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更年期のつらさとエイジングに ― プラセンタ(メルスモン)という選択肢

[2026.05.30]

 
 
PLACENTA THERAPY ・ MELSMON

更年期のつらさとエイジングに
〜プラセンタ(メルスモン)という選択肢〜

医療法人社団 正友会 理事長・五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医)より、ほてり・イライラ・疲れやすさといった更年期のサインと、保険適応のプラセンタ注射「メルスモン」の効果・費用・注意点を、アンチエイジングの視点も交えてわかりやすくお伝えします。

更年期障害
プラセンタ注射
メルスモン
アンチエイジング

― 理事長より、はじめに ―

こんにちは。医療法人社団 正友会 理事長の五藤 良将です。「急に顔がほてって汗が止まらない」「理由もなくイライラする」「とにかく疲れがとれない」――40代後半から50代の女性の患者さんから、こうしたお声を本当によく伺います。旧・浜クリニックとして地域に親しまれてきた当院でも、更年期のご相談は年々増えています。😊

結論からお伝えします。そのつらさは「気のせい」でも「年齢だから仕方ない」でもなく、治療できる体の変化です。プラセンタ注射(メルスモン)は、更年期障害に対して健康保険が使える、歴史の長い治療選択肢の一つです。

本記事では、プラセンタ注射「メルスモン」とは何か、更年期症状やアンチエイジングにどう働くのか、ご自分の状態を点数化できるSMI(簡略更年期指数)の使い方、費用・回数、そして必ず知っておいていただきたい献血制限などの注意点まで、最新の添付文書(2025年5月版)の情報をもとに整理してお伝えします。

1. プラセンタ注射「メルスモン」とは?

プラセンタとは「胎盤」のこと。ヒトの胎盤から有効成分を抽出してつくられた医療用医薬品がプラセンタ注射剤です。日本で更年期障害に使われている代表的な製剤がメルスモン®(ヒト胎盤エキス)で、1956年(昭和31年)に製造承認された、60年以上の使用実績を持つお薬です。アミノ酸・ペプチド・各種成長因子などを含み、自律神経やホルモンのバランスを整える働きが期待されています。

📊 メルスモンの基本データ(2025年5月版 添付文書より)

保険適応となる病名は「更年期障害」と「乳汁分泌不全」の2つ。用法は通常、1日1回2mLを毎日または隔日に皮下注射します。発売以来、重大な副作用の報告はないとされる安全性の高いお薬です。なお更年期障害への健康保険適応は、原則45〜59歳の女性が対象です。

2. 更年期障害はなぜ起こる?40〜50代の体の変化

閉経をはさんだ前後10年間(おおむね45〜55歳)を「更年期」と呼びます。この時期、卵巣の働きが低下し、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少します。エストロゲンは全身の血管・骨・脳・自律神経に関わるため、その低下がさまざまな不調を引き起こします。これが他の病気では説明できないほど強く出て、日常生活に支障をきたす状態を更年期障害といいます。

⚠ 代表的な更年期のサイン
ほてり・のぼせ・急な発汗(ホットフラッシュ)/動悸・息切れ/手足の冷え/寝つきの悪さ・眠りの浅さ/イライラ・気分の落ち込み/疲れやすさ/肩こり・頭痛・めまい など。

大切なのは、これらは加齢の必然ではなく、治療で軽くできる症状だということ。「年だから」と我慢を続けるうちに、不眠やうつ症状が悪化してしまう方も少なくありません。まずは「今、自分がどのくらいの状態なのか」を客観的に知ることから始めましょう。👀

3. SMI(簡略更年期指数)で今の状態を点数化する

SMI(Simplified Menopausal Index=簡略更年期指数)は、更年期症状の程度を10項目・自己採点で「見える化」するチェックシートです。各症状を「強・中・弱・無」で評価し、合計点で今の状態の目安を知ることができます。当院では事前問診票としても活用しています。📋

症状(10項目)
① 顔がほてる 10 6 3 0
② 汗をかきやすい 10 6 3 0
③ 腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0
④ 息切れ・動悸がする 12 8 4 0
⑤ 寝つきが悪い・眠りが浅い 14 9 5 0
⑥ 怒りやすく、イライラする 12 8 4 0
⑦ くよくよし、憂うつになる 7 5 3 0
⑧ 頭痛・めまい・吐き気がよくある 7 5 3 0
⑨ 疲れやすい 7 4 2 0
⑩ 肩こり・腰痛・手足の痛みがある 7 5 3 0

📊 合計点の目安(自己採点の評価)

  • 0〜25点:上手に更年期を過ごせています。今の生活を続けましょう。
  • 26〜50点:食事・運動に気を配り、無理のない生活を。気になる症状があれば受診の検討を。
  • 51〜65点:医師の診察を受け、生活指導・カウンセリング・薬物療法を受けるのが望ましい段階です。
  • 66〜80点:半年以上の計画的な治療が必要なレベルです。
  • 81〜100点:各科の精密検査を受け、専門医での長期的な対応を。

💡 当院からのご提案

SMIが26点以上で、ほてりや疲れ・気分の落ち込みなど「つらい」と感じる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。なかでも51点以上の方は薬物療法を検討する段階であり、プラセンタ注射(メルスモン)は有力な選択肢の一つになります。点数だけで治療を決めるのではなく、症状・年齢・他のご病気を含めて医師と一緒に判断していきます。

4. 更年期障害の診断 ― 採血でわかること・わからないこと

「更年期かな?」と思ったとき、採血で女性ホルモンを測ることがあります。ただ、ここはぜひ知っておいていただきたいのですが、ホルモン値は更年期障害の診断に必須ではありません。診断はあくまで、年齢・月経の状態・症状・そして「他の病気が隠れていないか」の除外を組み合わせた総合的な判断で行います。

🩸 採血でわかること(卵巣機能の低下)

卵巣の働きが落ちると、脳がもっと働かせようとホルモンを多く出すため、次のようなパターンになります。

  • E2(エストラジオール):低下
  • FSH(卵胞刺激ホルモン):上昇 ― もっとも鋭敏なマーカー
  • LH(黄体形成ホルモン):上昇(FSHより遅れて、上がり幅も控えめ)

閉経の目安とされる値は、FSH 40 mIU/mL以上 かつ E2 20 pg/mL以下です。

💡 ホルモン検査は「必須」ではありません

年齢・月経の状態・症状がそろえば、ホルモン検査をしなくても更年期障害と診断し、治療を始めることができます。検査はあくまで「卵巣機能が落ちているか」を裏づける補助であって、症状のつらさ(重症度)とホルモン値は必ずしも一致しません。「数値はそれほどでもないのに症状はつらい」ということは珍しくありません。

⚠ 1回の採血では決められない ― 「解離」の問題
更年期への移行期は、FSHだけが先に上がり、E2はまだ高めだったり大きく変動していたりという“解離”がよく起こります。月経周期や採血の時期によって値が大きくぶれるため、1回の数値だけで判断せず、症状の経過とあわせて見ていくことが大切です。

⚠ まず除外したい「鑑別すべき病気」

更年期症状はありふれているぶん、別の病気が紛れ込みやすいのが要注意点です。なかでも甲状腺機能異常(甲状腺機能低下症・亢進症)は、疲れ・動悸・発汗・気分の変化など症状が更年期と非常によく似ており、見逃すと治療方針そのものが変わってしまいます。

  • 甲状腺機能異常(症状が酷似 ― 必ずチェック)
  • うつ病・不安障害
  • 貧血
  • 糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病

当院では初診時の採血で、これらの除外もあわせて確認します。

つまり、「FSHが高くてE2が低いから更年期障害」と一足飛びに決めるのではなく、① 年齢と月経の状態、② 症状の評価(SMIなど)、③ 他の病気の除外、④ 補助としてのホルモン値 ― この4つを組み合わせて診断します。😊

5. メルスモンが更年期症状にどう働くか

メルスモンは、ホルモン剤そのものではありません。ヒト胎盤エキスに含まれるアミノ酸・ペプチド・成長因子などが、自律神経や内分泌のバランスを整える方向に働くと考えられています。その結果、ほてり・のぼせ・発汗といったホットフラッシュや、イライラ・気分の落ち込み・倦怠感などの不定愁訴がやわらぐことが期待されます。

更年期障害の治療には、減ったエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)漢方薬もあり、それぞれに得意分野があります。プラセンタ注射は、乳がんの既往などでHRTが使いにくい方や、漢方だけでは物足りない方の選択肢としても用いられます。当院では、症状とご希望、他のご病気を踏まえて治療法を組み合わせてご提案します。

6. アンチエイジング・疲労回復としてのプラセンタ

プラセンタ注射は、更年期症状の改善だけでなく、疲労回復・肌のコンディション・全身のだるさといった「なんとなく不調」に対しても、自費診療のアンチエイジング目的で広く用いられています。私は日本抗加齢医学会専門医として、「老化を一律に止める魔法」ではなく、体調の底上げによってQOL(生活の質)を保つための一手段として位置づけています。😊

📊 ここを正しく理解しておきましょう

更年期障害(45〜59歳女性)・乳汁分泌不全に対しては保険適応ですが、それ以外の美容・疲労回復・若返り目的や保険の年齢条件に当てはまらない場合は自費診療になります。効果の感じ方には個人差があり、一度で劇的に変わるというより、継続することで体調が安定してくるタイプの治療です。

7. メルスモンとラエンネックの違い

日本で使われるヒト由来プラセンタ注射剤には、当院で更年期障害に用いるメルスモンのほか、ラエンネックという製剤があります。どちらも医療用医薬品ですが、保険で使える病名や由来が異なります。違いを簡単に整理しておきましょう。

項目 メルスモン ラエンネック
保険適応の病名 更年期障害・乳汁分泌不全 慢性肝疾患における肝機能の改善
主な投与経路 皮下注射 皮下・筋肉内注射
更年期での位置づけ 更年期障害の標準的な選択肢 更年期では保険適応外(自費)
献血の制限 あり(接種後は献血不可) あり(接種後は献血不可)

当院では、更年期障害への治療としてメルスモンを中心にご提案しています。「肝臓の数値が気になる」など別の目的がある場合は、診察のうえで適切な製剤・連携先をご案内します。

8. 治療の流れ・回数・費用(保険適応と自費)

まずは診察で症状を伺い、SMIや必要な検査で「更年期障害かどうか」「他の病気が隠れていないか」を確認します。そのうえで適応を判断し、ご希望に合わせて治療を始めます。

🩺 治療の進め方(目安)

  • 用法:1日1回2mLを皮下注射。開始期は毎日または隔日、安定後は週1〜2回程度に間隔をあけていくのが一般的です。
  • 効果の実感:個人差はありますが、数週間〜数か月続けるなかで体調の変化を感じる方が多いです。
  • 費用:更年期障害(45〜59歳女性)・乳汁分泌不全は健康保険適応。美容・疲労回復目的や年齢条件に当てはまらない場合は自費となります。具体的な料金は診察時にご説明します。

⚠ 保険と自費は混ぜられません
同じ受診のなかで「保険のプラセンタ」と「自費のプラセンタ」を併用することはできません(混合診療の禁止)。目的に応じてどちらで行うかを最初に整理します。

9. 必ず知っておきたい注意点(献血制限・副作用・禁忌)

⚠ もっとも大切な注意点:献血ができなくなります

プラセンタ注射はヒトの胎盤を原料とするため、輸血や臓器移植と同じく、理論的に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)が伝播する可能性を完全には否定できません。これまでプラセンタ注射による感染の報告は一例もありませんが、念のための予防措置として、一度でも接種した方は献血ができなくなります(厚生労働省の指示による)。将来の献血を考えている方は、接種前に必ずご検討ください。

🩹 副作用・禁忌について

  • 副作用:注射部位の痛み・赤み・かゆみ、まれに発疹などが報告されますが、いずれも軽度なことがほとんどです。重大な副作用の報告はないとされています。
  • 慎重投与:薬物過敏症の既往がある方は、事前に必ずお申し出ください。
  • 授乳・妊娠中などは、診察時に状況を確認したうえで判断します。気になる点は遠慮なくご相談ください。

10. こんな方にご提案したい治療です

以下のような方は、一度ご相談いただく価値があります。「これくらいで受診していいのかな」とためらう必要はありません。😊

🏥 プラセンタ注射(メルスモン)を検討したい方

  • SMIが26点以上で、ほてり・発汗・疲れ・気分の落ち込みなど気になる症状がある方
  • とくにSMI 51点以上で、生活に支障が出ている方(薬物療法を検討する段階)
  • 乳がんの既往などでホルモン補充療法(HRT)が使いにくい
  • 更年期の不調にくわえ、疲れやすさ・全身のだるさを底上げしたい方(アンチエイジング目的)

💗 更年期は「我慢する時期」ではなく「整える時期」

SMIで点数化 → 診察 → 治療法を一緒に選ぶ。まずはお気軽にご相談ください。

📍 ご覧の記事です

🔁 3軸クロスポイント:更年期を「糖尿病」「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

更年期は、単に「つらい数年間」ではありません。エストロゲンが減るこの時期は、生活習慣病・認知機能・老化のスピードが大きく動く「健康の分岐点」でもあります。当院は糖尿病内科・認知症外来・抗加齢医学を併設し、この3軸を横断して診ているのが特長です。更年期ケアを、その後の人生100年の土台づくりとして一緒に考えていきましょう。

🩸 軸1: 糖尿病・生活習慣病との関連

エストロゲンには、インスリンの効きを保ち、内臓脂肪をためにくくする働きがあります。その低下する更年期以降は、血糖・コレステロール・血圧が上がりやすく、内臓脂肪も増えがちです。更年期のだるさを整えながら、同時に生活習慣病の芽を早めに摘むことが、この時期のとても大切なテーマです。

🧠 軸2: 認知症・神経系との関連

エストロゲンは脳の神経や血管の保護にも関わり、その減少は不眠・気分の落ち込み・物忘れ感として現れることがあります。更年期のうつ症状や睡眠の乱れを放置せず、自律神経のバランスを整えることは、中年期の脳の健康を守る一歩。当院は認知症外来・頭痛外来・心療内科を併設し、「心と脳」もまとめて相談できます。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命

平均寿命と健康寿命のギャップを縮めることが、抗加齢医学のゴールです。プラセンタ注射は「若返りの魔法」ではありませんが、更年期の不調を整えて活動量と意欲を保つことは、その先のフレイル(虚弱)予防にもつながります。日本抗加齢医学会専門医として、私は更年期ケアを健康寿命を延ばす入口と位置づけています。

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12. よくあるご質問(FAQ)

Q1. プラセンタ注射は痛いですか?通院はどのくらい必要ですか?

A. 細い針での皮下注射で、痛みは軽度です。開始期は毎日〜隔日、安定後は週1〜2回など、症状に合わせて間隔を調整します。効果の感じ方には個人差があり、続けるなかで体調が安定してくるタイプの治療です。

Q2. 本当に献血ができなくなるのですか?

A. はい。ヒト胎盤を原料とするため、念のための予防措置として、一度でも接種した方は献血ができなくなります(これまで感染の報告は一例もありませんが、国の方針による措置です)。将来の献血を考えている方は接種前にご検討ください。

Q3. 保険は使えますか?費用はどのくらいですか?

A. 更年期障害(原則45〜59歳の女性)と乳汁分泌不全には健康保険が使えます。美容・疲労回復目的や年齢条件に当てはまらない場合は自費です。同じ受診内で保険と自費を併用することはできません。具体的な金額は診察時にご案内します。

Q4. ホルモン補充療法(HRT)や漢方とどう違いますか?

A. HRTは減ったエストロゲンを直接補う治療、漢方は体質に合わせて整える治療です。プラセンタは自律神経・内分泌のバランスを整える方向に働き、乳がんの既往などでHRTが使いにくい方の選択肢にもなります。症状とご希望に応じて組み合わせます。

Q5. SMIが26点でした。受診したほうがよいですか?

A. 26〜50点は「生活に気を配りたい段階」です。つらい症状があるなら、点数にかかわらずご相談ください。51点以上は薬物療法を検討する段階で、メルスモンも有力な選択肢になります。点数だけでなく症状や他のご病気も含めて一緒に判断します。

執筆|医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将(日本抗加齢医学会専門医)

五良ファミリークリニック センター南/竹内内科小児科医院/五良会クリニック白金高輪


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