気を起こす状態です。糖分を補えば改善に向かいます。

Q2. 何歳くらいまで続きますか?大人になっても治りませんか?

A. 多くは2〜10歳に見られ、思春期までに自然に治まることがほとんどです。ただし、成長とともに片頭痛(頭痛)へ“かたち”を変えるお子さんが少なくありません。発作が続くときは、将来の片頭痛も見すえてフォローすると安心です。

Q3. 吐いているとき、家では何を飲ませればよいですか?

A. 糖分を含む水分(経口補水液・薄めたリンゴジュース・スポーツドリンクなど)を、ひと口ずつこまめに。一気に飲むと吐いてしまいます。水分を完全に止めるのは逆効果です。半日以上とれない・おしっこが出ないときは点滴が必要なサインなので受診を。

Q4. どうすればくり返さずにすみますか?

A. 夕食をしっかり食べる・空腹を避ける・規則正しい生活・ストレスケアが基本です。とくに「夕食を抜いて寝た翌朝」に出やすいので、夜の食事を大切に。行事の前は早めに軽食を。がんばり屋のお子さんには「無理しなくて大丈夫」の声かけも効果的です。

Q5. 当院ではどの科を受診すればよいですか?

A. まずは小児科へ。将来の片頭痛が気になる方は頭痛外来・神経内科(院長 篠原 伸顕 担当)、ストレスや自律神経の関与が大きいときは心療内科(阿部 靖彦 医師)とも連携して診ます。気になる症状が続くときは、まずはお電話(045-942-7783)でご相談ください。

🔁 3軸クロスポイント:自家中毒を「糖尿病」「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

自家中毒は子どもの病気ですが、その本質である「エネルギー代謝(ケトン体)」「片頭痛体質」「自律神経・生活リズム」は、当院が大切にする3軸──糖尿病・認知症・抗加齢医学──と確かにつながっています。お子さんの今を理解し、ご家族みんなの健康に生かす視点としてまとめます。

🩸 軸1: 糖尿病・代謝との関連

自家中毒の正体であるケトン体は、糖尿病の世界では「ケトーシス/ケトアシドーシス」としておなじみの存在です。糖分(エネルギー)が使えないとき、体は脂肪を燃やしてケトン体を作る──このしくみは、子どもの自家中毒も、糖尿病の方が体調を崩した日(シックデイ)も同じです。だからこそ「エネルギーを切らさない」という発想は、世代を超えて大切。糖尿病をお持ちのご家族は、関連記事「糖尿病の治療」もあわせてご覧ください(糖尿病診療ガイドライン2024)。

🧠 軸2: 認知症・神経系との関連

周期性嘔吐症は「片頭痛に関連する周期性症候群」であり、約80%が将来の片頭痛へつながります。そして片頭痛、とくに前兆のある片頭痛は、脳の血管・神経の特性と関わることが知られています。お子さんの体質を早く理解し、片頭痛を上手にコントロールしていくことは、長い人生を通じた脳の健康(神経のすこやかさ)を守る第一歩でもあります。当院は認知症外来・神経内科を併設し、世代をつなぐ視点で頭痛と脳の健康をフォローします。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命

自家中毒の予防の基本──規則正しい食事・十分な睡眠・ストレスケア──は、実は抗加齢医学(アンチエイジング)の3本柱(栄養・運動・睡眠)とぴったり重なります。日本抗加齢医学会専門医として、私(五藤 良将)がお伝えしたいのは、「子どもの頃に身につける“エネルギーと生活リズムを整える習慣”は、一生ものの財産になる」ということ。お子さんの体質と向き合う時間は、ご家族全員の健康寿命を延ばすきっかけにもなります。

執筆|医療法人社団 正友会 五良ファミリークリニック センター南 院長 篠原 伸顕(神経内科・頭痛外来担当)

編集|医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医)

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