アイスクリーム頭痛
冷たいものを食べたり飲んだりしたり、冷たい空気を吸った時に引き起こされる頭痛があります。以前はアイスクリーム頭痛とも言われていました。現在では国際頭痛学会で「寒冷刺激による頭痛」に分類をされ、正式名称は「冷たいものの摂取または冷気吸息による頭痛」と言います。片頭痛の方に多いとされ、片頭痛の時に痛くなる側と同じ側が痛くなるとされています。ある研究では寒冷刺激によって頭痛が生じた経験があると答えた方は8%といわれ、特に10歳代の方では41~78%との事でした。痛みは数秒から数分と短時間の事が多いようでした。
アイスクリーム頭痛の発症メカニズムには、いくつかの説があります。
- 三叉神経刺激説
口腔内や咽頭をアイスクリームやかき氷など冷たいものが通過をすると、三叉神経が刺激されます。三叉神経とは主に顔の感覚をつかさどる神経です。急激な冷感刺激により、三叉神経から脳に信号が伝達され、それを脳が痛みとして認知するという説です。
- 血管拡張説
口腔内や咽頭が冷たい食べ物などで急に冷えると、体が異常事態と判断し温めようと血管を拡張させます。血管が拡張しますと炎症物質が発生し血管周囲の感覚神経を刺激して痛みが生じるという説です。
- 脳の錯覚説
あまりに冷たいと、脳がその冷たさを痛みと勘違いしてしまい、頭痛として認知するという説です。ドライアイスを触るとそれを痛みと感じるのも同じでしょうか。
以上の説のうち、1と2は片頭痛の発症メカニズムとして考えられている“三叉神経血管説”と類似しています。
いわゆるアイスクリーム頭痛への対処法ですが、
1.冷たい食べ物や飲み物を摂る時には、ゆっくりと摂るようにしてください。
2.先に暖かい飲み物を摂ってから冷たい物を摂ってください。
3.おでこなどを冷やすと軽減されると思われます。
片頭痛発作時もおでこや首の後ろ(いわゆる盆のくぼ)を冷やすと痛みが軽減するとされています。片頭痛の方は一度試してみて下さい
今年の夏は例年以上に暑くなるとされています。皆様もアイスクリームやかき氷などを食べる機会が増えると思います。
上記対処法を実践して頂けますと幸いです。
院長 篠原 伸顕