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新しい片頭痛の薬;ナルティークOD錠®(一般名:リメゲパント)

[2026.01.23]
 
 
MIGRAINE NEW DRUG — RIMEGEPANT

新しい片頭痛の薬「ナルティークOD錠®(リメゲパント)」
〜急性期治療と発症抑制の“両方”に使える経口CGRP受容体拮抗薬〜

頭痛外来担当・篠原 伸顕 院長(頭痛専門医)が執筆し、理事長・五藤 良将が監修。トリプタンが効かない・使えない方の新しい選択肢を、横浜市都筑区センター南の頭痛外来からわかりやすくお伝えします。

片頭痛 経口CGRP受容体拮抗薬(ゲパント) 急性期+発症抑制 頭痛外来

旧・浜クリニックとして地域に親しまれてきた当院には、「市販薬を飲んでも頭痛がぶり返す」「トリプタンが効きにくい」「心臓や血管の病気があって今までの薬が使えない」といったご相談が数多く寄せられます。😷

結論からお伝えします。2025年12月に発売されたナルティークOD錠®(リメゲパント)は、日本で初めて「片頭痛の発作を抑える急性期治療」と「発作を予防する発症抑制」の両方に使える経口薬で、従来薬が合わなかった方の有力な新しい選択肢になります。

本記事は、この薬の治験にも携わった当院の頭痛外来担当・篠原 伸顕 院長(頭痛専門医)が執筆し、私が監修しました。仕組み・使い方・費用・注意点、そして「糖尿病×認知症×抗加齢」の3軸の視点まで、最新の情報をもとに整理してお届けします。📚

1. ナルティークOD錠®とは(30秒まとめ)

ナルティークOD錠®(一般名:リメゲパント)は、2025年12月16日に発売された片頭痛の新しい飲み薬です(承認:2025年9月19日、薬価収載:2025年11月12日)。最大のポイントは、日本で初めて「急性期治療(発作が起きたときに飲む)」と「発症抑制(あらかじめ発作を減らす)」の両方の適応が認められた経口薬であることです。仕組みは、片頭痛の発作にかかわる「CGRP」という物質が脳の血管にある受容体へ結びつくのをブロックする、経口CGRP受容体拮抗薬(ゲパント)という新しいタイプの薬です。

🏥 まずここだけ押さえれば十分です

  • 飲み薬で「発作時の頓服」も「予防」もできる、日本初の片頭痛薬
  • 水なしで飲めるOD錠(口腔内崩壊錠)。発作で吐き気があるときも飲みやすい
  • トリプタンと作用の仕組みが違うため、効かなかった方・血管の病気で使えなかった方の新しい選択肢
  • 当院(頭痛外来)で診察のうえ処方を検討できます

2. 片頭痛と「CGRP」── なぜ痛むのか

片頭痛の発作が起こると、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質が血液中や唾液中で増えることが分かっています。CGRPには血管を広げ、痛みの信号を強く伝える働きがあり、これが片頭痛のズキズキする拍動性の痛みに深く関わっています。

数年前、このCGRPの働きを抑える抗CGRP関連抗体薬(注射薬)が3種類登場し、片頭痛治療は大きく前進しました。発作回数の減少や消失、痛みの程度の軽減、吐き気やめまいといった随伴症状の改善など、多くの方で効果が報告されています。ナルティークOD錠®は、この「CGRPを狙う」という発想を、注射ではなく飲み薬で実現した薬だとイメージしていただくと分かりやすいです。

3. 注射の「抗体薬」と経口の「ゲパント」の違い

ここは誤解されやすいところなので整理します。先に登場した注射薬(エムガルティ®・アジョビ®・アイモビーグ®)は「抗体」というタンパク質の薬で、原則「発症抑制(予防)」のみが適応でした。一方、ナルティークOD錠®(リメゲパント)は「ゲパント」と呼ばれる小さな分子の飲み薬で、抗体薬ではありません。

ただし、CGRP受容体をブロックして痛みの伝達を抑えるという点では、受容体に作用する注射薬アイモビーグ®と発想は共通しています。違いは「飲み薬か注射か」「予防だけか、発作時にも使えるか」です。

タイプ 代表的な薬 使い方/適応
抗CGRP(受容体)抗体・注射 エムガルティ®・アジョビ®・アイモビーグ® 発症抑制(予防)。月1回などの皮下注射
経口ゲパント ナルティーク®(リメゲパント) 急性期治療+発症抑制の両方。飲み薬
経口ゲパント アクイプタ®(アトゲパント) 発症抑制(予防)。飲み薬

4. 最大の特徴:急性期治療と発症抑制の“両方”に使える

これまでの薬は、「発作時に飲む薬(急性期治療)」と「予防の薬(発症抑制)」が別々でした。ナルティークOD錠®は、日本で初めて1つの薬で両方の役割をこなせるのが画期的な点です。海外では米国で2020年に急性期治療、2021年に発症抑制、欧州では2022年に両方の適応で承認され、日本もこれに続きました。

「ふだんは予防として使い、つらい発作のときは頓服として使う」といった柔軟な使い方ができる可能性があり、発作の回数・程度・随伴症状の軽減が期待されます。ただし同じ日に予防と頓服を重ねて飲むことはできません(→ 第6章で詳しく説明します)。

5. トリプタン・レイボー®との違いと使い分け

これまでの片頭痛の急性期治療薬には、広がった血管を収縮させる作用を持つトリプタン製剤(スマトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、ナラトリプタン)と、血管収縮作用を持たず三叉神経から脳への痛みの信号をブロックするラスミジタン(レイボー®)がありました。

ナルティークOD錠®はこれらと作用の仕組みが異なるため、次のような方の新たな選択肢として検討されます。

💡 こんな方に検討されます

  • トリプタンの効果が不十分だった方
  • トリプタンの副作用がつらかった
  • 心臓や脳血管の病気があり、血管を収縮させるトリプタンが使えない(禁忌)方 ⚠
  • レイボー®でも効果が不十分、または眠気・めまいが強かった方

6. 飲み方(用法・用量)と大切な注意点

ナルティークOD錠®はOD錠(口腔内崩壊錠)で、水なしで服用できるのが特徴です。舌の上にのせ、唾液でゆっくり溶かして服用します(発作で吐き気があるときにも飲みやすいタイプです)。使い方は目的によって分かれます。

目的 飲み方
急性期治療(発作時) 通常、成人は1回75mgを片頭痛発作時に頓服
発症抑制(予防) 隔日(1日おき)に75mgを定期的に服用

⚠ ここは必ず守ってください

  • 1日の上限は75mg(1錠)。予防として飲んだ日に、発作の頓服として追加で飲むことはできません。
  • 急性期治療として1日2回飲むこともできません
  • 発売から1年間は、1回に14日分までしか処方できません(新薬の処方ルール)。当面は2週間ごとの来院、または当院のオンライン診療で対応できます。注射のように毎回来院する必要がない点はメリットです。🔁

7. 副作用・併用に注意が必要な薬・使えない方

主な副作用は便秘、吐き気、めまい、眠気などです。まれに発疹や呼吸困難などの過敏症が報告されています。症状が強いときは服用を中止し、主治医にご相談ください。

📊 飲み合わせ(併用)の注意

リメゲパントは主に肝臓のCYP3A4という酵素で代謝されます。そのため、強いCYP3A4阻害薬(イトラコナゾールなど)やCYP3A4を強く誘導する薬・サプリメント(リファンピシン、セイヨウオトギリソウ=セント・ジョーンズ・ワートなど)との併用には注意が必要です。市販のサプリメントを含め、服用中の薬は必ず医師・薬剤師にお伝えください。

なお、いつもと違う頭痛や、これまで片頭痛と診断されたことがない頭痛では、脳出血・脳腫瘍などの危険な頭痛を見逃さないことが何より大切です。自己判断せず、まずは頭痛外来でご相談ください。

8. 薬価・費用の目安

ナルティークOD錠®75mgの薬価は1錠あたり2,923円と、まだ高価です。自己負担は1割・2割・3割で異なります。発症抑制(予防)で使う場合は月14錠程度が目安となり、3割負担の方で月あたりおよそ13,000円前後の薬剤費になります。

📊 ざっくり目安:3割負担・発症抑制で月13,000円前後/ここに診察料などが加わります。費用面も含め、納得して続けられる治療を一緒に考えます。

9. どんな方が対象? 受診の流れ(頭痛外来)

ナルティークOD錠®は、医師が診察し条件を満たした方に処方されます。まず「前兆のある/ない片頭痛」と確定診断がついている方が投与の対象です。これまで片頭痛と診断されたことがない方や、いつもと違う頭痛が出た方は、できるだけ頭痛外来で危険な頭痛を除外してもらうことが大切です。

当院は脳神経内科・頭痛外来を併設しており、頭痛専門医である私(篠原)が診察し、処方を検討できます。2回目以降はオンライン診療も可能です。「片頭痛に対する選択肢が増えてきたこと」は、頭痛診療に携わる者として本当に喜ばしいことです。ぜひ一度ご相談ください。💗

🔁 3軸クロスポイント:片頭痛を「糖尿病」「認知症」「抗加齢」の視点でとらえる

片頭痛は「頭の痛み」だけの問題ではありません。当院が大切にしている糖尿病(生活習慣病)×認知症×抗加齢の3軸アプローチから見ると、片頭痛は全身の健康や健康寿命とつながっています。

🩸 軸1: 糖尿病・生活習慣病・血管リスクとの関連

片頭痛(特に前兆のあるタイプ)は、脳卒中や心血管疾患のリスクとの関連が指摘されています。だからこそ、血管を収縮させるトリプタンが使いにくい方がいるのです。血管に作用しないナルティークOD錠®は、こうした方の選択肢になり得ます。高血圧・糖尿病・脂質異常症など血管リスクの管理そのものが、頭痛と全身の両方にとって大切です。

🧠 軸2: 認知症・神経系との関連

頭痛をきっかけに脳神経内科を受診される方は少なくありません。当院は認知症外来も併設しているため、頭痛の診療をしながら、もの忘れなど神経系の気がかりもあわせてご相談いただけます。鎮痛薬の飲みすぎによる薬物乱用頭痛を防ぎ、適切な治療に切り替えることも、長い目で見た脳の健康につながります。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命との関連

片頭痛は働き盛りの世代、とくに女性に多く、仕事・家事・育児のパフォーマンスを大きく下げます。発作をきちんとコントロールすることは、QOL(生活の質)と健康寿命を守ることに直結します。「痛みを我慢して過ごす日々」を減らすことも、立派な抗加齢(アンチエイジング)です。

10. 関連ブログ・関連クリニック

📚 当院ブログ・関連テーマ

🧠 アクイプタ®(アトゲパント)|経口で片頭痛“予防”

同じ経口ゲパント。予防専用タイプとの比較に。

🩸 片頭痛・緊張型頭痛とは

頭痛のタイプと見分け方の基本。

⚠ 薬物乱用頭痛(MOH)

鎮痛薬の飲みすぎで悪化する頭痛に注意。

🧠 ケサンラ®(ドナネマブ)|早期アルツハイマー病

脳神経内科・認知症外来の取り組み。

🏥 五良会グループ 姉妹クリニックの関連情報

DEN-EN-CHOFU 竹内内科小児科医院

田園調布の内科・小児科|生活習慣病と頭痛のご相談

血管リスク(高血圧・糖尿病)の管理は頭痛とも深く関わります。

SHIROKANETAKANAWA 五良会クリニック白金高輪

内科・胃カメラ・大腸カメラ/日祝はオンライン診療

休診日(日祝)の体調不良は白金高輪のオンライン診療へ。

11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. ナルティークOD錠®は注射の予防薬と何が違いますか?

A. 注射の抗体薬が原則「予防のみ」なのに対し、ナルティーク®は飲み薬で「発作時の頓服」も「予防」もできます。通院ごとの注射が不要で、2回目以降はオンライン診療にも対応しやすい点が違いです。

Q2. トリプタンが効かなかったのですが、使えますか?

A. 作用の仕組みが異なるため、トリプタンが効かなかった方・副作用がつらかった方・心臓や脳血管の病気でトリプタンが使えない方の新しい選択肢になり得ます。診察のうえで適応を判断します。

Q3. 水なしで飲めますか?飲むタイミングは?

A. OD錠(口腔内崩壊錠)なので水なしで服用可能です。舌の上にのせて唾液で溶かします。急性期は発作時に1回75mg、予防は1日おきに75mg。1日の上限は75mg(1錠)で、予防で飲んだ日に頓服を重ねることはできません。

Q4. すぐにたくさん処方してもらえますか?

A. 新薬のため、発売から1年間は1回14日分までの処方制限があります。当面は2週間ごとの来院、またはオンライン診療で対応します。

Q5. 費用はどのくらいかかりますか?

A. 薬価は1錠2,923円で、予防(月14錠目安)の場合3割負担で月13,000円前後の薬剤費が目安です(別途、診察料などがかかります)。

執筆|五良ファミリークリニック センター南 院長(頭痛外来担当) 篠原 伸顕(頭痛専門医)

監修|医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将

五良ファミリークリニック センター南/竹内内科小児科医院/五良会クリニック白金高輪


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五良ファミリークリニック センター南
内科・小児科・神経内科・認知症外来・頭痛外来・アレルギー科・糖尿病内科・心療内科
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