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認知症・物忘れ(dementia)

 
 
DEMENTIA MEMORY 2026

「最近、物忘れがひどくなって」と感じたら
〜認知症と加齢性物忘れの違い・最新治療・ご家族の支援〜

認知症の早期サイン、抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)の最新情報、ご家族の支援までを認知症外来併設クリニックの立場から整理してお伝えします。

アルツハイマー病
MCI
レカネマブ・ドナネマブ
認知症外来

「親の様子が少し変わった気がする」「同じ話を繰り返すようになった」──そんな気づきを抱えてご家族が外来にいらっしゃることが増えてきました。

結論からお伝えします。認知症は「早く気づいて、早く動く」ことで、進行を遅らせ、本人とご家族の生活を守ることができる病気です。2023年以降、進行を遅らせる「抗アミロイドβ抗体薬」(レカネマブ・ドナネマブ)が日本でも使えるようになり、選択肢は大きく広がっています。

本記事では、「年相応の物忘れ」と「認知症」の見分け方、MCI(軽度認知障害)のサイン、診断の流れ、抗アミロイドβ抗体薬と既存薬の使い分け、MIND食・運動・社会参加を含む生活面のケア、そしてご家族の支援までを、センター南の認知症外来を担当する立場からお伝えします。

1. 「年相応の物忘れ」と「認知症」の違い

60代を超えると、誰でも「物の名前がすぐに出てこない」「人の顔と名前が一致しない」といった経験が増えます。これは脳の自然な加齢現象であり、必ずしも認知症ではありません。問題は「忘れたことを自覚しているか」「日常生活に支障が出ているか」です。

観察ポイント 加齢性の物忘れ 認知症の物忘れ
忘れる内容 体験の「一部」を忘れる
(昼ご飯のメニューを忘れる)
体験の「全体」を忘れる
(昼ご飯を食べたこと自体を忘れる)
自覚 「忘れた」ことに気づける 忘れた自覚が乏しい・取り繕う
進行 あまり進行しない 徐々に進行する
日常生活 支障なく送れる 買い物・服薬・家事に支障
時間・場所 わかっている 曜日・季節・場所がわからなくなる

2. 認知症の主な原因疾患(4大認知症)

認知症は「ひとつの病気」ではなく、いくつかの原因疾患の集合体です。日本では下記の4タイプで9割以上を占めます。

🧠 アルツハイマー型(約60〜70%)

アミロイドβ・タウの蓄積。記憶障害から始まり、徐々に判断力・見当識が低下。

🩸 血管性(約20%)

脳梗塞・脳出血の積み重ねで生じる。高血圧・糖尿病管理が予防の鍵。

👀 レビー小体型(約5%)

幻視・パーキンソン症状・症状の変動・レム睡眠行動異常が特徴。

🗣 前頭側頭型(数%)

性格変化・社会的に不適切な行動・言葉のつまずきが先行。比較的若年で発症。

実際には2つ以上が併存する「混合型」が多く、当院では神経内科・認知症外来の視点から原因を見極めたうえで、生活習慣病管理を含めた包括的なケアを行います。

3. MCI(軽度認知障害)──早期介入のチャンス

認知症の前段階をMCI(軽度認知障害)と呼びます。記憶や注意力が低下しているものの、日常生活はまだ自立して送れている状態です。MCIから認知症への進行は年間約10〜15%とされますが、適切な介入で正常範囲に戻る方も2〜3割います。

📊 MCIで介入できれば未来は変えられる

MIND食・週150分の有酸素運動・難聴介入・社会的つながりを組み合わせた多因子介入研究(FINGER研究)では、認知機能低下リスクが25%以上軽減することが示されました。「MCIの段階で気づくこと」──これが認知症対策の最大のキーポイントです。

4. 早期発見のための「いつもと違う」サイン

ご家族が「あれ?」と感じるサインは、本人より先に出ることが多いものです。当院では下記のサインを「3つ以上」確認したら受診をおすすめしています。

📊 ご家族が気づきやすい初期サイン

  • 同じ話・同じ質問を何度も繰り返す
  • 約束を忘れる、テレビ番組の内容がついていけない
  • 料理の手順がおかしくなる/味付けが変わる
  • 財布や鍵を「盗まれた」と人のせいにする
  • 趣味への意欲がなくなる、外出を嫌がる
  • 身だしなみに無頓着になる(同じ服を続けて着る)
  • 通帳・印鑑・薬の管理ができなくなる
  • 歩行が遅くなる/ふらつく/転倒が増える

5. 検査・診断の流れ(HDS-R/MMSE/画像)

認知症の診断は、問診・神経心理検査・血液検査・画像検査を組み合わせて総合的に行います。「物忘れ=認知症」ではなく、甲状腺機能低下・ビタミンB12欠乏・うつ病・睡眠時無呼吸など治療可能な原因を除外することが重要です。

検査 わかること
問診・ご家族からの聞き取り いつから・どの能力が・どう変化したか
HDS-R/MMSE 記憶・見当識・注意・計算等を点数化(30点満点)
血液検査 甲状腺機能・ビタミン・腎肝機能・梅毒等の除外
頭部MRI/CT 海馬の萎縮、脳梗塞、慢性硬膜下血腫の有無
脳血流SPECT・アミロイドPET アルツハイマー特有の血流低下・アミロイド蓄積(連携施設)

6. 抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)

2023年12月のレカネマブ(レケンビ®)発売、2024年11月のドナネマブ(ケサンラ®、2026年3月保険適用)発売により、アルツハイマー病治療は新時代に入りました。両薬剤は脳に蓄積したアミロイドβというタンパク質を除去することで、認知症の進行を遅らせる薬剤です。

🏥 抗アミロイドβ抗体薬の要点

  • 対象:アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症
  • レカネマブ:2週に1回・1時間15分の点滴を原則18か月
  • ドナネマブ:4週に1回・45分の点滴
  • 効果:18か月時点で認知機能低下を約27%抑制
  • 副作用:脳浮腫・微小出血(ARIA)の頭部MRIによる定期モニタリングが必須
  • 当院では、適応評価・診療連携・治療後の継続フォローを担当します(点滴は連携基幹病院)

⚠ 「効かなくなる薬」ではなく「進行を遅らせる薬」
抗アミロイドβ抗体薬は、低下した認知機能を改善する薬ではありません。あくまで進行のペースをゆるめる薬です。だからこそ、MCIや軽度の段階で導入することが、効果を最大化する鍵になります。

7. 既存の薬物治療(コリン薬・メマンチン)

抗アミロイドβ抗体薬の適応外でも、症状を和らげる薬は複数あります。中等度・高度のアルツハイマー型、レビー小体型認知症などで広く使われています。

薬剤 適応 特徴
ドネペジル(アリセプト®) アルツハイマー全病期/レビー小体型 経口・1日1回。徐脈・消化器症状に注意
ガランタミン(レミニール®) 軽度〜中等度アルツハイマー 経口・1日2回
リバスチグミン(イクセロン®/リバスタッチ®) 軽度〜中等度アルツハイマー 貼付薬。嚥下困難な方にも
メマンチン(メマリー®) 中等度〜高度アルツハイマー NMDA受容体拮抗。攻撃性・興奮の緩和にも

8. 非薬物療法(MIND食・運動・社会参加)

抗認知症薬と並んで重要なのが、生活全般のケアです。Lancet委員会(2024年改訂)は、認知症リスクのうち約45%が修正可能な要因で説明できると報告しました。とくに以下の3本柱が重要です。

🥗 MIND食(地中海食+DASH食)

  • 緑黄色野菜:1日1皿以上
  • ベリー類:週2回
  • ナッツ:週5回
  • 魚(青魚):週1回以上
  • オリーブオイル:主たる油に
  • 全粒穀物・豆類・鶏肉:日常的に

⚠ 控えたい食品

  • 赤身肉:週4回以下
  • バター・マーガリン:1日大さじ1未満
  • チーズ:週1回以下
  • 菓子類・揚げ物・ファストフード:週1回以下

🚶 週150分の有酸素運動

速歩30分×週5回。BDNF(脳由来神経栄養因子)が増えます。

🏋️ 筋力トレーニング

スクワット・かかと上げ等を週2回。転倒予防にも。

👥 社会的交流

週1回以上の対面交流。会話と笑いが脳を守ります。

🦻 難聴の早期介入

補聴器使用で認知症リスクを大幅に下げられます。

🛌 7時間睡眠

睡眠中の脳脊髄液循環でアミロイドβが除去されます。

🦷 口腔ケア

歯周病菌は認知症リスク上昇と関連。定期歯科を。

9. 介護家族の支援──「先生、家族はどうしたら」

認知症医療において、ご家族への支援は治療と同じくらい重要です。「介護うつ」「介護離職」は社会問題化しており、当院では下記のような連携・支援を行っています。

💡 当院でできるご家族支援

  • 主治医意見書(介護保険申請)の作成
  • 地域包括支援センター・ケアマネジャーとの連携
  • BPSD(行動・心理症状)への対処相談
  • 運転免許の継続可否についての助言
  • 成年後見制度・任意後見についての情報提供
  • 心療内科併設のため、介護うつにも対応

🔁 3軸クロスポイント:認知症を「糖尿病」「神経内科」「抗加齢」の視点でとらえる

認知症は単なる脳の病気ではなく、全身の代謝・血管・神経・生活習慣がからみ合う疾患です。センター南の3軸アプローチで、認知症を「結果」ではなく「全身ケアで予防・遅延できるもの」として捉え直します。

🩸 軸1: 糖尿病・生活習慣病との関連(ダブルジオパディ)

糖尿病があるとアルツハイマー型認知症のリスクが約1.5〜2倍に上がります。これを「ダブルジオパディ(二重の危険)」と呼びます。逆に、SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬・メトホルミンには認知症リスクを下げる可能性が示唆されており、糖尿病管理そのものが認知症予防の柱となります。HbA1c・血圧・LDLコレステロールを「中年期から」整えることが鍵です。

🧠 軸2: 神経内科疾患全般との関連

脳梗塞後遺症・パーキンソン病・正常圧水頭症・慢性硬膜下血腫など、神経内科で扱う多くの疾患が認知症を合併します。認知症外来と神経内科が同じクリニックにあることで、原因疾患の見極めから治療まで一元的に対応できます。レビー小体型のようにパーキンソン症状・幻視・REM睡眠行動異常を伴う認知症は神経内科的視点が不可欠です。

🌱 軸3: 抗加齢医学・健康寿命

MIND食・運動・睡眠・社会参加・難聴介入・口腔ケア──これらはすべて抗加齢医学の中核であり、認知症予防の中核でもあります。「認知症を遅らせる生活習慣」は「老化を遅らせる生活習慣」と完全に同じです。日本の平均寿命と健康寿命のギャップ(男性約9年、女性約12年)を縮めるカギは、まさにここにあります。

10. 関連ブログ・関連クリニック

📚 当院ブログ・関連テーマ

💗 頭痛

慢性頭痛と認知機能

 


🩸 脳梗塞後遺症

血管性認知症の予防

 


🧓 パーキンソン病

レビー小体型認知症との関連

 

🏥 五良会グループ 姉妹クリニックの関連ブログ

DEN-EN-CHOFU 竹内内科小児科医院

糖尿病・AGEs測定で老化の見える化

糖化最終産物(AGEs)の測定は認知症リスクの「老化の見える化」。田園調布の竹内内科小児科医院で実施しています。

 


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当院最大の強みである胃・大腸内視鏡検査と、認知症リスク因子(脂肪肝・MASLD)の評価まで白金高輪で対応。

 

11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 本人が「自分はおかしくない」と言って受診を拒みます。

A. よくあるご相談です。「健康診断のついで」「血圧の薬の相談」など、別の入口で受診していただくのが有効です。事前にご家族からお電話いただければ、声かけのコツも一緒にお伝えします。

Q2. レカネマブ・ドナネマブはどこでも受けられますか?

A. 投与には施設要件(MRI設備・専門医配置等)があるため、限られた基幹病院で実施されています。当院では適応評価と連携、治療後のフォローを担当します。

Q3. 認知症と診断されたら運転免許はどうなりますか?

A. 認知症と診断された場合、道路交通法により運転免許は取り消されます。MCIの段階では原則継続可能ですが、安全性は個別評価が必要です。早めにご相談ください。

Q4. 介護保険はいつ申請すべきですか?

A. 「困ってから」ではなく「困りそうになる前」がおすすめです。要支援・要介護の認定が出れば、デイサービス・訪問介護・福祉用具などサービス選択肢が広がります。地域包括支援センターへの連携もお手伝いします。

Q5. 予防のために今日から何をすべきですか?

A. ①血圧・血糖の見える化、②速歩を週150分、③MIND食、④夜7時間睡眠、⑤週1回以上の人との交流──この5つから始めてください。聴力が落ちている方は補聴器の導入も大切な予防です。

執筆|医療法人社団 正友会 理事長 五藤 良将

五良ファミリークリニック センター南/竹内内科小児科医院/五良会クリニック白金高輪


GORYO FAMILY CLINIC CENTER MINAMI
五良ファミリークリニック センター南
内科・小児科・神経内科・認知症外来・頭痛外来・アレルギー科・糖尿病内科・心療内科
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9:00〜12:00 9:00

14:00
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